【新年コラム】タネをまもる人たち |
メイン
2013年01月12日
改めてTPP加盟問題の本質に迫る
みなさん、新年明けましておめでとうございます。本年度も当ブログをよろしくお願いいたします。
ところで、総選挙の結果は自民党政権への逆戻りというカタチとなりました。農業に与える影響としては戸別所得補償の見直しなどが考えられますが、一番気になるのはTPP加盟問題だと思います。
TPPについては「今さら聞けない、、、」という方もおられると思いますので、改めてTPP問題の本質について今回は扱いたいと思います。
以下のブログは当ブログの兄弟ブログですが非常にわかりやすく問題が整理されておりますので引用します。
では、続きへどうぞ。
今回のテーマは、「TPP問題の本質に迫る!」です。
画像の確認
★★★製造業 対 農業という見方では不十分
首相が交渉参加を表明した事でTPP問題がメディアを騒がせています。この問題が取り上げられ始めた2011年初頭は、「輸出を伸ばせ」という賛成派と、「農業を守れ」という反対派の二項対立で議論が進んでいました。
しかし、TPPには「2015年までに農産物、工業製品、サービスなど、すべての商品について、例外なしに関税その他の貿易障壁を撤廃する」事が定められています。つまり、金融・投資・法律・医療などを含め、一切の貿易障壁が無い「完全な日米自由貿易圏」が実現することになるのです。
そして、日米自由貿易圏で「米国が輸出するもの」は、農産物や工業製品ではなく、金融サービス、法律サービス、医療サービスこそが中心であり、これらのサービスを日本へ輸出するにあたって、「貿易障壁となる法律や制度は、撤廃される」ことになります。
その結果、狂牛病の月齢制限撤廃、遺伝子組み換え作物・ポストハーベストの規制撤廃、郵政資金の国内運用禁止、日本で禁止されている添加物や医薬品の使用認可、労働力の自由化、言語障害の撤廃(公用の場での日本語禁止)、国民皆保険制度の廃止、といった事が次々起こりうるのです。
結局のところ、TPPを締結化するかどうかは、「どの産業を伸ばすか、守るか」などという貿易・経済問題ではなく、「米国が要求する規制緩和や法律整備に従うかどうか」という法律・政治問題なのです。
★★★「日本のTPP参加」を実現したいのは誰か?
世界的に市場が広がるメリットがあるかのように報じられるTPPですが、アジアの主要国は参加せず、日米の二国で参加国のGDPの90%を占めるなど、実質的には日米の二国間協定に過ぎません。
そして、突然議論が沸きあがってきたこれまでの経緯が示すようにTPPには「日本が参加しようとしている」のではなく、 「米国が参加を強要」しているのです。
米国政府は自身の公式サイトで、TPPの目的は「輸出拡大」であるとし、『米国の輸出品の拡大は、米国の景気回復、および米国での高品質の雇用の創出と維持にとって重大』である事を、明言しており、TPP参加に非常に積極的です。
この米政府の背後にいるのが、『政府関係者にロビー活動を行って自分たちの会員企業に有利な法律を政府に作らせるのが仕事』である「全国貿易協議(NFTC)」という著名多国籍企業が名を連ねる財界団体・同業組合です。
つまり、日本のTPP参加を是が非でも実現したいのは、(日本政府ではなく)更なる市場を狙う米国企業と、雇用創出を狙う米国政府なのです。
そして、米国企業・政府、それらの背後にいる国際金融資本家が日本のTPP参加に強い圧力を掛けてくる背景には、彼ら自身が近年の金融バブル経済破綻等で相当に追い詰められており、日本を完全植民地化しないと生き残れない、という状況判断があるのです。
この米国からの圧力に対し、日本政府は言いなりになるばかりか、進んで動こうとしています。
★★★TPP問題の本質は?
