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2012年02月20日

【コラム】次代の農業を経営視点から考える


(画像はこちら から)
近年、農業は、社会の期待が高まり、多くの人が可能性を感じていることから、新規就農者や農業参入企業がますます増加しています。新規就農者は、20年前は約2万人/年だったのに対し、現在は約8万人/年と4倍近くに増加し(リンク)。農業生産法人は5年比で約1.5倍の増加、農地リース方式による農業算入企業は5年比で約1.3倍に増加しています(リンク)。
ただ、社会的期待の高まりの一方で、農業経営に苦労している事業主が多いという課題もあります。参入企業の動機は、自社の需要減少や農業の有望性などによる利益増が多いのですが、約7割が赤字経営(2007年統計)とされ、参入数年後に撤退するという企業も少なくないようです。
また、黒字化までの平均年数は7~8年要すると言われており、企業体力や投資計画上、厳しい状況に置かれることになっています。

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そこで今回は、農業にかかる外圧状況等を押さえながら、今後の農業経営について考えていきたいと思います
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①農業経営の課題とは?
農業経営を分析する上で、なぜ経営分析⇒突破方針が困難とされてきたのか?
その要因は大きく2つに分けることができます。
1.企業参入の歴史が浅いbunkatekikeikan09.gif
戦前までは村落共同体内で生産と消費が行われていたため、農業はほとんどの国民が関わっていました。江戸以前は自給自足を行い、明治以降は国家が農産物を買い上げた上で流通させるなど、生産者が市場に関わる機会は多くありませんでした。
戦後になると、農地解放により個人所有となりましたが、地方の農協が取り仕切ってきたことから、戦前同様に生産者が直接流通に携わる機会が少なかったのです。
農業経営の確立が遅れているのも、この状況から起因していると考えられます。
2.経営を左右する不確定要素が多い%E4%BC%8A%E5%8B%A2%E5%8F%B0%E9%A2%A8%E5%86%99%E7%9C%9F.jpg
農業は、他業界と比べても経営に不確定な要素が多いとされています。例えば、天候による好不作、肥料などの原価の高騰、投資の売買による取引価格の乱高下など、将来の読みにくさが経営者を困惑させる要因にもなっています。このようなことから、分析ポイントも天候等の外圧による原因に偏りがちで、共通構造を探る分析がほとんど行なわれていませんでした。
以上の要因から次のような分析ポイントが挙げられるのではないかと考えました。
手持ちの資産をどのように運用して、事業を展開しているのか?
売上に対する原価率、経費率、純利益率の適正値とは?
補助金は、どのような名目で受給し、金額はどの程度なのか?
農業経営がうまくいくための共通構造は何なのか?
~ は、今後コラム等でこのブログ上でご紹介していきたいと思います。
②さらに農業の可能性を追求するには?
上記のような経営データの分析は、評価指標の一側面であり、あくまで「結果を示すもの」であることを忘れてはなりません。
重要なのは、これらの指標の背景にある、企業が直面した状況や、その企業が社会外圧をどのように捉え、どのような方針を出したのか?という過程だと思います。
つまり、どのように答えを出したのか、その思考に同化することが最も重要になり、これら企業が考えた軌跡である「原因⇒突破方針」も同様に明らかにしていく必要があります。
そこで、次に農業経営者の外圧状況と方針を見ていく上で重要になるのは、まずこれまで農業にかかってきた外圧状況を少し遡って考えてみたいと思います。
③農業の現状と今後の行方から、農業経営を考える
農業が現在のような圧力に置かれているのは、戦後以降の市場社会の浸透、そして、1970年以降の貧困の消滅→市場社会の崩壊という大転換に起因しています。
1.農業経営の現状
市場社会で企業が受ける外圧は、競争圧力や淘汰圧力を始めとした私権(金や権力・地位)獲得競争です。市場社会は、広告・宣伝などによる幻想を付加して競争に勝っていく構造といえます。
しかし、農産物という日常に密着した商品は幻想価値をつけにくく、付加価値だらけの工業生産品と同じ土俵で闘わなければならないという、市場社会では非常に弱い立場にあります。つまり、「騙し」によって勝ち残る市場社会にも関わらず、その方法論を適用できない農業は、そもそも市場社会にはのらない構造にあるといえます。
2.市場崩壊という大転換と、農業経営の行方
%E5%85%85%E8%B6%B3%E6%BA%90%E3%81%AE%E5%A4%A7%E8%BB%A2%E6%8F%9B.JPG一方で、1970年、貧困の消滅以降、農業に対する社会的期待が高まっています。
食の確保という国家戦略的位相に加え、「農業の多面的機能」という地平において、食の安全・安心、農業を通した集団の活力再生、教育効果、医療効果など、その潜在力を引き出すことが農業への収束力を高めています。
「社会を良くしたい」「みんなの役に立ちたい」という就農者が増加しているのは、この大きな潮流が背景にあります。
※農が持つ多面的機能については こちら を参照してください。
したがって、市場社会にのらない農業の有り方・・・農業が持つ多面的機能(教育効果や農を通しての充足感等)、これらの機能を「経営」に取り入れた「新しい『農』のかたち」を私達は考えていきたいと思っています。
④概念装置を使って、農業経営を考える
では、どのようにすれば、「外圧状況(=皆の期待)」を掴めるようになるのでしょうか?
その答えは、るいネット に詳しく書かれています。
1.これから生き残る企業に求められる能力は?

明らかに、時代はかつて無かったほどの大きな転換期を迎えています。おそらく今回の大転換は、ありふれた企業理念や小手先の方法論では生き残れないでしょう。
時代はもっと根本的な転換期を迎えており、この大転換に対応する為には、この転換が何を意味しているのかを理解し、現在すでに形成されつつある人類の新たな活力源と、それが生み出す新しい社会の姿を明確に掴む必要があります。
そのためには、新しい理論が必要になります。今、求められているのは、役に立たない観念ではなく、現実に使える理論です。現業においても、答えを出すためには、より鋭い切り口が必要で、そのためには、対象をより深く掴むためのOS=概念装置が必要になりますが、この歴史的な大転換の構造を掴むには、より総合的な概念装置が必要です。そして、そのような概念装置を作り出すには、全文明史を振り返って、人類の歴史段階的な進化の構造(=実現構造)を解明する必要があります。
(中略)
生き残る企業に求められるのは、いかなる状況に置かれても答えを出せる能力ですが、この史的実現論は、自分で答えを出すためのOS=概念装置のようなもので、この概念装置さえ脳内にインプットすれば、あとは、現業課題であれ時事問題であれ、自分で答えを出せるようになります。

つまり、農に関わる1人1人が、歴史認識を学び、普遍構造を肉体化していく事で、経営者と同じ視点に立って外圧状況を受け止め、答えが出せるようになる=次代の農業を考えることなんですね
★これまでの内容の参考図解です:D

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最後まで読んでいただき、有難うございました 😀

投稿者 staff : 2012年02月20日 List   

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