【農の歴史】第2回 漁業と漁労、何が異なり、何が同じか? |
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2021年09月16日
『農村学校をつくろう!』シリーズ-3~農や自然を生かした「農村留学」の事例から、これからの農村学校のかたちを考える~
前回の記事では、私たちが現段階で考えている農村学校のイメージを簡単にまとめ、現代の子育てや集団づくりにおける社会課題と、農村学校の可能性について書きました。
今回の記事では、農村や農業の可能性にスポットを当てた、教育や地方創生の事例を探りながら、その可能性ポイントや課題をあぶりだし、これから本当に求められる農村学校のイメージを深めていきたいと思います。
■山村留学の事例
農村学校のイメージに近い教育制度の事例としては「山村留学」が挙げられます。
山村留学は「自然豊かな農山漁村に、小中学生が一年間単位で移り住み、地元小中学校に通いながら、さまざまな体験を積む」活動(「NPO法人全国山村留学協会」のHPリンクより)とされています。
(歴史的には、昭和51年の長野県「育てる会」での活動が最初の事例)
その中の一つ長野県阿智村の「なみあい育遊会」の内容を見てみます。
①設立趣旨
HPから引用すると
「豊かな自然と心温まるコミュニティは、これこそが教育、子育てにもっとも重要なものであり、こうした環境を保全、発展させ、教育とリンクさせることに、わが国の教育問題改善の大いなる可能性があるように思う。この可能性は山間僻地の大いなる財産であり、その活用は教育問題改善への光になるとともに、地域づくりに貢献するものとなろう。」
地方にある豊かな自然や、人と人の繋がりを、教育や地域づくりに生かしていこうという趣旨のようです。
②実際の農村留学の子供たちの様子
子供たちの様子を見てみましょう。
生活は、親元を離れ、専用の寮に仲間やスタッフと一緒に暮らします。共同寮では自炊や掃除、洗濯など身の回りのことを子供たちが共同でおこないます。
昼間は、地元の学校(阿智村立浪合小学校・阿智中学校)に通います。
その他の時間で、農作業や、外遊び(山遊び、川遊び、釣り、キャンプ、ツーリング、山菜取り、虫取り、雪山ハイクなど)を行うようです。
(なみあい育遊会のHP より)
★可能性ポイント
前投稿で上げた農村学校の可能性のなかで、
①人間本来の力を開放する場(右脳の開放)
②自然の摂理を、身体でつかむ
へのアプローチが豊富にあるのが魅力的です。
都市部の小中学校に通うのに比べ、格段に農作業や外遊びができる!基本的には、地元の小中学校に通うことになりますが、遊びや仲間関係に専念できるのではないかと思います。
仲間と一緒に行い、自然の外圧を感じながら行う、共同生活や農作業、外遊びは、能力形成上にとって非常に有益かと思います。その時間が豊富にあり、子供たちが専念できることの可能性は大きいと思います。
★追求ポイント
一方で、ほとんどの時間は、普通の小中学校で過ごすことになり、その時間の過ごしかたも非常に大事になると思います。
また前投稿の、
③生産課題を通じた本物の学び
の可能性が活かしきれていないのがもったいないと感じます。
農作業の時間はおそらく自分たちで食べたり近所へおすそ分けする範囲の農に留まっているようです。例えば、実際の農家や農業生産法人のお手伝いをするとか、作ったものを販売して稼いだお金を自分たちの寮生活のために活用するなど、現実の仕事に触れる機会、社会の生の外圧に触れる機会に結び付けられるとめちゃめちゃ可能性を感じられると思います。
さらに、
④集団意識を再生する(新しい集団づくり)=共同体づくり
へのアプローチもあるともっと良くなるように思います。ここで過ごした子供たちが、最終的には地元の都市部へ帰っていってしまうのではなく、例えば、一部はこの地域で就農したり、仕事をしながら生活するところまで斡旋する仕組みがあると、地域にとっても魅力ある活動になるのではないでしょうか?
これから構想する農村学校は、これらの可能性を活かしつつ、追求ポイントに挙げた課題にもアプローチする新しいかたちを追求していきたいと思います!
投稿者 o-yasu : 2021年09月16日 TweetList
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