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2013年01月05日

【新年コラム】タネをまもる人たち

新年明けましておめでとうございます
今日はタネのお話です
これまでもこのブログではタネのことをあつかってきましたので、
まずは、そのおさらい“タネが種苗会社に支配されている”をしてから、
新しい可能性へむかっていきたいと思います

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1.タネが種苗会社に支配されている
現在、私たちが毎日スーパーで買って、食べている農作物、そのほとんどがF1種と呼ばれる種から育てられたものになってしまっています。その一方で、昔から育てられているような、在来種、固定種の野菜は、市場からほとんど姿を消しました。F1種についてはこちらもご覧ください→
http://ww4.enjoy.ne.jp/~macroway/issue/f1.htmlより引用
このF1種による支配がもたらす危険性は、さまざまに取り上げられています。
例えば、将来、永続的な栽培ができないということもその危険性のひとつです。
以下、るいネット「自らの存在基盤を破壊する奇妙な技術だ」より引用
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=163644

「緑の革命」に使われた新しい種子は高収穫品種(High-Yielding Varieties)と呼ばれる雑種で、品種の特質を一世代しか保つことができない(F1種)ため、農家は種会社から毎年新たに種を買いなおさなければならない。
これらの種は別名「高反応品種(High-Response Varieties)」とも呼ばれる。化学肥料の大量投入に大きく反応し、強力な農薬への抵抗力を高めるよう改良・増産された品種だからだ。実験室で報告された大収穫が実際の農場でも見られることは滅多になく、特に第三世界の人たちが生活の糧を栽培する小さな農地では新しい種による大収穫はほとんど望めなかった。しかも伝統的な在来品種に比べて新しい種子は栄養的に劣っている。
肥沃な土壌管理のもと育てられた伝統品種は化学肥料や農薬を使わなくてもハイブリッド品種と同じくらいの高収穫をあげ、栄養価では新品種をはるかにしのぐことを証明している実験結果もある。
伝統的な品種と違い、新しいハイブリッド品種の寿命は短い。化学薬品に手厚く保護されても2~3年たつと害虫の大被害を受けるようになり、すぐにまた新しく作った品種と取り替えなければならない。
そしてここに問題が生じる。伝統品種の生殖細胞を基に品種改良された新しい種が、自らの品種改良の基となる伝統品種を駆除している。かつて研究者たちが数百品種ものサンプルを集めた農村に、今は研究者たちが品種改良して売り出した一種類の農作物しか育っておらず、そしてその一種類の寿命も短いから新たな品種改良が必要なときに、基となる在来種の生殖細胞はもう入手できない。
「自らの存在基盤を破壊する奇妙な技術だ」とある専門家は言っている。

このようにして、現在の農家は毎年、種苗会社から種子を買わなければならなくなってしまったのです。現在、世界の種子市場は230億ドル。種子企業の上位10社がそのうち約1/3を占めるという構造になっています。そして在来種や固定種は、そうした市場には組み込まれず、育てられもせず、絶滅していっています。
2.経済的な価値を超えて受け継がれている種もある
①京都の高校で、伝統野菜を育てている女子高生たちがいます

はじめまして
京の伝統野菜を守る研究班です!
私たちは、農家さんが先祖代々受け継がれてきた門外不出である
京野菜の種を特別に譲っていただき、学校で栽培・種子保存を行っています。
その他にも、加工品の開発や食育活動など様々なことをしています。

http://d.hatena.ne.jp/kyoyasai/より引用
“京野菜”“なにわ野菜”“大和野菜”など、ブランド化された“伝統野菜”を栽培している人たちは、沢山います。そんな中、彼女たちの活動で目を引くのは、地元農家で“伝承されてきた種”を譲り受け、“自家採種”をしていることでしょう。

