2023年2月16日
2023年02月16日
主食って何?最終回 「主食」とは引立て役であり、なくてはならない空気のような存在。
「主食って何?」このタイトルで始まったこのシリーズですが、最初はメンバーのある一人から主食って何?という素朴な疑問からスタートしました。意外と難しかったこのテーマですが、主食を追求する中で栽培の歴史や食文化の歴史が見えてきました。最終回はこの間の追求を元にこの疑問にできるだけ答えてみたいと思います。
「主食って何?」
・米、麦、イモ、とうもろこし、バナナ、豆など主に穀物系が中心
・地域と主食の種類は連動しており乾燥している中東からヨーロッパでは麦、東南アジアから東アジアでは米、南アジアではイモ、バナナ、アフリカでは豆類等
・歴史が古くいずれも栽培の始まった1万年前から5千年前の間に発生している
・品種改良が重ねられ、多くの品種、突然変異を利用した食べやすい食材に変化した
・食すればどんなオカズでも合う。特に米は野菜、鍋物、魚、肉何と合わせてもその食材の味を引き立てる。
・その地域、国の誰もがほぼ毎日食べる。好き嫌いにならない。
・栄養価が高い、腹持ちが良い。等様々な共通の特徴が挙げられます。
この中で最もしっくり来るのが、おかずを引き立てる=何にでも合うという特徴ではないかとも思うのです。また、主食はその地域や民族の歴史や文化と密接に繋がっていて、米を日本人が好むというのは長い年月をかけてその民族が工夫し、改良を重ね味覚も含めて生活に定着してきた集大成とも言えるし、あって当たり前の空気のような存在なのではないでしょうか?
また一方で改めて主食と副食を分けて考えることは意味があるのだろうかという思いもあります。例えば和食。和食はおかずとご飯の絶妙なハーモニーで成り立っています。
考えるきっかけとして「食の人類史」に書かれた和食の文化について紹介してみます。
こちらよりお借りしました
「最近、和食の文化がユネスコの無形文化遺産に登録された。日本に暮らし、そこで食べる多くの日本人にとって喜ばしいことではある。所管する農林水産省によれば、登録されたのは個々の料理やそのメニューではなく、文化、つまり「日本の伝統的な食文化」である。
そしてそのこころは「多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重」、「栄養バランスに優れた健康的な食生活」、「自然の美しさや季節の移ろいの表現」、「正月などの年中行事との密接なかかわり」の4つである。(中略)
南北に長く気候の変化に富むこと、火山列島であって複雑な地質を持つことから、採集の対象となる植物資源も多様で、またさまざまな栽培植物の栽培を可能にした。明確な四季が「旬」をもたらした。複雑な海岸地形は海岸線を長くし、また潟湖の発達を促し、新鮮で多様な魚種の生息を可能にしてきた。多様な食材の存在はこうした、発酵食品の発達も促した。
(中略)
和食の背景の一番奥にある思想の底流にも、輪廻の思想はじめ東洋の思想が流れている。そして、これらの思想体系自身がモンスーンの風土に育まれた多様な生物群に支えられて来たことを考えれば、和食は日本の「風土」に支えられてきたと言うべきであろう。無形文化遺産に登録された和食のこころとは、日本の風土の食という形での発現に他ならないのである。」
今回主食の追求をしてみましたが、その中で日本の「和食」というのは非常に面白い追求テーマではないかと思います。日本人は西欧人にない身体的特徴をいくつか持っています。その一つが虫の音を聞き分ける事ができるとか、左脳で自然の音を処理している等、実は和食に代表される旨味とは日本の風土と歴史によっている日本人にしか無い味覚の機能ではないかと思うのです。或いはその味覚を通して自然を感じ取っているのではないでしょうか。苦さと甘さと辛さ、それらを全て微妙に感じ取り複雑な味を好みます。「和食の旨味ってなんだろう」、個人的にはいつかテーマにしてみたいと思っています。
投稿者 tano : 2023年02月16日 Tweet