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2019年06月20日

農をめぐる、世界の闘い1~種子法廃止から、間もなく2年

主要農作物種子法(種子法)が廃止されて、間もなく2年。

日増しに拡大しつつある”地方の反乱”の動きを見ていても、「なぜ種子法は廃止されたのか」、疑念は募るばかりです。

この政府判断の背景にある構造、対する世界の潮流はどうなっているのか。

 

いいかげん、私たち日本人は、知らなかったでは済まされない事実に気づき、闘う姿勢を持つ必要があるのでは、と思います。

種子法廃止、この切り口から、『”農”を巡る、世界の闘い』をお伝えしていきます。

 

以下、転載(タネと内臓 著:吉田太郎)

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■種子法廃止をめぐる両極端の見解

状況理解に役立てるために、まず相反する両極端の見解を述べておこう。まずは種子法廃止支持論からだ。

「種子法という厄介な法律があったがために、さして米を生産していない県ですら独自に種子を確保しなければならなかった。地域特性が求められる時代だ。金太郎飴のような全国一律の法律は廃止したほうがいい」
「種子法という厄介な法的縛りがあったがために、民間が種子開発に参入したくても自由がなかった。それどころか、種子の知的財産は役人が独占し、どれだけ優秀な民間の研究者が活かしたくても情報提供すらされない。種子は役人たちの既得権益の温床になっている。これでは、国民のためになる良い種子の開発も進まず国際競争力もつかない」

この見解に立てば、まさに種子法廃止は時宜を得た政策だし目くじらを立てて騒ぎ立てるほどのこともない。それどころか、悪法の廃止、農業競争力の強化につながる改正ですらある。事実、東京都はすでに撤退しているし、大阪府、奈良県、和歌山県も2018年度からは一部業務を外部委託し始めている。

けれども、次のような廃止を懸念する側の見解を聞かれたら如何だろうか。

1.種子法廃止(公共種子事業の廃止)
2.公共種子情報の企業への無償提供(農業競争力強化支援法)
3.種の自家採種の禁止(種苗法改定)
4.「非GMO(遺伝子組み換えでない)」表示の実質禁止
5.全農の株式会社化
6.ラウンドアップ(グリホサート)の残留基準値の大幅緩和
7.ゲノム編集の野放し方針

この『7連発』は、すべて特定のグローバル種子企業への便宜供与のための一連の措置である。モンサント社とドイツのバイエル社との合併は、遺伝子組み換え食品を食べさせ、病気になった人をバイエル社の医薬品で治す需要が増えるのを見込んだ「新しいビジネスモデル」との見解もある。従順な日本だけが世界で唯一・最大の餌食にされつつある。

実際、遺伝子組み換え食品の消費と関連して、不妊や流産、アルツハイマー病、糖尿病、自閉症等あらゆる病気が激増している。遺伝子組み換え農作物はミネラルもろくに含まれず栄養がなく、米国はもちろん、ロシアも中国も忌避している。遺伝子組み換え農作物とセットの除草剤ラウンドアップ(グリホサートが主成分)も発がん物質としてEUをはじめ世界中が禁止に向かっている。
となれば、前述した見解のように、種子法廃止はまさにラウンドアップとセットで遺伝子組み換え種子を売りつけ、多国籍企業(日本の化学企業も含む)がタネを支配するための壮大な謀略の一環のように思えてくる。

後者の鈴木宜弘氏(東京大学大学院農学生命科学研究科教授)の見解はあまりにラジカルすぎるように思える。しかし、印鑰智哉氏が海外の現場を通じて集めてきた情報や、海外で農業問題を研究されている船田クラーセンさやか博士をはじめとする知人や友達からの情報、あるいは、英文を検索して自分なりにネット収集した情報を集約してみても、日本のマスコミではほとんど報道されないものの、鈴木教授の説こそがまさに正鵠を射ているとの結論を下さざるを得ないのである。

投稿者 noublog : 2019年06月20日 List   

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