『農村学校をつくろう!』シリーズ-3~農や自然を生かした「農村留学」の事例から、これからの農村学校のかたちを考える~ |
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2021年09月21日
『農村学校をつくろう!』シリーズ-4~生産と集団の力をバネにして、劇的に変化した子どもたち~
前回の投稿では、長野県阿智村の「なみあい育遊会」の農村留学を事例にして、子どもたちがどのような生活を送っているのか、そして、どのようか可能性・課題があるのかについて押さえました。
今回の投稿では、農業生産の現場にて、数か月間働くことを決意した子どもたちが、集団の中での仕事を通じて、活力も、働きっぷりも大きく転換している事例をご紹介したいと思います。
■どんな仕事でも、とにかく楽しい・本気でやりたい
農業の課題は、作物を作ることや収穫するだけでなく、本当にたくさんの課題があります。長期援農に来たA君が取り組んだ課題は、田んぼで刈り取った後の草拾い。その他にも、補修が必要なビニールシートの補修や、苗の生育状況の確認などに取り組んだようです。そんな彼は、ほぼ生まれて初めて、何かを作る・生産するという課題に触れ、そして、誰かと一緒に協働するという経験を通じて、初日から大きなやりがいを感じ、一気に覚醒したのです。
また別の長期園農のB君の場合は、それまでゲーム漬けの生活だったところからの一新。援農中は、ゲームを持たずに、夜は生産仲間たちと過ごすことも。これを通じ、いかにテレビ・ゲームによって偽物の充足だけを味わっていたのか。一方で、親や、友人・仲間たちがいてくれることがどれほど有難いことかを身をもって感じることができた。集団で生産することを通じて、「人との充足」に目覚めたのです。
意識が「人=みんな」に向くと一気に転換。先輩のようにどうすればうまく作業できるか?を真似たり、チームの役に立つためには自分に何ができるのか、ミーティングをどうすれば活性化することができるのかと、どんどん可能性・前進感を生み出したいという意識・行動がどんどん生まれてくることに。不要な観念を捨て去り、課題にまっすぐ向かう勢いは、彼自身の活力上昇はもちろんのこと、同じチームや会社全員の活力を上昇する存在へと成長したのです。
■「活力生み出す」仕事であることが、農の新しい可能性でもある
農業は、年齢に限らず、小学生以上であれば、何かしらの役割を担い、そして役に立つことができる。そして、何人かの組織をつくって、全員の息を合わせることで、成果を上げることができる。
農業に仲間たちと本気で立ち向かう課題を通じて、「参加するみんなの活力が上昇する」。都市部で生活する多くの人たちの活力がどん底である現代の中で、身体を動かして働く、仲間と一緒に働く、そして仲間とともに生活する。このすべてがそろった農業自体は、「活力創造事業」として本当に大きな可能性を秘めています。
これは、「農村学校」の可能性を考える上でも重要な視点になります。
次回の投稿では、さらに、農業を通じて、「自然の摂理や原理の追求」へと向かい、全国の農業をやりたいという方への学びを提供している組織について紹介したいと思います。
投稿者 hasi-hir : 2021年09月21日 TweetList
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