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2022年05月15日

『稼ぐ農』シリーズ7~集団化したリンゴ農家、産業を変革する新しい農のカタチ

稼ぐ農業を実現していくためには「生産-流通-販売」を一体のものとして展開している事例として、前回は「企業が行う農業」として「(有)類農園」をご紹介しました。

 

「稼ぐ農シリーズ」の第7弾となる今回は、「農業に取り組む自立した集団」という視点で農業の可能性を探っていきたいと思います。

これからの時代は、農業において求められるのは「営業力」と「技術力」です。
人々が求めるものはなにかを掴み、それを実現する技術があることで、稼ぐ農業を実現することができます。

そのためには、農家個人ではなく、集団として農業に取り組んでいくことが可能性です。

そこで、今回は「(有)類農園」と同様に、企業で農業に取り組んでいる「株式会社株式会社RED APPLE」を紹介します。

リンゴ産業のリーディングカンパニー」という志のもと、「リンゴ作りのプロ集団」となるべく日々追求している農業法人を紹介していきます。

※記事はリンクより引用させていただきました。

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●就農前のキャリアについて
この株式会社RED APPLEのはじまりは曾祖父。

米農家から始め、徐々にりんご作りも行うようになったようです。自分がこの会社を始めるまでは「農業は儲からないもの」というイメージがあり、積極的に継ぎたいとは思っていなかったので、学校卒業後は関東へ。神奈川県にある土木系の会社に入社し、道路の舗装工事をしたことを皮切りに、電気工事士、左官、大工、運送業など色々な会社で働きましたね。

 

※写真はサイトよりお借りしました。

 

そのなかでも最後の方に経験したのが配置薬の営業。それまでは手に職をつけ働くような仕事をしてきた自分にとって営業は未知の世界。
でも、やってみると案外知らない人と話すのが苦ではない自分に気づき、楽しく仕事が出来ていたような気がします。
この時に「売ること」の楽しさを覚えたことが、今の仕事にも役立っているように感じます。

営業の仕事は案外、性に合っていたのですが、残業もあり勤務時間も長く、中々家族との時間を持てないということを解消したく、最終的には実家を継ぎりんご作りに取り組むことになりました。

<中略>

世界の「りんご作り」に目を向ける
もう1つ、この会社のターニングポイントとなったのはある企業との出会いです。

その企業は国内の果物や野菜を扱う輸出商社であり、日本に先駆けた栽培方法を取り入れている海外のりんご作りの手法を積極的に学びりんごの生産も行っている会社です。
彼らと出会い、イタリアやニュージーランドへ海外視察にも出かけました。

日本では「りんご栽培は手がかかるほど良いものが出来る」という考え方をする農家さんが主流で、「りんご作りは職人の技」のように語られることも多いです。

一方、海外は「効率的」「合理的」なりんご作りが主流。
例えばイタリアの南チロル地方では日本でも近年取り組まれている「高密植栽培」という手法を用いてりんご作りが行われています。

高密植栽培では高度な剪定技術が必要ではなく、初心者でも栽培しやすいといった違いがあり、りんごの木が「面」で育つよう栽培していくため、収穫の際の効率が良いといったメリットもあります。
(一般的なりんご畑では、りんごの木1本ごとにはしごや台に上ったり下りたりしながら収穫する必要がある)

私たちは、栽培ノウハウを提供しコンサルティングするという立ち位置で関わっていますが、彼らとの関わりをきっかけに、私たち自身の畑でも高密植栽培のみならず、世界の最先端のりんご栽培手法を学び、資材を取り入れて栽培にチャレンジしています。

新たな栽培手法に取り組むのは、生産原価・生産コストを下げることへ挑戦したいという思いから。
高品質のりんごを、生産コストを下げながら大規模に生産していくとことの両立は、なかなか難しいことですが、そこにワクワクしながら取り組んでいます。

 

 

 

※写真はサイトよりお借りしました。

 

会社経営は一人で全てできない。だから任せる。
会社を経営していく上で必要なキャッシュフローを回すという考え方をはじめ、必要なことは本やネットで調べながらやってきました。

経営をどうしていけばいいかということは、当初は自分で考えることしかできませんでした。
でも、すべてを自分一人でやろう・出来る、なんてことはもともと考えていなかったので、自分が出来ないことは、出来る人に任せていこう、たとえ自分の給料を下げてでも、出来る人を雇い入れて任せていこうと決めていました。

そんな中、様々な社員に助けられてきましたが、一昨年入社した吉川も試行錯誤をしながら会社へ良い影響を与えてくれているなと感じています。

彼が管理面を担ってくれるので手が回っていないところに手が回るようになり、事業運営のスピードが上がりました。私自身はより栽培部門へと時間と力を割けるようになりました。

今後について
先のことはわかりませんし、大きな目標がある訳でもありません。
今を一生懸命やるしかないかなと思っています。

変化していかなければ、前進していくことができません。今取り組んでいるやり方が正解だと言い切れるわけではありませんが、日本におけるりんご産業を守るのだという視点に立ち、取り組んでいます。この業界は今後大きく変わっていく必要があります。

そのうえで、社員たちには裁量をもち仕事をしてもらうようにしています。

だって、その方が面白いでしょう?裁量の中で、仮に失敗や損失を出したとしても、経営者としてそれが見通せる範囲内であれば、挑戦してもらうことを促しています。

そうやって、社員それぞれが自分の意志をもち、みんなで進んでいく。そんな組織に徐々になってきていると実感しています。

現代表の曾祖父が始めたりんご農園からスタートした当社は、今では一般的なりんご農家の規模を超えりんご栽培面積14ha規模まで拡大する事ができました。

今後もより一層進む高齢化により、園地を手放す農家さんから引き継いだり新たな土地にりんごを植えることで園地拡大に取り組んでいく予定です。

当社が目指すのは「りんご産業のリーディングカンパニー」となること。

農業の中でも1年をかけて栽培から収穫を行うりんごは、栽培技術をいかに組織に蓄積し人を育てていくかにかかっています。
りんご作りは人作り・・・。栽培ノウハウを備えた人材を育成しながら、最先端のりんご栽培を目指して、日々挑戦しています。

(引用、以上。)

 

 

志を高めていくことが次の農業をつくる
今回は「株式会社株式会社RED APPLE」の事例を紹介しました。

「個人として市場社会で稼ぐ」という農業には限界があります。

前回紹介した「(有)類農園」がそうであるように、地域や産業単位の集団として、「どのように集団として稼いでいくのか=盛り上げていくのか」という視点がこれからの農業においては不可欠になります。

自ら「生産-流通-販売」を担い、その実践を通じて集団と地域を繋げていく、そのような力が求められます。

そのためには、求められたものを生産するだけでなく、自ら人々の意識を掴み、新たな需要を生み出ししていく「営業力」が、これからの農業において求められる力になります。

また、人々が求められる期待を実現するために、必要になるのは「技術力」。

この「営業力」と「技術力」の両輪があって、「生産-流通-販売」を担うことができる農業を実現していくことができます。

稼ぐ農シリーズも7回を終え、終盤に差し掛かってきました。
これまでのシリーズを元に「稼ぐ農とはなにか」の方向性を固めていきたいと思います。

 

 

 

投稿者 tano : 2022年05月15日 List   

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