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2011年02月05日

【新たな農の可能性を切り拓く取り組み紹介2】~農事組合法人 和郷園 編~

新たな農の可能性を切り拓く取り組み紹介 第2回目は、農事組合法人 和郷園を紹介します。
その秘訣は・・・と行く前に恒例の応援クリックをお願いします。
「農業は製造業である」という認識のもと、取引先(お客さん)が求めるものを、安定して生産・提供していく仕組みづくりかをしている点が、
国内外でも評価をされている注目企業です。
和郷園の代表理事である木内博一さんが、総合研究開発機構理事長の伊藤元重さんと
対談したレポートから記事を抜粋しながら魅力に迫りたいと思います。

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①「農業は製造業である」という確信
まずはなんといっても「農業は製造業である」という認識のもと、農業製品の流通改革を実行したところがポイントです。

>以前から、「農家が作ったものを再生産できる価格できっちっと販売できる仕組みが安定的に成立しなければ、経営を続けることはできない」と考えていました。つもあり農業製品の流通を変えることが必要だという想いがあった。
その想いを実現させるために、今から18年ぐらい前に和郷園を設立しました。
>製造業なのに、最低価格(必要な費用をまかなう価格)が保障されないまま、マーケットに常にものを供給しんなければならないという状態はおかしいのではないか。和郷園を設立して、私たちがやったことは単純に、「私たちは売ってから物をつくります」ということです。

つまり和郷園では、農業を生産するために必要なあらゆる経費(種を買う、肥料を買う、機械を買う、設備投資をする、人を雇う)をキッチリと把握し、組織として再生産できる最低価格を把握すること。
それを踏まえて、売買契約が成立した後で、農産物の生産を始めるということです。
これは、いままでは自然に左右され、市場が価格をきめるというあいまいな状況であった農業からすると、ものすごいパラダイム転換かもしれませんが、まっとうな発想で物事を考えたら、事実追求による至極単純な発想だと思います。
②取引先が求めるものに合わせて生産をする
設立当時、無農薬という言葉もマーケットに無い時代に、熱心な大手スーパーのバイヤーさんから「無農薬の野菜ができないか?」と頼まれたのがきっかけで、無農薬野菜をつくり始めた和郷園ですが、その過程では、木内さんのお父さんなどの知識と、客のニーズにあったものをまじめに作る努力があったようです。

>「冬にほうれん草や大根をつくれば、病害虫も少ないし、あとは多少小ぶりで収穫するような荷姿を認めてもらえれば、可能だよ」というアドバイスのもと、一定時期しか供給できないのであれば、その他の期間は減農薬であることをキッチリと説明し、提供していくスタンス。

つまりマーケットを作って供給していくのではなく、あくまでマーケット側の要望の中で、和郷園が対応できることをしていく。だから需要に対し供給が上回ることが無い=値崩れはしないということです。
また農薬を巡る事故についても、徹底した議論の中で、農薬の使用基準とマニュアルをつくり、データベースを作成し品目別部会統一使用農薬というマニュアルを作成したことも注目です。
これにより品目に応じて使用する農薬が明確化されたことはもちろんですが、もうひとつ、重要なことがこのデータを利用して保険まで創ってしまったことです。

>万が一、農薬検査でトラブルが発生した場合、当該農作物のトレーサビリティー情報を10分以内にだすことができます。
それだけではなく、そうした事故がおきた場合にはお店に迷惑がかかりますので、我々がそのお店に供給した大根は、お店の売価ベースで、全て私たちの負担で回収させてもらうことになっています。
さらにそのお店が新聞にお詫び広告を出すのであれば、それに対する費用も私たちが負担します、という契約をしています。

これができるのも事実追求に基づく確かなデータベース(事実の積み重ね)があるからですし、このリスクに対する対応自体も自らの商品(の魅力)にしてしまうところがすばらしい。
③多重構造の農業経営に向けて
和郷園ブランドの商品は、青果市場に一切出さないそうです。
その理由が一般市場で生まれる小売ごとの価格ギャップを無くすためにあります。
ようは店によって同じ商品なので価格が違うというトラブルを無くすためですが、これをしないと店によっては、同じ大根が半額になったり、安く大根を売っても利益が出たりという不合理が生じます。
和郷園では、自分たちではじき出される適正価格で直接販売する以外は市場に出さない。これが結果として値崩れを防止し、ブランド価値の向上に繋がっています。
一方で、自然を対象とする農業で安定的に契約した数の生産を実現するためには、工夫が必要になります。
例えば、取れすぎてあまった農作物をどうするか?これを契約した後に安くすることは出来ないし、他に安く売ってはクレームにつながります。
そこで、和郷園では、余った農産物を有効に使う為にカット事業を持っています。

>ほうれん草や小松菜などリスクのある葉物や、規格外の人参、ごぼうなどを有効活用するための事業です。
農家の中には、果菜類専門につくる農家もいますし、根菜類専門につくる農家、葉物もいますから、これはあまり変えません。
どちらかというと、このメンバーの年間安定してつくってくる素材をベースに、その中で需給調整を取るために加工が生まれてきたという考え方です。
>豊作のときを見込んだ加工ではなくて、実は加工用にも作付けしています。そうでなければ工場は困ってしまいますから。豊作の時には、余計材料がくるから、加工のほうでたくさんつくるということです。
特に冷凍加工品も今、引っ張りだこなんです。供給が追いついていかない状態です。だから、今のところは(和郷園の)メンバーがいくら増やしても、吸収できる。

お客さんの求めるものを安定的に供給する為に、通常の農作物を育てる農業以外の分野にも手を広げ、しっかり根を張りながら拡大していくところはさすがです。
安易な全国展開や、上場などではなく、事実追求の積み重ねによる製造業としての農業を基盤に、ブランド力の醸成や地域の雇用創出、協働者の育成などが社会に徐々に認められ、結果として発展・拡大しているとうのが分かります。
以上の3つの注目ポイントを武器に、現在は、日本の農作物の海外輸出などを視野に、リサーチを重ねているということですから、今後の和郷園さんの動きに目が離せません!

投稿者 imayou : 2011年02月05日 List   

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コメント

記事読ませて頂きました。
色んな条項が隠されていたなんて知りませんでした。
TPPに日本が参入する事でこれからの日本の農業の形も何かしらの変化が必要になると思います。(生き残るために)
その当りはどうお考えですか??

投稿者 ソフトせんべい : 2013年4月18日 19:46

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