農から始まる日本の再生シリーズ~先人に学ぶ食の有り様<芋類> |
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2012年05月01日
【コラム】 農業の活性事業を担う指導層が、若者に伝えるべきもの
日本の農業のこれらからを考えた場合、指導者は若者たちに何を伝え、若者たちは指導者から何を受け取るべきなのでしょう。
画像はこちらからお借りしました
農業の技術やノウハウ?収益の上げ方?最先端の農薬や合成肥料による効率化?
いえいえ。
もっと大切な事があるはずです。
今回は、その大切な事を「るいネット」からご紹介したいと思います
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農業の活性事業を担う指導層から、若者に発信するとき。阿部紘 <るいネットより>
私は農業社会の生活実感がないが、親父の生家が代々の大謀式大網の漁村だったので、定置網漁を中心にした日本の伝統的漁村の空気は記憶として残っている。
大網漁(百人ほどで操業する)が主体の漁村集落は外の世界の受容性が高く、外界の情報や専門職人衆をよく受け入れ、近年でも学校に赴任する先生など都市からの転勤族には集落を挙げて実にこまめな支援をしていた。生産関係や婚姻様式は氏族社会の様相が濃いけれど、縄文的な受容精神と同化の度量を持ち合わせていた。
漁場の海域は勝手に線を引いて、私有権を宣言するのは不可能である(近年、200海里の経済水域等が私権国家により宣言されているが)。回遊する漁業資源の採取漁労は、仕掛の網に入るのも、釣り針を咥え込むのも海流や魚の選択任せであり、科学技術を駆使した機械化が確立するまでトロール漁法のような一網打尽は有り得なかった。
然し、資源が豊かだった夏の最盛期には、小錦のような黒マグロが一網で数百本入ることが稀ではなかった。
漁場や漁法や漁具は網元が代々保全、改良伝承するとしても、協業作業で仕込みがなされ、朝夕操業が繰り返される集団的生産関係であった。厳しい自然圧力を皆で同一視し、大謀を頭に集団の役割分担と能力序列は皆衆の前で自明であり、それはガキの頃からの仲間遊びを介した評価序列や集落内の現在評価とが繋がるものでもあった。
然しこの集落組織と集団的生産関係は1960年代末で衰弱し、市場時代に生き長らえる事が出来なかった。網元から協同組合の漁協に変わっても集団的漁法は略消滅し、現在再生不能と思われる。漁村に残るのは一人船主の漁法となってしまっている。
農業は田畑私有と家族単位の生産が漁業とは違う。そうである故、疲弊しながらも市場時代に生き残ってきたとも云えるのではないか。農業生産の再生にも農村集落の活力再生が不可欠である事は変わらない。
貧困が克服されて序列秩序が崩壊し、若者達の意識を先頭に、市場第一の潮流が崩壊し始めた。バブルが崩壊して15年が過ぎ、市場第一の熱が冷めてみれば、都市や市場社会に拘らない生活の肯定視観は、都市育ちの若者の心の中に容易に浸透可能だ。狂気と毒気の沙汰の都市と市場に育った若者達の側では、就農定住の農村回帰を肯定視出来る潜在思念が実現されていると考えられる。
新しい担い手として期待される若者像を、農村集落の活性事業に信念をかける指導層から都市に向けて発信(認識内容)し、彼らの潜在思念を顕在化させる課題が残されているだけではなかろうか。
市場第一の潮流が崩壊し、みんなの潜在思念が顕在化をはじめた今。
本当の活力ある生産の在り方や集団の在り方。生活の在り方が求められています。それは、どの領域の生産集団であっても同じでしょう。そして、バブル以降に都会で生まれ育った市場第一から脱した若者たちは、心の深いところで活力や充足のある生産者となるべく、探索し試行錯誤を始めています。しかし、強く求めている彼らには、強い欠乏とは対象的に、充足イメージたる「社会が市場第一になる前の生活体験」がありません。
日本の社会が市場第一となる前の生産の在り方や充足のあり方を、身をもって知っているのは、実は今の指導者層や年配者だけなのです。若者が知りたいのは、市場第一の方法論や個人の私権的な自慢話などではありません。活力ある集団の一員としての生産生活とは、いったいどのようなものなのか?どのように営まれていたのか?なのです。
だからこそ、指導者層や年配者が若者に伝えるべきものは、市場第一という価値観に染まった熱に浮かれた時代の方法論や組織論ではなく、それ以前に自身が子供の頃に体験し獲得した、混ざり気のない本当の活力源と充足関係の在り方=充足構造・方法論を自覚・抽出し、私権充足と明確に選別し、伝える事なのだと思います。
今の若者が望んでいるものは、指導者層が忘れてきたものでもあるのです。指導者層や年配者が、それを思い出し、実感を込めて伝えることで、若者の欠乏との接点(=同化)が生まれ、若者の欠乏はより顕在化し、行動力が加速し、指導者層や年配者への学びの姿勢と感謝の気持ちが強まってゆくのではないでしょうか
<参考投稿>【私有権→利用権】 が農村の閉鎖性を突破する
<参考投稿>みんなにとって必要な「農業・農村のあり方」を考える
<参考投稿>農がもつ依存的秩序安定性に風穴を開ける可能性①
投稿者 kasahara : 2012年05月01日 TweetList
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