農から始まる地域の再生~新しい生産集合体をどうつくるか?13.農家の自立を実現する生産集合体のカタチとは?~ |
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2013年02月02日
【コラム】農と高齢者の知恵を活かして、地域に暮らしの作法を伝承していく【地域交流サロン「ばあちゃんち」】
( 画像はこちらからお借りしました。 )
皆さん、こんにちは 😀
最近、田舎に仕事へ行き、地元のおじいちゃんやおばあちゃんと話す機会がありました。
皆さん70代、80代ながら、元気に畑仕事や集落の役割を担い暮らされている一方で、心のどこかで「もっと色んな事が出来るぞ~」、「若者と一緒に●●したいな!!」と役割を求められている気がしました。
このような高齢者の役割づくり、子どもの育成方法、地域活性化、社会に役立つ仕事づくりなど、今後の社会を考える上で重要な課題がたくさんあると思います。
そこで、本日は、熊本県植木町でこのような社会的な期待に取組み成果を上げている「ばあちゃんち」(参照: 「暮らしの作法を伝承する 地域交流サロン「ばあちゃんち」(子育て支援事例集)」 )についてご紹介させていただきます 😀
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■1人暮らしの高齢者の家の一部を地域交流サロンに
地域交流サロン「ばあちゃんち」は、1人暮らしの高齢者の家の一部を活用して運営されている。築100年以上を経た熊本地方の典型的な民家で、納屋や井戸などを備え、家の間取りは「田の字形」をしており、襖をはずせば広い座敷になるのが特徴。玄関を一歩入ると、土の土間がひろがり、左手には昔懐かしい縁側がある。
この「ばあちゃんち」は、子どもから高齢者まで、地域の多くの人が気軽に集い交流する中で、地域の食や暮らしをトータルに学んでいけるような「地域の大きな家」になることを願い、平成17年10月に開設された。
■子育て支援と、食育の融合した事業
まず、2001年に「植木町子育て応援団」が子育て支援センター、民生委員、小学校、PTA、保育園保護者会等により結成され、熊本県の「子育て応援団事業」の補助を受け、運営を行った。
子育て育成に加え、小学校、保育園連携の食育事業をコーディネートし、地域連携の中で、大豆や小麦の収穫、味噌や納豆の製造調理などを実施。運営ノウハウが蓄積されてきたことから、運営拡大のために、「ばあちゃんち」を設立した。
( 画像はこちらからお借りしました。 )
■生活の知恵を伝える「地域の台所」
「ばあちゃんち」は子育ての悩みを解消する憩いのスペースとしての機能だけではなく、生活の知恵を伝える「地域の台所」、地域に生きるための暮らしの作法を伝承する場というコンセプトがある。
「ばあちゃんち」には約5,000m2の畑があり、大豆や小麦をはじめ多くの農産物を生産している。今年の収穫量は大豆が約150kg、小麦が約200kgにのぼる。作物は、管理を地元の専業農家の方に協力・指導いただきながら、「ばあちゃんち」に訪れる親子やお年寄りによって育てられている。子どもたちは草を刈り、土をこね、何もない状態から、日々の世話を経て、食べるものを作るという体験をしていく。
子どもたちが収穫した大豆は地域の人と一緒に、昔ながらの方法で納豆、豆腐、みそ、きな粉に加工される。小麦は小麦粉にし、手打ちうどん、団子、てんぷらになる。干し柿・梅干・こんにゃくなどを作り、かまどでご飯を炊き、炭火で魚を焼く。子どもたちは、五感に訴える体験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得していく。「地域の台所」というのは、様々な活動体験を通して、地域の食と文化を継承していく場所をイメージしている。
地域の食と文化を継承しているのは、子どもたちだけではない。親もまた、体験の中で学んでいる。「ばあちゃんち」では、「暮らしの伝承塾」や「父ちゃんの出番塾」等で、親が生活していく知恵を養えるような取り組みを行っている。それぞれの講義は地域の熟練者たちが担当する。生活する技術を身につけることで、親の生きる自信を回復させたいとの考えがある。「ばあちゃんち」は子どもだけでなく、親も育てている。
■地域の共同性を育む場
「ばあちゃんち」が地域の人々とのコミュニケーションの場となり、孤立しがちな子育て期の親子にとって、大事な時間を提供している。
毎月第2水曜日に高齢者向けの行事「いきいきサロン」を開催することで、親子連れだけでなく、高齢者も気軽に立ち寄ることができるようになっている。子育てのロールモデルが身近にいることは親にとって心強く、子育て経験者から直に教わることで、親の育児不安が解消されていく。世代を超えた人とのつながりができ、温かい人間関係を築けるサロンになっている。
■生産(農産物の販売)によって、活動費を生み出す
「ばあちゃんち」は様々な生活の体験活動をとおして親子が共に育つことができる場となっており、暮らしの体験の共有により地域の共同性が培われている。生産された農産物や加工品は、毎月第3土曜日に開催される「くまちゃん市」(バザー)などで販売され、その余剰金を「ばあちゃんち」の運営費に当てている。子育て支援サービスの提供を受けている親子が、農産物や加工品の生産というサービスによって「ばあちゃんち」の活動経費を生み出している形になっており、できるだけ行政に頼らない活動が行われている。(引用終了)
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いかがでしたか?
1人暮らしの高齢者の家を、地域交流サロンとして利用。そこは広く地域に開放されており、高齢者、子どもが、いつでも集まります。
高齢者は、親が仕事に行っている間、子どもの面倒を見ています。子どもとおしゃべりしたり、それを通して地域の伝統を伝えます。それが実現できるのも、隣にある畑(農業)があるからです。
地域交流サロンのみんなで野菜を育て、その野菜を元に、伝統食や家事を伝えていっています。そして、その野菜の売上費用を、交流サロンの活動費に企てお金を地域活性化のために循環させています。
これはまさに活力再生事業であり、高齢者も、子どもも、地域も元気になっていく☆仕組みだな と思いました。
以前、るいネットに農村共同体の可能性について『農(漁)村共同体の建設』で書かれていましたが、
市場拡大によって、生殖と生産という二大課題が分断され、生産活動を失った密室家庭は、教育機能をほぼ全面的に喪失してしまった。その結果、勉強しか出来ない子や、周りとの関係が作れない子や、引きこもりetc、精神破壊が深く進行中である。
どうするかだが、もともと子供たちの健全な心を育むには、自然に触れる作業が最も適している。従って、農漁業を手伝いながら学ぶ体制を作ればいい。
子供たちをどうする!?と考えると学校をどうするか?という議論になりがちです。また高齢者をどうする?と考えると老人ホームや福祉施設といった話になりがちです。
しかし、上記の視点≒認識からいくと必要なのは「生産活動」そして「自然圧力を受けられる農などの場」の創出にあることがわかります。
これがあって、「交流」や「役割」が生まれ、これを通して「みんなの課題」が生まれる。そのサイクルがみんなの活力となり、「地域活性化」となるのだと思われます。
であれば、日ごろから生産活動を担う企業がこうした事例に学び、実現していくことが近道ですし、企業の社会貢献とはこうした場の創出、供給に本質があるのではないかと思います。
是非、企業や組織は「ばあちゃんち」を真似、このような地域(みんな)の活力を再生していく事業を行っていくことで社会貢献していくことが重要なんだと気付き、取り組んで欲しいですね
そして、このような企業が増えていけば、新たな都市(企業)と農村の繋がりが出来そうだなって思っています。
投稿者 shiogai : 2013年02月02日 TweetList
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