農からはじまる地域の再生~新しい生産集合体をどうつくるか?~12.「女が農業の業態革命の流れをつくりだす」 |
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2012年12月12日
【コラム】 人工物質を使わない農業という選択 ①
近年、有機野菜や無農薬栽培といった、農作物の価値が社会的にも定着していますネ☆
有機や無農薬野菜・果実と聞くと、なんとなく体に良さそう!とか、おいしそう!なんて私たちは思ってしまいます。さらに環境に対する負荷も少なく、とってもエコロジカルなイメージが有機野菜や無農薬栽培の農作物にはあります
でも人工物質を使用しない(無農薬や有機農法を含めた)農業の可能性は、個々人の安心や健康といった領域や価値感に留まらず、実は私たちにとっての適応可能性そのものであると思われます
農薬と化学肥料による農業生産
日本の農業は近代化と経済成長と共にこの50年でおおきく変化してきました。生産側は効率性や経済性を追求し、消費者は利便性や快美性を追い求め、その結果私たちは、同じ様に形が揃って、見た目もキレイな安い野菜を、一年中いつでもス-パーで買えるようになりました。
もちろん、昔のように、形が不揃いだとか、泥が付いていたりとか、旬にだけしか食べられないとか、葉物に青虫やら尺取虫やらが付いてくるとか。そんなことも全く無くなりました。景観的には田畑からは肥溜めがなくなり、畦道や水路もコンクリートなり、機械作業が少人数でも農業を続ける事が可能になりました。生産も消費も便利で清潔でキレイで快適☆
農業の近代化は良い事だらけ☆・・・に思えました。そして、それらを可能にしてきたのが、農薬や人工肥料等の人工物質の存在だったのです。
ところがその一方で。以前からこれらの農薬に対する危険性は指摘され続けてきました。それは発がん性やアレルギーなど、個人の健康を害する可能性が高いものであると。そして、さらに近年。農薬による個人の健康という領域を越えた、大きな問題が指摘され始めています。
◆発達障害の原因の可能性
近年、米国や日本で子どもたちの脳の発達障害が激増している。具体的には、その場の状況や人の気持ちが読めず、意思疎通が苦手な「自閉症」や、じっとしていられず、衝動的に行動してしまう「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」、読み・書き・計算などの特定分野がどうしてもできない「学習障害」などとして現れる。02年度の文部科学省の調査では、全国の学童の6・3%が軽度の発達障害だった。
脳神経科学者の黒田洋一郎・元東京都神経科学総合研究所参事研究員によれば、日本よりずっと早くから発達障害が大問題になった米国では、多数の研究が行われているが、発達障害の原因として「神経毒性をもつ殺虫剤」を疑う研究者が増えている。そして、殺虫剤が原因とする疫学調査の結果が出始めている。
まず一昨年、より多く有機リン系農薬に曝露された(摂取した)子どもにADHDになる率が高いことが示された。続いて昨年は、有機リン系農薬の曝露で子どもの記憶や知能指数(IQ)に悪影響が出ることを示した研究が三つも有力な科学・医学雑誌に発表されている。
(引用リンク)⇒「明らかになった「新世代農薬」の人体への深刻な影響」①
(引用リンク)⇒「明らかになった「新世代農薬」の人体への深刻な影響」②
人工物質を使わない農業という選択
つまり、もはや個人の健康という領域を超えて、地域集団の次代を担う子供たち=集団の宝である人材にとって、深刻な影響が及ぼされる可能性が懸念されはじめているのです。これは、生産効率や経済的利潤の追求、個人の安心・安全といった個々価値感を、遥かに上回る、将来の国や地域や集団を担う人材存亡の危機であると捉えるべきものです。
仮に人工物質の大量使用によって、目先的に農の市場的活性化が成功し地域が潤ったとしても、次代を継ぐ子供たち=人材そのものが健全に育たなくなってしまえば、その地域集団の将来はとても暗いものとなります。
選択肢としての個人の価値観、今のところそれは、生産者側にとっては、生産性や効率性。消費者にとっては、健康や安心・安全であるのかもしれません。
けれども、個人を軸とした良し悪しではなく、その集団や地域、そして日本の将来を見据えるならば、もはや私たちは、迷わず「人工物質を使わない農業」を選択すべき時期にきています
投稿者 kasahara : 2012年12月12日 TweetList
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