【コラム】野菜、食べてますか??一番手軽な生野菜は危険がいっぱい!! |
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2013年02月19日
これからの農業経営を考える~宅配・ネット販売の可能性
(海の幸、山の幸がイッパイある神戸の直売所です。)
これからの農業経営を考える~プロローグでご紹介しましたように、これからの農業経営においては、生産だけでなく販売そのものを考えていく必要があります。
何を作るのか?よりも、むしろ何を売るのか?どうやって売るのか?を考え、事業化していくことが必要です。
一方消費者を取り巻く環境はBSE牛の問題、輸入農産物の残留農薬問題、国内でも農薬使用や食品添加物の使用問題、遺伝子組換え食品の問題、放射能汚染問題、さらには食品の産地偽装問題や誇大・捏造表示問題等、枚挙にいとまがない状況です。
このような状況の中、『安心・安全』を求める意識潮流が加速し、自らが作物を作ったり、安心できるものを買いに遠方まで出かける、といった行動を行っています。
従ってこれからの農業経営を考える上では、「安心・安全」な作物をどのように提供するのか、が課題になります。
今回は新しい流通・販売の形態として伸びているネット販売や宅配の可能性を追求してみたいと思います。
(宅配が伸びている理由についてはブログ「これからは共同体の時代」物流業界の可能性は? ~中編その2:「宅配」はなぜ新しいのか~を参照下さい。)
●ネット販売の現状
1.売上は伸びているのか?
・売上規模は堅調に伸びている。
日本生協連が2011年9月に発表した「2010年度 生協の経営統計」によると、個人宅への宅配
による供給高が店舗での供給高を初めて上回った。
帝国データバンクの調査(リンク)でも食材宅配企業2058社の売上高合計は、
2008~2010年度で5.0%増、宅配非対応の食材小売企業6999社の1.6%増を3.4ポイント
上回り、食材宅配企業の方が業績を伸ばしている。
規模別では、売上高「1000億円以上」の企業が売上高8.1%増で増収率トップ。一方、小規模の
「1億円未満」では11.5%減となっている。主要品目別では「米穀類」の48.2%がトップ。
また、矢野経済研究所の調べ(リンク)によると、2010年度の食品宅配の総市場規模は1兆6806
億円(見込:東日本大震災の影響は考慮せず)、前年度比104.0%増と堅調に推移している。
(下のグラフ参照)
07年~11年(予測)の5年間を見ても、年々その売上高は伸び、継続的な市場拡大が
予想されている。
2.どこが延びているのか?
日本流通産業新聞社は、食品通販と食品宅配を対象にした「無店舗販売 食品売上高ランキング〈2011年度〉」をまとめた。
上位50社の合計売上高は4505億300万円で、前年同期調査の合計値よりも222億円増加した。
ランキング上位では、宅配事業を拡大しているワタミタクショクと、野菜のネット通販大手オイシックス
の2社が1・5倍の増収を達成。2社の増収額が合計で188億円となり、全体の成長を
けん引している。
●ランキング上位の現状 成功事例とその内容
・ワタミタクショク
前年実績と比較可能な企業の中で、最も売り上げを伸ばしたのはワタミタクショクで、12年2月期
の売り上げは前期比69・3%増の262億円だった。
単身世帯の高齢者が増えたことで、ニーズが高まっていることに注目。1回分が少量で、温める
だけで食べることができる手軽さだけでなく、毎日の配達が安否確認の役割にもなる利便性を
提案する。
ワタミタクショクは「ワタミ」のブランド力を武器に、専門配達員が対面で届ける安心感や、
会費がかからないシステムをアピールして顧客を拡大している。
しかし、主力とする高齢者向けの総菜宅配は、ここ数年で生協やコンビニ業界など異業種から
の新規参入が相次いでいて、熾烈な戦いを展開している。伸びている生協やコンビニは個別
対応を行っており大規模経営の限界を迎えているのかもしれません。
・オイシックス
次いで伸び率が高かったのがオイシックス。12年3月期売り上げは同53・6%増の126億900万
円となった。
有機野菜を取り扱う企業の苦戦が目立つ中、オイシックスが好調だったのは、原発事故後の
放射能検査に早く対応したことだ。
らでぃっしゅぼーや、大地を守る会などの競合よりも早い3月に検査体制を敷き、小さな子ども
を持つ親を中心に支持を集めた。店頭でしか食品を買わなかった人をネット通販に呼び寄せる
ことに成功したほか、既存顧客のリピート率向上にもつなげている。
しかし先ほどのワタミタクショクでもあったように個別対応が採算的に難しい。
●成功しているポイントは?
・信頼関係の構築
好調な2社はターゲット層と販売手法に違いはあるものの、マーケットの流れを捉えた素早い
対応力が共通している。
商品の安全性や利便性を求める消費者の期待に応えることで、「信頼」を獲得し、売上を
伸ばしている。
・共認充足
特に注目したいのはワタミタクショクの専門配達員が対面で届ける安心感、信頼感です。
顧客の囲い込みを図る上で、消費者に直接的に働きかけ、希望の商品を手元に届けるという動き
が強まっています。
この動きは「生協宅配」でも言えます。従来は同じ地域・同じマンションの居住者が班単位で
共同購入する形だった「生協」ですが、近年は個別購入へと大きくシフトしています。
この原因としては従来からある地域コミ二ティの消滅等もありますが個別宅配サービスが伸びて
いることも考え合わせると明らかに『共認充足』を求める動き、と言えます。
日本生活協同組合連合会によると、95年に300億円だった個別購入は、04年に6300億円
まで拡大。さらに首都圏コープ事業連合によると、週平均の利用者における「個別配達」は
94年度に3万7000人だったのが、04年度には47万人と、急増しています。
また、04~08年の生協の経営統計を見ても、個配供給高は年々高まり、08年時点では
共同購入配給高1兆6075億円のうち、個配供給高は8909億円で、共同購入全体に占める割合
は55.4%に上っています。
この動きは今後さらに増加していくと思われます。
商品の安全性や利便性を求めるだけではなく、「共認充足」を求めているのです。
●改めて成功ポイントを考える
先ほどまとめた成功ポイントは「共認充足」にありますが、改めて考えてみると、共認充足を
得やすいのは生産者が直接お客さんと個別対応しやすい「宅配」や「直売」である、と言えます
お客さんひとりひとりの期待に出来る限り応えようとする応合性とその機動力が単なる売買の
関係(利益追求)を超えて『共認充足』へと導くのです。
その意味では現在成功しているオイシックス等の既存の大企業は利益第一が邪魔をして個別
対応がし難いので今後は売上も頭打ちになると思われます。
農産物の販売に於いて、共認充足を主に考えると、直接生産者と消費者がやりとりできる関係
に近い、「農産物直売所」を拠点として、「移動直売所」や「宅配」で販売エリヤを拡大して
いく『直売所事業』と言う形に発展して行きそうです。
生産者に於いてはお客さんの期待に応えるため「安全・安心」な農作物をつくる農法や農業技術
が求められ、その結果としての美味しい米や野菜を、どうやって流通・販売するのかを考える
ことは、これからの農業にとって不可欠なことになります。
投稿者 mukai : 2013年02月19日 TweetList
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