2010年10月1日

2010年10月01日

シリーズ口蹄疫問題の本質に迫る! 第1回 口蹄疫とは?

みなさん、お久しぶりの長谷です。
今回は、この春から夏にかけて、農、食の分野で、最も世間の注目を集めた、「口蹄疫問題」
について、4回シリーズで追求して行きます。
マスコミでの扱いも少なくなり、世間では、ほとぼりが冷めた感を受けますが、この問題の本質は、何だったのか?今後、どうして行ったら良いのかということについては、多くの情報、見解が、マスコミ、ネット界etc.で溢れていながら、未だスッキリしていません。
 そこで、このシリーズでは、政治的問題は、一旦、棚上げにして、自然の摂理
の観点から、この問題の本質に迫り、そこから、今後の農や食のあり方を考えるところまで繋げて行きたいと思います。
 では、続きを読む前に、ぽちっとよろしくお願いします。
食や農の問題の多くは、その根底に「農の市場化」
があり、農畜産物が市場の商品として扱われ、かつ、生産者と消費者が分断され、そのために、自然の摂理を大きく逸脱した行為を繰り返すことになっているという現状があります。その1つの結果として、今回の「口蹄疫問題」が起こっているのではないかという問題意識に基づいて、考えて行きます。
%E7%89%9B%E8%88%8E%E5%86%99%E7%9C%9F.jpg
画像は「風の中で想うこと」さんからお借りしました。(写真は、今回の口蹄疫とは、直接関係ありません。)
 まず、シリーズ第1回は、口蹄疫についての基礎認識と疑問です。
口蹄疫とは?
①どんな病気 偶蹄類等が、特有のウィルスに感染することによって、発症する感染症で、感染力は、非常に強く、空気感染をする。症状は、発熱、よだれ、活力低下etc.で、特に、幼い個体は、死に至る確立が高いが、成体は、しばらく症状が続いた後に、自然に治癒してゆく場合も多い。ただし、牛や豚が感染した場合、死に到らなくても、畜産物の生産性という観点では、肉としても、搾乳としても著しく落ちる。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A3%E8%B9%84%E7%96%AB
②BSEとの違いは?
 しばらく前に、大きな問題として取り沙汰され、現在でも輸入規制のされているBSE(牛海綿状脳症)とは、何が違うのでしょうか?
 BSEは、牛に餌として肉骨粉や代用乳を与えていた、即ち、草食動物に、動物の肉を、しかも同類のものを食べさせていたという、自然界では、あり得ないサイクルを人為的に作っていたために発生した病気(というよりも生体の異常と言った方が良いかも)。近年、急に取り沙汰された。
 それに対して、口蹄疫は、もともと自然界に存在したウィルスが原因で、歴史的には、100年以上前から発生が記録されているもので、決して特異なものではない。ただし、爆発的な流行には、何らかの人為的要因も考えられる。
http://allabout.co.jp/r_health/gc/298636/
③人体への影響は 今のところ感染しても、健康に影響は無いというのが通説だが、鳥インフルエンザウィルスの例にもあるように、そもそもウィルスは、変異しやすい存在なので、人に対して毒性を発揮し、かつ、人から人へ感染してゆく存在に変異する可能性もあると考えた方が良いのではないか。
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/QA0612.html
④近年の発生状況は?
 数年前、台湾の豚で大発生し、養豚業界が壊滅的な打撃を受けた。
 昨年~今年、韓国、東南アジアで大発生、日本では、10年前に宮崎と北海道で発生、それ以前は、戦前に遡る。そして、今年の宮崎。
http://www.perkeno.com/kaigai.html
⑤感染拡大防止策 爆発的な感染拡大防止策は、現状では、ワクチンと殺処分。実際に発生した場合、東南アジアや発展途上国では、ワクチン接種で済ませているところもあるが、先進国を始め、一定の距離圏内の感染可能性のある家畜は、未感染であっても殺処分する。そもそも、ウィルスに対するワクチンや免疫は、変異したウィルスに対しては効果を発揮しない。
 しかし、未感染の個体までも殺処分することの必要性には、疑問が残る。実際、殺処分の距離範囲は、国や、その時々で異なる。
 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvs/05_byouki/prion/pf116.htm
以上、見てくると、口蹄疫そのものは、感染力は非常に強いものの特殊な病気ではないが、畜産業界へ決定的な悪影響を及ぼすことは確か、しかし、人体への影響、感染拡大対策等は、未明な部分が多い。そして、何より、なぜ、爆発的感染拡大を起こし、未感染個体の殺処分までしなければならないのかが疑問。
 その鍵を握りそうなのが、現在の日本の畜産の現場の状況(育て方etc.)ではないだろうか。この部分については、一般に、ほとんど知られていないし、ブラックボックスの部分も多い。そこで、次回は、日本の家畜生産の現状を見て行きます。

投稿者 naganobu : 2010年10月01日