シリーズ「自給期待に応える食と医と健康」⑧~食品流通から食の安全を考える |
メイン
2014年03月25日
『生物にとって、薬とはなにか?』シリーズ:プロローグ
(画像は こちら からお借りしました)
身体を組成し、エネルギーを蓄えるためには、必ず食べ物を得る必要があります。
しかし、食べ物を食べても私達の身体は完全ではなく、徐々に老化し、あるいは病気を引き起こす。身体の異常はつきものであり、これを改善するために私達は「薬」を利用します。
しかし現在、薬を得てもますます不健康になり、薬づけになる一方です。
そこで、本シリーズでは、歴史を遡って、生物の自然治癒力と薬の基本原理を解明し、生物にとっての「薬の意味・意義」について考えていきたいと思います。
●薬とは、生物が持っている本当の自然治癒力を強化するもの
病気になった際に、現代の西洋医学では部分治療を試み、その治療に即した薬を飲みます。一方、東洋医療では、部分を見るのではなく、身体全体を治癒する治療法を考え、身体に見合う薬を使いながら治療しています。
しかし、これだけ現代医療が発展してきても、年々病気は増え続け、それに伴って薬の種類も量も増え続けています。
そして、これらの治療に必要な薬を1度飲めば、治療の度に様々な薬を飲み続ける事になります。
そこで、生物史の歴史構造認識に立ち戻って考えてみると、外圧の変化に伴い、例え病気になったとしても、身体の内部にある自然治癒力を駆使し、治癒する「安定」とDNAを組替え進化させる「変異」によって、適応してきた歴史事実が見えてきます。
『 実現論 第一部 前史『ロ.雌雄の役割分化 』より引用
事実、進化の源泉はDNAの多様性にあるつまり、同一の自己を複製するのではなく、出来る限り多様な同類他者(非自己)を作り出すことこそ、全ての進化の源泉であり、それこそが適応の基幹戦略である。しかし、同類他者=変異体を作り出すのは極めて危険な営みでもある(∵殆どの変異体は不適応態である)。従って生物は、一方では安定性を保持しつつ、他方では変異を作り出すという極めて困難な課題に直面する。その突破口を開いたのが組み換え系や修復系の酵素(蛋白質)群であり、それを基礎としてより大掛かりな突破口を開いたのが、雌雄分化である。つまり、雌雄分化とは、原理的にはより安定度の高い性(雌)と、より変異度の高い性(雄)への分化(=差異の促進)に他ならない。従って、雌雄に分化した系統の生物は、適応可能性に導かれて進化すればするほど、安定と変異という軸上での性の差別化をより推進してゆくことになる。(引用終了)
つまり、生物は、ウィルス等による外圧の変化が起った際に、生物が本来持っている安定と変異による自然治癒力にて適応してきた事が分かります。
この生物の自然治癒力は、どのような形成過程によって出来上がってきたのでしょうか?
