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2019年11月28日

土の探求12~土壌生物の生業Ⅰ.遺物のリサイクル

自然農法、有機農業、循環型農業。。。

様々な呼び名があれど、問いの本質は、土の秘めたる力をいかに再生させるか。

そのためにはまず、土に生きる生命たちの生業を解明していく必要がある。

いよいよ本編の主役、微生物の登場。

 

以下、転載(土・牛・微生物 著:デイビット・モントゴメリー)

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農業にまつわるもう一つの影響力のある神話は、私が大学で学んだ、半ば事実の無害なもの~化学と物理が土壌肥沃度を左右する~だ。
特に、土壌肥沃度はその陽イオン交換容量~土壌がプラスの電荷を帯びたイオン、つまりカリウム(K⁺)、カルシウム(Ca²⁺)のような必須栄養素を、土壌水分がだいたい溶解できる程度に保持できる量~にあると、私は教わった。間違ってはいないが、それで話は終わりではない。

 

農家が民間試験場にサンプルを送って、土壌に何が含まれているか調べてもらおうとするとき、その目的は作物の成長を促すために何を与える必要があるかを知るためだ。しかし標準的な土壌の化学試験は、土壌中の水溶性の成分、土を透過した水が拾い上げて植物に引き渡しやすい物質を計測するだけだ。
土壌有機物の中にしっかりと抱え込まれた栄養は、普通の土壌試験に表れない。溶けにくい鉱物に閉じ込められたあらゆる栄養も同様だ。交換できる、植物が吸収可能な水溶性の状態であるものは、常に土壌中のごく一部の要素だけなのだ。だから標準的な土壌試験場の報告は、大きなものを見落としている。土壌生物が栄養を、鉱物土壌と有機物から、植物が利用できる状態に変換する能力だ。1980年代以降、土壌生態学と微生物学の発展は、栄養循環を左右し、土壌肥沃度に影響を与える微生物と有機物の相互利用に対する私たちの理解を根本から変えてきた。

これを知ってもサー・アルバート・ハワードや、アメリカを建国した哲学者農民たちは驚かなかっただろう。そして現代の農家も驚かないはずだ。優れた農家は、土を肥沃にするものについて、細かい素性まで全ては知らないかもしれないが、手で触れ、目で見ればそれとわかるのだ。彼らが泥を手に取り、指先でこすり合わせ、自問するのを私は見た。もろいか、粉っぽいか。団粒状でまとまっているか、触るとばらばらに崩れてしまうか。何より、どれほどの有機物を含んでいるか。
ある意味で、土壌が健康か劣化しているかを見るのはたやすい。土の色が黒っぽいほど、多くの有機物~そして炭素~を含んでいる。数世代前には、土壌中の有機物の量が農地の価格を決めていた。農家はみな、有機物に富む土壌のほうが肥えていることを知っていた。

 

健康な土は、土壌生物、有機物、鉱物が特定の割合で混ざり合い、地球の薄い皮膚を形作っていると考えてもいいだろう。産地の岩を覆う地衣類の規模を拡大したようなものだ。
なかば生き、なかば死んだ表土の平均的な厚みは30センチから1メートルほどだ。土壌は地球の直径1万2700キロメートルの中の薄皮一枚にすぎないが、その重要性は割合とは比例しない。この風化した岩の繊細な毛布が、陸地を居住可能にしている。
生物の世界と岩石でできた地球の骨格のあいだにある躍動的な境界として、土壌は微生物が高等な生物の遺物を新しい生命の原料にリサイクルする領域だ。

投稿者 noublog : 2019年11月28日 List   

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