2005年11月4日

2005年11月04日

途上国が飢えるのは、なんで?(2)

昨日の記事にも書いたように、価格格差こそが市場拡大の源泉になっており、そのためには意図的に貧困を作り出す必要がある。途上国が飢えるのは、市場の構造そのものの問題である。市場拡大の歴史とは、途上国を貧困に陥れ、飢えや戦争を作り出してきたことに他ならない、と言っても過言ではない。
その中心がアメリカであることは言うまでもない。単にアメリカの利益になるかならないかを巡り、過去何度となく不毛な破壊と殺戮が繰り返されてきた。特にソ連が崩壊して、東西のバランスが崩れてからはもうやりたい放題だ。
そしてアメリカ支配が世界中に進行しつつある。そのやり方は実にエゲツないものがあるが、巧妙な手口によって人々の目を眩ませている。自由のため民主主義のため、我々につくのかテロにつくのか、と言われれば“NO!”とは言えなくなってしまう。更に国連を始め、途上国復興支援のためのIMFや世界銀行なども、アメリカの意図で動かされている。
報道写真家からというブログに、興味深い記事があったので紹介したい。

「途上国は、なぜ飢えるのか」
IMFや世界銀行の融資というのは、使用目的が制限されている。たいていの場合、農業や教育といった分野には使えない。食料生産を伸ばしたくても、農業にお金をまわせない。ただし、融資金を輸入食料の購入に当てることは許されている。そして、その場合の食料購入国もあらかじめ指定されている。要するに、アメリカや先進国から買わなければならない。隣国で小麦が豊作であっても買えないのだ。
IMFによるこうした理不尽な制約を「コンディショナリティ:付帯条件」という。いくら理不尽でも、これを承諾しない限り、融資は受けられない。途上国には、選択の余地も交渉の余地もない。オール・オア・ナッシングだ。こうして、融資を受ける途上国は、100余もの付帯条件を甘受する。先に書いたように、農業や教育、福祉、医療といった分野には一切使えないよう条件が付けられている。それでも、無いよりはましと途上国は考えた。しかし、「コンディショナリティ」とは、罠以外の何ものでもない。
IMFや世界銀行の融資というのは、鉱工業などの資源開発分野に集中していた。鉱物や石油・ガスの開発と輸出だ。また、それらに付随する産業や輸送手段の整備といった分野も含まれる。アメリカが必要とする膨大な原料や燃料を開発・輸送することに限定することによって、農業生産力をも奪うことができた。
もともとの農業人口の多い途上国の労働力は、必然的にこうした分野に流れた。途上国の農業の衰退がはじまる。農業生産力が落ちた分、途上国政府は、融資金で先進国の農業製品を輸入するしかなかった。
農業の衰退が進むと農産物の価格は上昇し、安い輸入品と競合できなくなった。農業生産で生活できなくなった農村人口は、都市へと流れ始めた。人口は時と共に都市に集中し、農業の衰退はさらに進むことになった。したがって途上国政府は、農産物の輸入を増加せざるを得ない。途上国の農業衰退と食料輸入は構造的なものになり、歯止めが利かなくなってしまった。
現在、アフリカでは労働力の60%が農業に従事しているが、アフリカの食料自給率は80%程度だ。食料自給率は下降の一途をたどっている。単位面積あたりの収穫量も落ちている。
たいていの途上国というのは、豊富な土地と人口を有している。本来、食料の自給自足を営むことは難しいことではない。しかしそれは、戦後のアメリカの世界政策と真っ向から対立する。アメリカは、IMFと世界銀行の「融資」という餌によって、途上国の食料自給の発展を根本から破壊することに成功したといえる。皮肉なことに途上国が求めた「援助」こそが途上国の農業を破壊した。今日の途上国における貧困、低賃金問題もすべて同じ地平にある。
かくして、アメリカは世界一の食料輸出国の地位を確立した。
(中略)
世界が飢えるのは、気候や土地に根本原因があるのではない。遅れた農業技術でもない。努力が足りないからでもない。
世界の飢餓は、IMFと世界銀行が、アメリカの国益のために行ってきた政策によって、人為的にもたらされている。そして、今後も世界は飢え続ける。援助額がいくら増えても、債務を帳消しにしても解決にはならない。

今や日本でも、政治家もマスコミもアメリカべったりだ。コイズミは言わずと知れたブッシュの飼い犬だし、マスコミはそれを持ち上げることで視聴率稼ぎをしている。従ってこのような事実を取り上げる報道は、どこからも出てこない。
そればかりか、自分たちこそが貧困や飢えを作り出している真犯人なのに、そのことには完全に蓋をして、“支援”と銘打ち、しれ~っと金をばら撒くのは、まさに偽善者そのものではないだろうか。
小松
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投稿者 komayu : 2005年11月04日