●生物の進化は塗り重ね構造にある。
まずは、生物の基本原理を見ていく事にします。
実現論 より引用
>かくして人類は、生存課題の全てを本能⇒共認⇒観念(精霊信仰)へと先端収束させる事によって、観念機能(→二〇〇万年前の言語機能を含む)を発達させ、その事実認識の蓄積によって生存様式(生産様式)を進化させていった。(中略)
人類は、ここまで五〇〇万年を費やして共認機能⇒観念機能⇒生存力(生産力)を進化させてきたが、その間、サルの主圧力であった同類闘争圧力は全く働いていない。しかし、忘れてならないのは、同類闘争圧力は働いていないが、極限的な生存圧力と、それ故の期待・応望の同類圧力は極めて強力に働いており、この強力な生存圧力⇒同類圧力こそが、観念機能と物的生存様式を生み出し、進化させてきたのである。(引用終了)
全ての生物は、外圧適応態( 実現論 参照 )であり、様々な外圧の変化に対して、自らの内圧を「安定」と「変異」の2つを駆使しながら適応してきました。
つまり、全ての生物は、「外圧=内圧」の状態を作る事で過酷な外圧に適応してきたと言えます。
さらに、過酷な外圧に適応する中で、本能⇒共認⇒観念の3層構造を進化・塗り重ねる事によって、あらゆる外圧にも淘汰されないように必死に闘い抜いてきたのです。
【本能⇒共認⇒観念の3層構造図】
●自然治癒力(安定)も塗り重ね構造にある
そして、本能⇒共認⇒観念の3層構造の塗り重ねだけでなく、外圧の変化に伴い、「安定」と「変異」も塗り重ねを繰り返してきたと言えます。今回は、「生物にとっての薬とは何か?」を探る上で、安定=自然治癒力に絞って追求していきたいと思います。
そこで、生物史~人類史を遡りながら、自然治癒力の成り立ちと共に、自然治癒力(安定)がどのような塗り重ねを経て、現代の私達にどのような力が携わっているのか。
各章で詳しく見ていきながら、『生物にとっての薬とは何か?』について追求していきたいと思います。
【外圧適応図】
第1章 生物の合成と修復の原基構造
まずは免疫の仕組みについて追求します。
特に生物は、例えば外部からウィルスが侵入してきた場合や分裂時に異常が発生した場合に、細胞膜内の修復酵素によって、修復する仕組みを持っている事が分っています。
そして、この細胞膜は、摂取すべきものを区別して取り入れることが出来る。
⇒修復酵素とは?体内の修復機構。「自然治癒」の起源は?
⇒自然治癒と薬との関係は?
等について追求していきたいと思います。
第2章 植物と薬 ~外圧適応能力と毒・薬~
次に身体に異常が出た場合、古来では薬草を使って治癒する方法を編み出していました。
しかし、よくよく調べていくと、そのほとんどが『毒』をもっており、体内に入れすぎると死に至るものもあります。
では、そもそもこの薬草にどんな効用があるのか?植物の適応力も合わせて見て行きたいと思います。
⇒植物特有の外圧適応力とは?(細胞壁、毒の発生、光合成など)
⇒薬草とは?薬効がある植物とそうでない植物の違いとは?
第3章 動物の本能と薬 ~自然治癒機能を強化する五感の進化~
そして、動物編では、本能レベルで、身体に異常を感じると普段食さない「薬(薬草)を食べる」ことがセットされている事が分っています。
⇒毒と分かっていながら、身体に異常を感じたときになんで食べるのか?
⇒五感(特に、味覚)の進化による危機察知能力の向上。その進化の系譜は?
について追求したいと思います。
第4章 共認原理と薬 ~精霊信仰、シャーマンと薬~
第4章では、いよいよ人類史に入ります。
共認機能を獲得していた人類は、治癒にもその機能を最大限に活用していたようです。
例えば、古代シャーマンは、精霊と対話し、異常を訴えた者に効く薬を精霊から聞き出した言い伝えもあります。
⇒この共認治癒とは、一体どのようなものなのか?
⇒「手当て」というとおり、共認充足が最大の治療?女性の充足力?
に関し、追求を深めていきます。
第5章 中医学の導入と和漢方 ~日本人の同化と自然観~
そして、核心に迫る第5章では、中医学(分類学)をどのように日本風変えてきたかについて探る事で、この力を使えば西洋・東洋医学をアレンジし、本当に必要な薬を学んでいけるのではないかと考えています。
⇒遣隋使、遣唐使時代の中医学の導入は、日本の薬学をどのように変えたのか?
⇒江戸時代、中国医学・漢方を日本風にアレンジしたが、何を?どのように変えた?
第6章 生物にとって、薬とはなにか?
最後の6章では、これまで見てきた第1章~第5章の内容をまとめ上げる集大成として、生物にとって、薬とは何か?その答えを出したいと思います。
※各章にある⇒の部分が、今後の主な追求内容になります。
それでは、次回から始まる『生物にとっての薬とはなにか?』をお楽しみにして下さい。
投稿者 noublog : 2014年03月25日 TweetList
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.new-agriculture.com/blog/2014/03/1557.html/trackback