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2023年03月09日

【進化していく農法について考える】シリーズ1~新しい農法に至った歴史的背景とは?

昔から現在に至るまで様々な農法が開発され存在しています。百姓の農業技術の向上、新しい農具とともに新しい農法も開発されていきました。

その農法が開発されていったのにはどんな意識潮流があったのか?当ブログでは当時の外圧状況はどうだったのか、とりわけ近代に絞って追求していきます。最初は外圧状況とそれによって作られた法律についてです。次回以降には様々な農法の紹介をしていこうと思います。

 

◆戦後の日本

1946年農地改革が交付されました。これは地主から土地を政府が買い上げ、小作農に優先権を与えて土地を売り渡した制度です。日本の農地改革が成功した背景には、2つの理由があります。第一は、進駐軍当局が、それまで大きな権力をもっていた階級や裕福な地主層に打撃を与える法律を成立させ、それを強制的に執行することが出来たためです。第二の理由には当時のインフレ状況が関係しています。地主が土地の代償として受け取った金銭の価値は短期間で減少し、一方で土地購入者のほとんどは、購入後2~3年で貸付金を返済することが出来たのです。

これにより農家の多くは自作農になりました。当時、食糧難という外圧の中ではありましたが、本能に直結する外圧が少しずつ改善されつつもあり貧しくも活気がありました

画像はこちらからお借りました。

 

◆戦後の復興期

1950年代は工業の復興により化学肥料や農薬などが広く普及し始めます。大量生産するために必要な肥料や農薬を購入する資金、さらに当時はベビーブームも相まって農家は現金収入を必要としました。これにより水田だけでなく副業的農業(経営の多角化)進められていきました。

加えて1954年NSA協定(日米相互防衛援助協定)が結ばれます。これはアメリカの余剰小麦を日本に買わせるために結ばれたものですが、これにより食料不足を克服するに至っていきました。

東洋高圧工業 横須工場 硫安かます詰め

画像はこちらからお借りしました。

 

◆農業の近代化

時代は高度成長期。工業発展のため労働力の確保という財界の意向があった時代。その背景のもと1961年農業基本法が施行され農業の近代化が強力に推進されて行きました。これにより、農村の労働力は都市部へ流出。未来の農業の担い手不足の引き金となりました。

画像はこちらからお借りました。

 

ほぼ同時期の1962年レイチェル・カーソンが「沈黙の春」を出版。残留農薬や生物濃縮の影響を指摘し、社会に大きな影響を与えます。また、四代公害病の時期とも重なり、人々の意識の中からこれまでの化学物質の安全性に関する認識を根本的から覆すことになりました。

画像はこちらからお借りしました。

 

◆豊かさを実現して以降

1970年代、コメの消費量は頭打ちに、稲作の減反政策も始まりました。稲作に変わるものとして、地域の特産品を「産地化」する動きがおこりましたが、専作・連作をするため農薬に依存することになりました。人々の意識としては脱農薬の流れではあったが、農家としては農薬を使わざるを得ない状況。そうした中、農家が自ら農薬から解放されていく道が各地で構想され始めていきます。

 

 

◆まとめ

戦後の貧困の時代は主に食糧不足の圧力がありつつも、やればやるほど豊かになる状況から活力も高かったようです。復興期になると化学肥料や農薬が普及し増産。食糧不足はほぼ解決に向かいました。高度成長期になると新しい機械も導入されるようになり、農業に費やす時間は減ったが就農人口も減少。化学薬品に対する安全性を疑う意識潮流も出てきました。

今後は環境にも配慮しながら農薬の位置づけはどうなっていくのか?有機農法を始めとする新しい農法が主流になっていくのか?生産者側だけでなく消費者の意識によっても大きく変わっていきます。次回は具体的にどのような新しい農法が開発されていったのかについて追求していきたいと思います。

 

 

参考文献

http://www.crosscurrents.hawaii.edu/content.aspx?lang=jap&site=japan&theme=work&subtheme=AGRIC&unit=JWORK099#:~:text=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E8%BE%B2%E5%9C%B0%E6%94%B9%E9%9D%A9%E3%81%8C%E6%88%90%E5%8A%9F%E3%81%97%E3%81%9F%E8%83%8C%E6%99%AF%E3%81%AB%E3%81%AF,%E3%81%8C%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

https://www.jacom.or.jp/column/2021/05/210520-51373.php

http://www.ecome.jp/article/13593871.html

https://smartagri-jp.com/agriculture/247

https://minorasu.basf.co.jp/80455

https://jp.mitsuichemicals.com/jp/corporate/group/1946_1959.htm

https://cigs.canon/article/20140320_2456.html

https://snownotes.org/history-of-pesticides/

投稿者 muramoto : 2023年03月09日 List   

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