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2020年12月10日

農と金融5~自然に触れていれば不自然さが分かるようになってくる

【農と金融4~つくり手の復権】
に続いて。

都会は、不自然さに違和感を持たせなくする。

 

以下、転載(「共感資本社会を生きる」2019著:高橋博之×新井和宏)

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■効率を追い求めるほどに、自分の可能性は狭まっていく
高橋)知らない世界を知るって、いいですよね。

新井)一番楽しいじゃないですか。それがある種、自分の可能性にワクワクする瞬間なんです。いままでのことしかできない自分、ここに閉塞感を感じるわけですよ。つまり、いま自分は「これ」しかできない、この会社にいない限りにおいて自分は自分ができる「これ」をお金にすることができないとか、そういう話になるわけですよ。そうじゃなくて、まったく違うことに出会って、まったく違う体験をし、まったく違う自分の可能性に気づく。そのときに、自分は縛られていない、自由なんだと感じる。本当の自由な自分。違う可能性に気づく瞬間っていうのは、たぶんそういうところにしか起きないのかもしれない。

高橋)つまり逆に言うと、同質化の世界においては、何かに所属をしていて、そこが似たような人たちの集まりで、そこに自分の窮屈感、閉塞感、可能性の限界を感じ、みんな死んだ魚のような目をして不自由だと。そうさせているのはお金だと。確かにな。

高橋)つながることや体感するっていう話、僕の中で重なるんですよ、金融と食が。人が人を傷つけ人を収奪し、自然を傷つけ自然を収奪するっていうかたちから変わっていくためには、新井さんがおっしゃるように、人間というのは自然との関わり、他人との関わりっていうのを取り戻さなきゃいけないと思っています。
生産者って面白いんですよ。「あの田んぼはわしで、わしはあの田んぼや」と。漁師も「あの海は俺で、俺はあの海だ」って、切り離してないんですよ。あの野菜を食べて野菜が自分になる。食べるっていう行為を通じて環境が自分の中を通過しているという意識があるから、環境の悲鳴に対して他人事でいられないんですよ。いまはそこが完全に分断していて、ただの栄養補給で、食べ物がもともと自然が生み出した動植物だっていうのが見えなくなっている。これだけ温暖化だ、環境の破壊だっていうのに他人事でいられるのは、知らないから、そしてつながっていないから。自然と僕らの身体っていうのはつながっているっていう感覚を取り戻すっていうのが、その意味でも大事。

 

■「いま」を犠牲にする社会から脱却するには
新井)都会は、不自然さに違和感を持たせなくする。本来、人間には感受性が備わっているので、感じるわけですよ。そして、不自然なものがあれば、それに違和感を持つ必要があって、じゃないと危険なものを食べたりしてしまう。でも、都会にいると不自然ななかで生きているから、不自然が普通になってしまう。不自然すぎる状態になっていると、不自然が当たり前になるので、自然がわからなくなる。要は感覚が鈍るっていうことですよね。鈍ったまま判断をしつづけると、自分の不自然さがわからなくなる。逆に、地域に行けば自然があるし、自然に触れていれば不自然さがわかるようになってくる。

この感性を取り戻さないといけない。さらに先に進むと、自分というものだってたくさんの細胞からできていて、自分が命令しているわけでもないのに生きているわけですよね。いちいち一個一個の細胞に命令をしているわけじゃない。細胞は日々生まれ変わっている。それを踏まえて、自分自身がいったい何なのか、何者なのかっていうことを考える力を持たないといけなくて、それが考えられるようになってくるとさらなる共同体感覚、つまり自然と自分は一体であるっていうふうに思うようになっていく。

高橋)これまでの近代の日本の生き方というのは、未来の成長や豊かさのために、いま、今日というこの瞬間の生をある種、犠牲にするっていう生き方です。それが正当化できたのは、「いま」が貧しかったから。食えなかったから、今日家族と過ごす時間を犠牲にし、友だちと遊びに行きたい休日も犠牲にし、ときに自分の健康も犠牲にしながらがんばれば、明日は今日より食えるようになったじゃないですか。給料も上がっていったじゃないですか。
ところが今はもう、今日この瞬間の生を犠牲にする正当な理由がない。だっておなかいっぱいだから。なのに、引き続き未来のために今日、馬車馬のようにがんばって働けって言われている。生きるリアリティの根拠を先送りするような社会の中で、当然若い人が生きる実感、リアリティが湧かないのは当たり前で、そういうふうに仕向けているのはお金なんだなと。いまを犠牲にしてしまうような生き方・働き方に人間を追い詰めているのは、貯められるというお金のあり方だと。

投稿者 noublog : 2020年12月10日 List   

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