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2022年09月17日
【これからの林業を考える】シリーズ2~世界の林業・木材流通は、中国が握っている。~
前回の投稿では、日本国内の林業の現状について押さえました。戦後以降、日本の近代化・工業化によって、林業は急激に衰退しています。そして、海外と比較しても品質や価格競争力で負けている実態を明らかにしてきました。
今回の投稿では、世界へと視野を広げ、林業・木材流通の現状について追求していきたいと思います。
画像は、こちらからお借りしました。
■世界の森は年間360万haが消失している
まずは、世界の森林面積です。人類が農耕を始める前の時代、純粋な森林面積は60~70億haあったと言われています。大陸面積は約150億haなので、だいたい半分が森林が広がっていました。
それが、現在の森林面積は約40億haとなり、かつての約6割にまで減ってきています。現在は、年間約350万ha(0.1%)ずつ減少しており、約1000年で地球上から森林が消失するペースで伐採が進んでいます。
■森林減少は、農業と林業と火災の3点
森林減少の要因として見られているのは、世界中の近代化の進展が大きいとされています。主要因は、大規模な農業による伐採と、材木化するための伐採です。特に、先進国に食糧・材木を輸出国での森林伐採が急速に進んでいます。
これに加え、昨今よくテレビでも報道されている、異常気象による森林の大規模火災も、一気に生態系を焼失される恐ろしい現象です。
画像は、こちらからお借りしました。
■世界の木材流通は、中国に一極化
次に、材木流通に焦点を絞って、世界の貿易の流れを見ていきましょう。
これは、『針葉樹の丸太』の貿易構造を示した図です。
お分かりの通り、中国が世界中の材木を輸入していることが一目瞭然です。EU・ロシア・ニュージーランドといった主要国から仕入れ、世界の約半分が中国に集まっているという恐るべき一極集中構造となっています。
情報は、こちらからお借りしました。
こちらは、『合板』の貿易構造を示した図です。
打って変わって、中国は最大の輸出国となっています。つまり、丸太などの原料を輸入して、国内で利用するとともに、世界に輸出しているという構造が見えてきます。
もう一点、重要なのは、輸出国が、南米(ブラジルなど)やアフリカや東南アジアなどに偏っており、ここから先進国へと輸出するという明確な構造があることです。
情報は、こちらからお借りしました。
■もっとも木材を利用している中国が、もっとも森林が増えている
これだけ中国が、世界の材木を牛耳っており、さぞかし、自国の森林を使い倒していると思いきや、実は、森林増加率のトップは中国です。アメリカも上位4位に入っており、資本主義の色が濃い国ほど、自国を守り、他国を使い倒している構造が見えてきます。日本も然りです。
画像は、こちらからお借りしました。
このような構造から分かるのは、世界の林業・材木産業は、明らかに『輸入国が強く、輸出国が弱い構造』だということです。大量に利用する先進国が、途上国から非常に安く・大量の材木を輸入している。そして、途上国は、その中でも稼ぎたいがゆえに、地球環境にも影響するほどの大量伐採を行っていると考えられます。
次の投稿では、日本の林業の歴史を抑え、具体的にどのような産業構造になっているのかを考えてみたいと思います。その後、世界の木材の流通構造を牛耳っていると思われる中国とアメリカの林業政策の構造について追求していきたいと思います。
日本の林業も、国際的な産業構造のあおりを大きく受け、衰退せざるを得ない原因を含んでいるように思います。
■参考
・「世界の森が減少する原因と対策」
・「国際的な森林保全対策」
・「世界における木材貿易の流れ」
投稿者 hasi-hir : 2022年09月17日 TweetList
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