冒頭で紹介したような個々のリスクに加え、問題として大きいのは、 「ラチェット規定」と「ISD条項」です。
「ラチェット規定」は、現状の自由化よりも後退することは許さないという規定です。締約国が、後に何らかの事情で市場を開放し過ぎたと思っても、規制を強化することは許されないのです。
また、「ISD」は、ある国家が自国の公共の利益の為に制定した政策によって海外投資家が不利益を被った場合、世界銀行傘下の「国際投資紛争解決センター」という第三者機関に訴える事ができる制度です。
あくまで「政府の政策が投資家にどれくらいの被害を与えたか」が審査され、「その政策が公共の利益の為に必要か否か」は考慮されず、結果に不服があっても上訴出来ません。要するに、ISD条項とは、各国が自国民の安全、健康、福祉、環境を、自ら決められなくする「治外法権」規定なのです。
この規定や条項からも分かるように、TPP問題は、景気回復に意味があるかどうか、などという小さな問題ではありません。日本が米国と完全に一体化する道を歩むのか、すなわち米国による日本植民地化を認めるのかどうかが本質問題です。
米国が置かれている状況を見定めれば、TPP参加は日本が米国と心中する道を選ぶということを意味しています。
★★★TPP問題からみえる可能性
画像の確認
TPPの本質問題が見えてこないのはなぜでしょうか?その原因は、大手新聞と地方紙のTPP問題に対する論調を比較してみるとわかります。
<大手新聞>
【朝日新聞】交渉参加で日本を前へ
【読売新聞】首相は参加へ強い決意を示せ
【毎日新聞】米国陰謀説は的外れ
【産経新聞】首相は迷わず参加決断を
【日経新聞】首相はTPPに参加決断
【東京新聞】交渉決断へ・ルール作りは戦い
<地方紙>
【秋田魁新報】戦略なき参加はやめよ
【新潟日報】分からない点だらけでは
【高知新聞】政府はもっと影響の説明を
【琉球新報】政治主導をはき違えるな
【北海道新聞】国民の疑問に答えねば
大手新聞は推進一色、地方紙は反対・慎重論一色となっています。大手マスコミは大手広告代理店を通じて大企業がスポンサーであり、その意向に従うために、偏向・捏造報道をしています。さらにその背後には米国の存在があり、政府へもTPP推進の圧力をかけています。
これに応じた従米路線の政府が中身の無い推進論を掲げて、降って湧いたようにTPP問題が発生したというのが現状です。
つまり、TPPの本質問題が見えてこない原因は、大手マスコミの偏向・捏造報道にあり、その報道そのものが解決の糸口を見えなくさせているのです。
一方で、可能性の萌芽は、地方紙が大手マスコミに反旗を翻しているところにあります。地方紙は、地元中小企業がスポンサーであり、読者も地元民であることから大衆の意識に近いため、反対・慎重派に回っています。
これまで大手マスコミの主張に従っていた地方紙が反旗を翻したということは、大手マスコミの支配力が弱まってきていることを示しています。また、その背景には一般大衆が大手マスコミの世論支配に容易に乗らなくなってきたこと、マスコミ不信が高まってきていることがあります。
今後もマスコミ不信が高まる中で、求められるのは捏造報道や偏向報道ではなく、問題を解明していくための事実発信にあります。
事実発信とは主観を排した情報の媒体となることです。これはツイッターやブログでの発信など、一般大衆が充分実行していけることです。むしろ、大手マスコミのような利権構造にはない一般大衆だからこそできることだとも言えます。
こうした情報媒体が増えていくことで、マスコミに代わる新たなメディアが新勢力として生まれてくることになります。
そして、その新勢力が徹底的に事実発信を行っていくことで、一般大衆も本質をつかみ、モノを考えられるようになっていきます。そうなればこれまでの従米政府が新政権へと交代し、TPP問題を含む諸問題が解決へと向かっていくことも可能になります。
現在、なによりも求められるのは、事実発信(=情報媒体)を増やし、新たなメディア(新勢力)を創ることにあるのです。マスコミ不信が高まっている今、既に実現基盤は存在しています。そして、それは私達、一般大衆だからこそ実現できることなのです。
最後まで読んで頂いてありがとうございます☆
本年もよろしくお願いいたします。
投稿者 hirakawa : 2013年01月12日 TweetList
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.new-agriculture.com/blog/2013/01/1380.html/trackback