(メンバーの)吉川さんが驚いたのは、それだけではない。
「実はいま、京野菜として販売されている野菜のほとんどが、外国で育てられた種子から作られている」というのだ。栽培や収穫に手間がかかるため、地元・京都では京野菜を栽培する農家は減るいっぽう。かたやそれだけ手間暇をかけて作った野菜の種子は貴重な財産のため、ほとんどが門外不出。府内で1軒の農家でしか育てていない京野菜もある。吉川さんたち研究班は、調べれば調べるほど、「この状況はおかしいのでは?」と思い始めた。
「高齢化や後継ぎ不足で農家さんが引退してしまったら、伝統野菜が途絶えてしまう」 そんな危機感をもった吉川さんと研究班のメンバーは、農家を1軒ずつ回り、種を分けてほしいと説得を始めた。「断られるのが基本」という厳しい交渉だったが、「高校生による研究・保存のため」という目的、そして吉川さんたちの熱意によって、1軒の農家が門を開いてくれた。こうして種を手に入れた桂瓜は、いま桂高校で大切に育てられている。

http://shingakunet.com/rnet/s/column/action_column/action3.htmlより引用
“伝統野菜”が、種苗会社で作られた外国産の種によって形だけ継承されていること、もはや“伝統野菜”ではなくなりつつあることに敏感に気づき、行動に移せたのは、市場原理に直接は内在していない高校生ならでは、とも言えるかもしれません。
②タネの交換会をしている人たちがいます
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=600&t=6&k=0&m=271760より引用

その中でおっと目を引くのが、“たねの交換会”という看板のあるテント。
並んでいるのは、いろんな色やかたちの種子でした。
>種の交換会では、参加する人が広く伝え守っていきたい
 たねを持ち寄り、お互いに交換します。
>交配や交雑している種、農薬の使用・不使用。
 遺伝子組み換えの可能性などについては、
 お互いがわかりあえるまで語り合いましょう。
http://organic710.exblog.jp/i5/
持ち寄られた種は、気候適応し自家採種されたオリジナルが多く、
それぞれに特徴やストーリーがあります。
>地域の気候風土に適応した種が増え、その土地ならではの食文化が発展していくこと、 そして次の世代に持続可能で豊かな暮らしを引き継いでいくこと
>1人で30種類の種を採種することは大変ですが、30人が1種類ずつ採種し、
 持ち寄って交換することはさほど難しいことではありません。
http://www.geocities.jp/tanenomori1/Exchange_Seeds/exchange_seeds.html
ひと昔前の農村では、
伝統の作物のたねを“門外不出”とし、排他的に守る習慣が一般的でした。
ところがいま、“たねを守る”ことは、もっと開いた課題になっています。
(最近では、パタゴニアの元日本支社長 ジョン・ムーア氏が東京から高知に移住。
 伝統野菜の種の保存に力を注がれる、という新聞記事もありました。)
たねの交換会”は、市場原理に支配されつつあった“たね”を、
経済的な価値を超えて、大切に守っていく大きな可能性だと言えるでしょう

3.まとめ
この二つの事例では、どちらもF1が席巻しつつある種市場のそとで、自分たちの伝統・文化としての種を守っている事例です。どちらも、種苗会社による支配から脱する可能性であるといえるでしょう。
しかし、ここで浮上してくるのは、“たね”を無条件に“交換”“広める”ことが正しいのか、という疑問です。

伝統野菜・地方品種は、それぞれ特定の地域の環境とそれを元にして生まれた特性、それを知った上での独特の栽培技能、そして独特の風味と、それを生かす調理・加工法が一体となって初めて伝統野菜でありうる。基本的には元々広域的なものではなく、これを無視しては似て非なるものになってしまう。一方で、地域振興のために経済効率を狙えば、生産拡大・産地の広域化が必要となり、大量生産・大量供給というかつて来た道の繰り返しになってしまう。この二律背反をどう調整していくかが伝統野菜・地方品種の復活および振興の鍵となる。地域によっては種苗を門外不出にしているところもかなり見られる。

http://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/wadai/0501/wadai1.htmlより引用
このように、種を、特定の地域で守ることは、必要であるように思えるし、また、誰もが手にし得るものとしての“たね”も、必要であるように思えるのです。

投稿者 staff : 2013年01月05日 List   

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