農が育む新しい教育シリーズ3~農村留学 大地の学校 |
メイン
2011年11月11日
企業から始まる自給自足の道シリーズ~1.企業の農業参入とその実態
みなさんこんにちは、久々のマサクニです。
これから数回にわたって、「企業から始まる自給自足の道シリーズ」というテーマで、企業の農業参入の可能性を追求します。
3.11東日本大震災、福島原発事故、そして相次ぐ台風の被害など、2011年、日本の農業は各地で大きなダメージを受けました。しかし、この危機は、
http://blog.new-agriculture.com/blog/2011/08/001249.html
http://blog.new-agriculture.com/blog/2011/08/001253.html
で述べられているように、日本の農業再生を実現へと導く、大きな転換点となりました。これらの危機によって、人々の食⇒農に対する関心が一気に高まり、自分たちの食は自分たちで何とかするしかないという、自給自足の期待が、日に日に確実に顕在化してきています。
しかし、個人一人一人が就農定住して自給自足の生活を始める、というようなことでは、時間が掛かり過ぎますし、到底現実的ではありません。もはやこれは、社会全体の期待であり課題であると捉えるべきであり、従って、個人ではなく集団で農業を始めるというスタンスで考えた方がよさそうです。
そこで、近年増加傾向にある、企業の農業参入に焦点を当て、自給自足社会の実現の可能性を探りたいと思います。まずは、企業の農業参入の実態を調査し、次にそれらを阻む壁は何なのか?を分析します。その上でで成功している企業はどこが違うのか?その成功のポイントを明らかにしたいと思います。
それらから、あらためて企業の農業参入の方向性を探り、それによって開かれる可能性を提示していく予定です。
第1回は、「企業の農業参入とその実態」です。
続きへ行く前に、応援クリックを宜しくお願いします。
●農業の規制緩和の推移と参入法人数の推移
・政府はこれまで、農家保護などの観点から企業の農業参入を厳しく規制してきました。しかし日本の農業の将来が懸念されるようになると、1990年代以降は段階的に規制を緩和し、企業の農業参入を促すようになりました。
http://www.nikkei4946.com/zenzukai/index.asp?BackNumber=45
・まず2000年には、一定の制限の下で「農業生産法人(農地法が定める農地の取得が可能な法人)」への株式会社の出資が可能となり、企業が農地を取得できる道が開かれました。また2003年には特定の地域(構造改革特区)において、農業生産法人を設立しなくても企業が農地を借りられる「特定法人貸付事業(農地リース方式)」が導入されています。この制度は2005年には全国に拡大され、市町村が認める地域で民間企業が農地を借りることが可能となりました。
・04年10月の71社から少しづつ増えつづけ、09年12月に農地制度が改正され、企業等が農地を賃貸し農業参入することが原則自由化されました。改正前が436社だったのが、改正後わずか7ヶ月間に144社増え580社に急増しています。
http://www.nikkei4946.com/zenzukai/index.asp?BackNumber=45http://www.nikkei4946.com/zenzukai/index.asp?BackNumber=45
http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/nri1101re2.pdf
●参入業種の特徴
・参入企業の業種はさまざまですが、突出して多いのが地方の建設業の参入です。農地リース方式により参入した企業のうち、建設業は125社と3割以上を占めます(2009年)。この背景には、公共工事の減少で仕事の受注が減り、本業だけでは経営が厳しくなってきたことがあります。また、「農業と繁忙期が重ならない」「もともと労働集約型産業のため、農作業に必要な労働力を自前で確保しやすい」「保有するパワーショベルなどの重機を農地の開墾に活用できる」といった好条件が揃っていることも、建設業の農業参入が進む大きな要因となっています。
http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/nri1101re2.pdf
・最近では大企業の参入も増加しています。目立つのはスーパーや外食など流通・サービス業界からの参入です。例えば、居酒屋チェーンを展開するワタミは2002年、農業生産法人を設立して農業分野に参入しています。2008年には大手流通グループのセブン&アイ・ホールディングスが千葉県に農業生産法人を設立し、自社店舗で販売する野菜を栽培していますし、2009年にはイオンも茨城県でリース方式により農業分野に乗り出しています。
・もともとこうした業界は品質が高い農産物を安定的に調達する必要から、産地と契約を結び全量を買い取る「契約栽培」に取り組んできました。卸売市場などの中間流通を通さずに産地と店舗を直接結べば、新鮮な野菜や果物をより迅速に消費者に届けることができ、流通コストの削減にもつながります。流通企業が自ら農業を手掛けるのは、こうした産地直送体制をさらに拡充するためです。また、企業が持つ経営や商品開発のノウハウを農業に持ち込めば、より生産性を高めたり、消費者ニーズに合致した付加価値の高い作物を作ることも可能になります。さらに、自社で栽培を手掛けることで、食の安心・安全を確保する姿勢を消費者にアピールする狙いもあります。
http://www.nikkei4946.com/zenzukai/index.asp?BackNumber=45
http://www.nikkei4946.com/zenzukai/index.asp?BackNumber=45
●今後の課題
・企業の参入法人数に関する資料はありますが、現実には撤退する企業も少なくないはずです。
「撤退法人数の推移」と、参入期間・撤退理由などがわかるデーターを探して、さらに実態を明らかにする予定です。
投稿者 totokaka : 2011年11月11日 TweetList
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.new-agriculture.com/blog/2011/11/1283.html/trackback