【コラム】『地域通貨』で農村を活性化する!~米本位制を実現する「おむすび通貨」の事例~ |
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2012年05月08日
農から始まる地域の再生~新しい生産集合体をどうつくるか?①プロローグ
当ブログの「農が育む新しい教育シリーズ」では、
農は近代以降、市場原理に乗って発展してきた工業や各種サービス業とは違い、集団にとって切っても切り離せない食糧生産を担う事業 であり、かつ、その営み自体が教えてくれる自然の摂理や、共同作業を通じて得られる本源的な充足は、現在失われた教育機能の再生には不可欠ではないかと思います。
という問題意識から、農業学校の成功事例を紹介してきました。その中で、今後の様々な可能性が見えてくる一方、
地方の「農」の現場は活力が衰弱し、自力での再生は困難です。つまり、教育の再生と地域の再生は一体の課題だと捉えられます。
のように、 「地域(農村)の再生」という新たな課題が浮上してきました。さらに、地域を再生するには、それらの課題を担う人材が必要です。
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●担い手が減少し、農地存続の危機にある農村の現状
しかし、実際、 農業就業人口は戦後一貫して減少し続け、特に若年層になればなるほど、農村での居住志向が減っていき、担い手がいません。さらに、高齢化によって耕作放棄地が増え、維持が困難な農地が膨大に増えつつあります。
上記グラフはリンクより引用
●企業の参入と新規就農者は増えつつある
その一方で、新しい萌芽もあります。以下のグラフで分かるように、2005年の「農業経営基盤強化促進法」の改正以降、ワタミ、モスバーガー、セブン&アイに代表される大手企業等による農業が盛んになり、さらに 2009年の改正農地法施行後は、農地賃貸借による農業経営が容易になり、多様な主体による農業参入が進み、一気に倍増しています。
また、農業総人口が減る一方で、 若者を中心に新規就農者数は増加傾向にあります。
●女性や高齢者に対する役割期待は高い
さらに、農産物の加工や直売など、 女性の起業意識の高まり、或いは、農村の高齢者に対する役割期待なども高まっています。
資料:農林水産省「地域農業・社会における高齢者の役割に関する意向調査」(平成16年度)
注:64歳以下の農業者へのアンケート結果
高齢者に望む次世代の人たちへの支援のための活動(複数回答)より引用
●都市住民ほど農村の存続を期待している
市民農園、グリーンツーリズムなど、都市住民の間では農業体験が人気を呼んでいます。
「農村集落の維持に関する都市住民の意向」は下のグラフにあるように、集落は守るべきという意見が圧倒的多い事に驚かされます。
一体このギャップはどこから来るのでしょうか
●戦後の農地改革が農業を衰退させた決定的分岐点
るいネットで次のような記事がありました。問題の核心はこのあたりにあるのではないかと思います。
以下農がもつ依存的秩序安定性に風穴を開ける可能性①より引用
現在の農業構造を考えるうえで、戦後の昭和22年から25年までの3年間かけて行われた GHQによる”強制的”な農地改革は重要な視点であると思う。
この農地改革は、小作人を使った「大農制農業の形態から小農制農業に移行」する契機となったが、私はこれが現代の農業がもつ構造の決定的分岐点だったのだと思う。
農地改革は、地主の搾取から苦しむ小作人の貧困を和らげる施策ではあったが、農業という生産様式で見た場合には、「小農制への転換」という決定的な構造的問題を孕むことになったと思う。
その問題構造を思いつくままに簡単に列記すると、
①まず何と言っても農地のばら撒きは、農地の私有権意識を、一部の地主だけでなく小作人であった全ての農民にまで広げた。
②生産様式を共同体的集団様式から家族(≒個人)に転換させた。
③家族零細経営である小農制(人的労力が不足)のため、農業の効率的生産性が必要に迫られ、生産機材の変化による生産性の向上を目指さざるをえなくなる。⇒農業の工業機材の必要意識が拡大⇒都市部の工業生産拡大に寄与し、皮肉なことにこれが農業と工業の格差を広げていくことにも繋がる。
④更に、“土地私有=農業を継続”の構造ゆえに、専業では成り立たない生産性に陥っていっても農業を継続していく(=土地を所有しておきたい)ために兼業農家という形態に移行していく。しかし、これが都市部の工業生産の労働力確保に寄与し、さらに農村と都市(農業と工業)の格差を付けていくという皮肉を生んでいく。
⑤農民の殆どが零細ながらも農地を私有する小農制は、土地の共有化(→村落の共同体化や農業法人化や企業的農業、etc)とは逆ベクトルで、全ての農業改革が土地私有の呪縛から抜け出せなく足枷になる。
●地域(農村)の再生とは、課題共有の場づくりと、新しい生産集合体をつくっていくことから始まる
以下課題共有の場作りが求められる。より引用
現在、 最も問題なのは、多くの地域、集落で、まともに課題共有する場がないことです。したがって、新しい方向へなかなか収束して行っていない。
従来からの寄り合いは、共同体的な色彩も多少残しているものの、結局のところ、私有制に基づく利害の調整が主でした。
集落営農にしても、そこの部分を温存して形だけ営農組織体にしても、事業という視点も、都市や他業種との協働という発想もほとんどなく、補助金を受けて、機械や施設を整えても、補助金が切れ、機械の更新時期を迎える頃には、経営的に破綻しているというのが多くの事例でした。
今、求められているのは、各農家の利益をどう確保するかではなく、地域、集落として、現在の社会の中で、どう活性化していくかという課題を共有する場です。
つまり、農村の活性化を阻んでいると思われる問題と課題は
①戦後の民主化に伴う農地改革により自作農土地所有制を維持、或いは農協(政府)の零細農家保護による、村落の共同体化≒農業法人化或いは企業農業者との共同経営化、他業種との連携が遅れている。
②貸農園の人気、グリーンツーリズムなどへの積極的参加など、都市住民の側は、営農或いは農村の活性化期待が高まっているが、農村との間でお互いが課題共有する場がない。
③農産物加工や販売方面での女性の起業意識が高いのに対し、就農人口は減り続け、ミスマッチを起こしている。
④高齢者への役割期待は高いが、能力をうまく引き出せていない、或いは引き出す場がない。
⑤農村集落の維持期待は高いが、それらを維持する組織(寄合)が機能していない。または、高齢化し、リーダー的存在が不在
そこで、今回は以上の問題意識に沿って、 「農から始まる地域の再生~新しい生産集合体をどうつくるか?」というテーマでシリーズ記事を書いていきたいと思います。
投稿者 staff : 2012年05月08日 TweetList
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