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2020年11月27日

農と金融3~消費から贈与へ

【農と金融2~「お金第一」が生きる意欲を失わせる】
に続いて。

関係性の切れる消費から、関係性の生まれる消費へ。
贈与経済への道筋をつける、一つの切り口。

 

以下、転載(「共感資本社会を生きる」2019著:高橋博之×新井和宏)

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高橋)いま、【ポケットマルシェ(ポケマル)】では、関係性の切れる消費から、関係性の生まれる消費へと切り替わっていくということが、実際に起こりはじめています。

新井)本当ですか。

高橋)ポケマルでは、お金と食べ物の交換はしていますよ。ただ、いままでのスーパーと違って、生産者と消費者が顔が見えるかたちでコミュニケーションを始められる。そうしたら、やっぱり生産者のなかで「いつもリピートしてくれてありがたい」っていって、オマケを入れはじめるんですよ。そうすると受け取った側はなんかちょっともらいすぎちゃった感じがして、また何かあったらこの人から買わなきゃいけないんじゃないかなっていう気になる。あるいは、野菜セットを注文したお客さんの子どもがニンジンが苦手だと知ると、「代わりにジャガイモ多めに入れておくね」とくるわけです。そうしたら、やっぱりその気遣いに感謝し、またこの人から買いたいっていう気持ちになる。

新井)借りがある、みたいなね。

高橋)そうそう。それが続いていくんですよ。ずっと。ベースには共感があって。

新井)いいですね。関係が続いて終わらせられないっていうね。それを僕はお金側からやりたいんです。そのためにはつまり、定価っていう概念を変えなきゃいけないわけです。

高橋)定価ね。

新井)定価なんて本当はどうでもよくて、あなたから買うから私はこれぐらい払いたいっていう、ギフトをする習慣をつけるってものすごく大事だと思っていて。

高橋)ギフトか。

新井)いまの高橋さんのお話っていうのは商品からオマケという差が生まれるんだけど、僕はお金からアプローチして、生み出したいんだよね。
例えば、払う方がどうせ明日に期限が切れちゃうお金だから-僕らは「腐るお金」って言っているんだけど-、「すごくいい人だったので全部渡します。あなたが好きだから。あなたのサービス、最高によかった」っていって渡したら、それはつくる側は嬉しいし、「あ、こういうお客さんいたな。このお金を使う人ってこういう思いで使ってるんだな」っていうのが見えてくるわけじゃないですか。そういう経済圏をつくったほうが僕は豊かになるなって思っていて。僕は健全なインフレをつくりたいっていうふうにあちこちで言っています。

高橋)つまり、お金はお礼だと。

新井)お礼なんです。「ありがとう」なんですよ。

高橋)自分の暮らしを豊かにしてくれるものをつくったあなたに、ありがとうっていうお礼をお渡しすると。

新井)そう。

高橋)そこで値段は、主観的に「あなたのしてくれた仕事はこれぐらいですよ」って示すものになる。そうすると、定価じゃないから、「俺、こんなにもらっていいのかな」って。次、今度はこの人がまた別の人から買うときには、同じように考えて渡す…。
そうか、これが関係性が紡がれていくっていうことか。

新井)そうそう。ギフトをたくさんしあう贈与経済に持っていく。

投稿者 noublog : 2020年11月27日 List   

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