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2012年10月30日

農から始まる地域の再生~新しい生産集合体をどうつくるか?10.~安全欠乏・自給期待に応えることが地域活性化に繋がる~

みなさん、こんにちは。このシリーズも10回目を迎えました。 😉
若者が業態革命に果たす可能性は?を前回見ていきましたが、今回は、農業・農村にどうやったら若者が定着するかについて考えていきます。
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画像はこちらからお借りしました。
現在の農業は衰退の一途を辿り、担い手不足に陥っています。 😥 同様に、田舎では若い人が外へ出ていくので、田舎に子供がおらず、学校は廃校が増え、廃れていっている。。。
といった具合に、若者が田舎から離れていくことで、田舎はますます活力衰退に拍車がかかっていきます。
ということで、若者が田舎や農村・農業に入っていくことが、地域を活性化していく糸口になるのではないかと考えました。 そのため今回は、若者を田舎や農村・農業に向かうにはどうすればよいか見ていきます。

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1.都会の若者に農業や農村に入ってきてもらう
私たちは、農業を体験したい人を、年中受け入れていますが、その大半は都市部に住む人です。 一方、田舎の若者の中で、農業をやりたいと思っている人はごく少数で、特に農家の息子さんは、ほとんどと言っていいほど農業をやろうとは思っていない様子で、逆に都市部へ出て行っています。
田舎→都市・都市→田舎といった逆転現象 みたいなものが起きているように見えますが、なぜなのでしょう?
(1)都会の若者の方が農業や農村に関心を向けているのはなぜか?
都市部の人の方が、統合不全を感じ、安全に収束している。
参考に、るいネット「安全欠乏の根底にある統合欠乏」より引用します。

期待応望関係で人間関係が統合され充足できていた時代には無かったのに、バラバラの個人に分断された社会になって「幸せ」という概念が登場したように、「安全」とは、現在の統合不全を埋めようとするために作られた代償の価値観念に過ぎないと思います。

都市部では、農村に比べ、相互扶助とも言える周りとのつながりが少なく、それを補うように、年金制度や公共サービスとして福祉や介護が執り行われています。
しかし、それらの制度やサービスは、お金のつながりや希薄な人間関係の上にあるものだから、都市部の人は将来に不安を抱き 、何か取りすがるものを求め 、「安全」に収束しているということがいえるのではないでしょうか。 🙄
脱市場→自給志向が進んでいる
当ブログ「自給志向が高まってきたのはなんで?」より引用します。

70~80年代 豊かさの実現⇔高度経済成長への逆行(潜在的な現代社会への違和感からの逃避) ex.ヒッピー バブル期=市場が拡大し、私権圧力も強い →多くの人は自給よりも、私権獲得に注力する。
90年代バブル崩壊 →私権圧力の衰弱
私権圧力が下がるも、※支配観念(私権第一の価値観)は残ったまま
→お金を儲ければ豊かになる、という考えと実態のズレが生じ始め、不全感を抱く。
10年代私権圧力も下がりきり、市場の拡大も見込めない。統合階級へも期待できない
→「自分たちでどうにかしなければ」と自給志向への可能性が膨らみ、収束し始める

自給志向とは?を簡単に言うと、バブル崩壊、リーマンショックを経験し、金儲け第一だった価値観を疑問視 🙄 する人が多くなり、東北大震災を契機に、「今の世の中を形作ってきた政治家・マスコミ・学者をはじめとする統合階級にこのまま任せておけないのではないか? 😡 →自分たちでなんとかしていかなければいけないのでは? 」といった気運が高まっているということです。
とりわけ、安全欠乏が高い都市部の人は、より一層自給志向が高まっているとも考えられます。
将来に不安を感じ、安全に取りすがる「安全欠乏」や、自分たちで何とかしていかなければいけないのではという「自給志向」といった意識が登場しており、とりわけ都市部で強いのであれば、都市部の人の方が、人のつながりが濃く、生きる根底である食料を生産する農業に意識が向かうのも自然な流れのように思います。
だから、都会の人の方が農業や田舎に入りやすい。といえるのではないでしょうか?
2.若者が農業や農村に入るための受け皿をつくる
しかし、農業をやりたいといっても、食べていけないのであれば安易に参入はできません。
そのためには、農業を安定した仕事 として選べるようにする必要があります。
(1)地域→都市部というお金の流れを変える。
現在、自分たちが買うもののほとんどが、都市部に本社を持つ企業のものです。地域にも支社や系列の工場はありますが、そこで出た収益は本社へ集約されます。
一方、地域の主な産業である、農業をはじめとする一次産業は決して儲かる仕事ではありません。
つまり、お金の流れが地域→都市部となっていて、地域にはお金がたまらない という構造になっています。
若者が安定した仕事として農業を選べるようにするには、お金の流れを都市部→地域へと逆転させる 必要があります。
(2)「生産者直売」がお金の流れを変える鍵になる!
前回の記事の「るいマルシェ」は、通常の倍以上の単価で農産物が買われています。その前にコラムにあった「のら」さんもスーパーなどよりも高単価で売られています。また、都市の直売所が今大盛況です。これらの現象は、どれも都市部で起きています。
つまり地域で農産物を売るより、都市部で売った方がはるかに高くたくさん売れる のです。
ではなぜ、都市部の方が高く売れるのでしょう?
(3)モノの品質だけで判断しているのではない
前記事の「るいマルシェ」でのお客さんとのやり取りを見ていると、
・お互いを知ることを楽しむ~大量生産、大量消費の流通では知り得ない情報~
・お客さんの充足イメージをつくる~調理方法や楽しみ方~
といったことが重要なようです。
決して、モノだけで買ってくれることではないようです。
「作る人とのやり取りが楽しい、なんとなく信用できそう。」とか、「食べてみたい・美味しそう。自分でも作れそう」といった充足イメージ を抱けるかの方が先行しているように思います。
(4)安全欠乏・自給志向が脱市場を推し進めている
先に述べた、「安全欠乏」や「自給志向」は、市場のあり方そのものを見直す ことになっているように思います。
市場経済の中では、農産物であっても、市場の中で勝っていくために、効率化を求め、安価で工業生産的に作られる という側面を持っています。
添加物や農薬の危険性を暴く出版物がたくさん出たり、「有機栽培」や「無農薬」が注目を浴びているのも、市場のものは“何かアヤシイ”“裏がある”とウスウス感じている 🙁 人が多いことを物語っているように思います。
「安全欠乏・自給志向⇒安全なものを身近で手に入れられるようになりたいという想い」から、安価で不健全な農産物を買うよりも、本当に必要なものを、信頼できる人から買うという「脱市場の流れ」ができて、それが都市部の方が高く売れることに繋がっているのだと思います。
今までの流れをおさらいすると、
都市部に高単価で販売する→都市部から農業・農村にお金が入ってくる→農業が仕事として成立する→若者が農業・農村に参入してくる→地域が活性化 です。
つまり、都市部の人の“安全欠乏”“自給期待”に応えることが、農業を仕事として確立させ、若者の受け皿となり、都会からの田舎・農村・農業への参入を促し、地域活性化に繋がっていくのではないでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。

投稿者 keitaro : 2012年10月30日 List   

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