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2020年03月12日

小規模農業とは。農業の大規模化が進む中で再評価されている小規模農業について

現在、日本の農業を取り巻く環境は、非常に厳しい状況に置かれています。

私自身、新しい農業と言えば、スマート農法のように、情報化・機械化の手法を駆使しながら、少ない人数で生産性をあげていくという大規模農業が主流になっていくものとして認識していました。

そのような中にあって、反対に、小規模農業というスタイルが日本の農業界の存続には欠かせない。という内容をとりあげた記事がありましたので、今回はそれを紹介します。

リンク】2020.01.27からの記事  GROW RICCI 「日本を農業で元気にする」より

転載開始

農業従事者の高齢化に伴う後継者不足、担い手不足、耕作放棄地の増加などの問題を解決しようと、近年の日本では「農業の大規模化」が推進されています。しかし最近、小規模農業が再評価され始めています。

■日本の農業の現状

日本の農業就業人口は、2000年の389万1000人から2018年には175万3000人になるなど、減少傾向にあります。米や野菜、果実などの産出額や農作物の作付面積、生産量は減少し、その一方で耕作放棄地は増え続けています。

国はこのような現状から、農業を効率化し、生産性を高めることを目的に、農業の大規模化や企業参入を進めています。

農地を借りたい企業などに貸し付ける農地中間管理機構(農地バンク)の認知が高まったこともあり、農地の大区画化や利用実績、企業参入の数自体は増えつつあります。しかし爆発的に進んでいるわけではありません。

 

■小規模農業が再評価されている

そんな中、日本農業新聞によると、農林水産省が12月23日に開催した食料・農業・農村政策審議会企画部会の会合で”大規模な担い手の育成だけでなく、小規模農業も含む多様な農業を後押しする必要性を強調”した、とあります。

これは「農業の大規模化」を方向転換したわけではなく、従来通り農地集積や法人化などを進めながらも、規模拡大だけでは存続が難しい地域農業や農村の存続もはかろう、という内容です。

北海道を別にした、日本の農地面積や農業生産額の4割は「中山間地」が占めています。大規模化をはかることで、農業生産の効率化や生産性を高められると期待されていますが、「中山間地」ではその効率化が難しいと言われています。農地集積を進めるにしても、「全国一律ではない地域事情を踏まえるべき」と声があがったようです。

また記事内で、法政大学の図司直也教授は、

担い手を支えるためにも、小規模農家を含めて地域の営農環境を整える必要がある

と指摘していました。

 

■アメリカの事例から、小規模農業の意義を学ぶ

“小規模農家を含めて地域の営農環境を整える必要がある”は、大規模農業のイメージが強いアメリカでも検証されている内容です。

大規模農業の強いアメリカですが、小規模農家向けの政策支援がいくつもあります。背景には、1980年代の輸出志向型農政によって家族経営の農家の倒産や離農が進んだことにあります。農村社会が崩壊する可能性に危機感を感じた農務省が、小規模農家の育成策を出したのです。

元々アメリカでは、建国の中心である小規模な家族経営の農家に畏敬の念があると言われています。そのため昔から、農業の大規模化が農村社会にもたらす影響について研究されてきました。

「大規模農業の割合が農村地域に増えると、その地域の生活や文化的質が低下する」という仮説(ゴールドシュミット仮説)を立てたこの研究で、実際に農業の大規模化が進んだ地域で生活インフラが低下するなどの影響が見られました。

決して、効率や生産性の高い大規模農業が悪というわけではありませんが、大規模農業だけを押し進めると、紹介したアメリカの事例のようなことが起きないとは言い切れません。

また農村や農業地域を維持するのであれば、その地域社会での人との付き合いや、農地等の維持作業に参加するなど、農業生産「以外」にも目を向ける必要があります。そのためには、効率重視な大規模農業「以外」の、多様な担い手の存在が必要と言えるでしょう。

 

■小規模農業の魅力とは(メリット・デメリット)

従来の農業には、「農業は稼げない」「稼ぐためには規模を拡大する必要がある」などのイメージが多かったのではないでしょうか。

しかし近年では、かつての「農業」とは稼ぎ方が変わっており、以下のことを意識して取り組めば、小規模であっても稼ぐことはできます。

  • 労働生産性を考える
  • 生産コストを考える
  • 販売元を複数もつ

従来の農業は、労働時間や労働量の割に、生産物の単価が安く、「稼ぐには身を粉にして働かなければならない」印象がありました。

しかし農業であっても、一つの「ビジネス」として向き合うことで、無駄な労力を使わずに農産物を生産することができます。

やみくもに農産物を生産するのではなく、

  • 顧客
  • 市場価格
  • 流通にかかる手間やコスト

などを徹底的に分析し、その情報をベースに生産していきましょう。

また販売も意識しましょう。販売先によっては、市場で売れなかった生産物に需要ができることも。

規模を広げなくても、上記を意識すれば稼ぐことはできます。小規模であれば、初期投資などのコストを下げることもできますから、小規模農業のメリットは「新規参入のハードルを下げること」とも言えます。

ただ、小規模農業に対して厳しい意見もあります。

日本農業新聞には、農産物を「安定供給する」という点では弱い小規模農業について「法人化するレベルでないと世界と戦えない」という意見が掲載されていました。

 

 ■未来の日本の農業はどうなる?

小規模農業が再評価されているとはいえ、後継者・担い手不足、耕作放棄地の増加が続く限り、農地の集約を始めとする「農業の大規模化」は進むと見られています。

ただ、先で紹介したアメリカの事例のように、大規模農業と小規模農業が共存する形ができれば、大規模と小規模、両方のメリット・デメリットを補いあえるのではないでしょうか。

小規模農業への支援が、日本の農業の衰退を食い止めるきっかけになるかもしれません。

以上転載終了

 

■まとめ

以上から考察すると、大規模農業の推進一辺倒では、日本の農業そのものが消滅していく危険性があるということになります。

その中にあって、小規模農業の取り組みによって、農業世界が、広く、深い存在として存続できていく可能性を秘めているのではないでしょうか?

要は、本文にもあるように、大規模と小規模、両方のメリット・デメリットを補いあいながら存続していく事で、農業界だけでなく、情報サービス、流通、食品業界など、産業全般を巻き込みながら、従来の「農」の有り様が変わっていく可能性もあるのです。

更に、小規模農業の舞台である(日本の農地面積や農業生産額の4割を占める)「中山間地」を活性化できれば、日本の自然環境、里山の風景も豊かに継承できていく事も可能になります。

そう考えると、小規模農業の取り組みは、日本の農業全体の衰退を食い止めるためには待ったなしという状況であり、すぐ実行に移すことが肝要なことと考えます。

投稿者 noublog : 2020年03月12日 List   

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