微生物と植物の共生関係を進化史から探る4~窒素固定と光合成:酸素をめぐる矛盾点の克服 |
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2015年01月06日
先進国の中で最低水準、日本の食料自給率~誰のための農政か?
政府は、食料自給率(カロリーベース)を2020年度に50%にする現在の目標を引き下げる方向で検討している。13年度の食料自給率は39%で、目標達成が困難であるとの見方が強い。来年3月に策定する「食料・農業・農村基本計画」に新しい目標値を盛り込むため、農林水産省が議論を進めている。また、財務省は補助金に頼った自給率引き上げは無理があると指摘し、目標を引き下げる方向で見直して関連予算を効率化するよう求めている。
1965年度に73%あった食料自給率は89年度に50%を切り、10~13年度は4年連続で39%と横ばいで推移している。日本は食料や家畜の飼料などの多くを海外に依存しており、自給率は先進国の中で最低水準にある。
戦後、一貫して低下し続けてきた日本の食料自給率。
時の農政者たちは、こうした状況に対してなんら有効な手を打つことができずまま現在に至っていますが、問題の本質は、政権与党、農林水産省、そして農協という、日本の農業の未来を率先して守り育てていく立場にあるこれら組織のあり方そのものに内在しているといえます。
本来農政に期待される役割とは、農地等の農業資源を守り、将来に渡り国民・消費者に必要な食料を安価に安全に安定的に供給するという、強く健全な農業を確立していくことにあるはずです。
しかし、戦後農政を司る立場にあった政権与党(自民党)・官僚(農水省)・農協は、食糧安全保障の必要性を主張しながらも、実態としては各々が既得権益を死守するための結託関係=「農政トライアングル」を強固に築き、基盤である農地を転用・潰廃し、食料自給率を低下させ続けてきました。
農政トライアングルの本質は、社会期待ではなく、他ならぬ構成員の利益確保のための組織維持にあったのです。
農協はその組織維持のためには、農家戸数を維持する必要がある。多数は兼業農家なので、専業農家の利益よりも、兼業農家の利益及び兼業農家戸数の維持が組織活動の大目的となる。与党政治家にとっても、(選挙で落ちて、ただの人にならないように)自らの生計を維持するためには、農民票を獲得して選挙で勝つことが大目的である。農水省にとっても、農業存続に必要な予算を獲得するためには、政治力を発揮することが必要となり、与党政治家、農協、根源的には農家に依存することになる。
※「農協の大罪」(著:山下一仁)より引用
こうして、戦後アメリカ(GHQ)支配の下で出来上がった「政権与党(自民党)=官僚(農水省)=農協」の結託関係は、アメリカから押し付けられた枠組みの中で利害調整を図るものにしか成り得ず、戦後一貫してアメリカの要求を受け入れ続け、農業基盤の衰退を招く主要因となってきたのです。
投稿者 noublog : 2015年01月06日 TweetList
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