| メイン |

2021年04月06日

スーパーに突如現れた小さな「畑」 アジア初上陸のInfarmとは

都会のスーパーの店内に突然現れた小さな「畑」。これまでの農の常識を覆す究極の地産地消。一体これは何事だ?生産と販売が一体化された自給自足の手法。まずは、紹介記事をご覧ください。【リンク

最終更新日2021年3月23日

転載開始

最近、毎日の買い物でも見かけるようになったLEDと水耕栽培で育てた野菜。無農薬であることや、エグみの少なさ、洗わずに食べられるといった特長があり、支持する人も増えてきました。段々と定着しつつある農業のカタチ。そこに、人々の食生活を更に変えようとドイツ・ベルリン発のスタートアップ企業、Infarm(インファーム)がアジアに初上陸しました。

 

◆「とれたての野菜が買える」を都心のスーパーで実現

「スーパーマーケットの店内でとれた野菜を買うことができたら、超新鮮な状態で食べることができるな……」

少しシナシナした野菜を食べているとき、こんなことを考えたことがあります。できるだけ新鮮でおいしい野菜を食べたいというのは多くの人の願いですよね。そんな願いがとうとう2021年に東京で実現しました! 現在、紀ノ国屋インターナショナル(青山店)、Daily Table KINOKUNIYA(デイリーテーブルきのくにや)西荻窪駅店、サミットストア五反野店で、店内で栽培された新鮮野菜を収穫したその日に購入することができます。

なぜ、このようなことが可能になったのか。その理由は、Infarm – Indoor Urban Farming Japan 株式会社(以下、インファーム・ジャパン)のスマート栽培ユニットにあります。

このスマート栽培ユニットは、LED、水耕栽培、空間を縦に利用する垂直農法によって室内で野菜を育てることを可能にしています。作物ごとの育成状況に合わせて気温や湿度、照明などの環境を調整して、1つのユニットで(最小サイズ・約2平方メートルの場合)およそ畑150~250平方メートルの収穫量に値する野菜をとることができます。土壌ベースの農業よりも約99.5%少ない面積、約95%少ない水量での栽培が可能です。

この例に限らず、最近は水耕栽培で育てた野菜もスーパーでよく見かけるようになりました。では、インファームの取り組みのどこが新しいのでしょうか。インファーム・ジャパン代表取締役社長の平石郁生(ひらいし・いくお)さんにうかがいました。

 

◆究極の地産地消を求め、たどりついたのは

インファーム(Infarm – Indoor Urban Farming GmbH)はドイツの首都であるベルリン発のスタートアップ企業です。オスナット・ミカエリ氏、エレズ・ガロンスカ氏、ガイ・ガロンスカ氏の3人によって起業されました。

インファームが2013年に創業したきっかけは、イタリアのシチリア島から都会に移り住むことになったエレズ氏が、「どうすれば都会でも新鮮でおいしい、できれば農薬を使っていない野菜を食べられるのか」と考えたこと。また、生産してから消費者のもとに届くまでに約3割の農作物が廃棄ロスとなり、廃棄される農産物にもエネルギーが消費され、多くの二酸化炭素が排出される現実に問題意識を持ち、解決方法を探りました。世界の人口の約半分は国連が定義する都会とされる場所に住んでいることを踏まえ、行き着いた答えは「究極の地産地消は、都会で作り都会で消費すること」。

しかし残念ながら都会には十分な畑地がありません。そこで、人々はどこで野菜を購入しているのかを考えました。ほとんどの場合は、スーパー。それならスーパーで栽培、収穫、販売するのがベストと思いついたのがきっかけでした。この、スーパーの店内で栽培から販売までを行う点が、これまでとは違った取り組みといえます。

「水耕栽培を行っているプレイヤーは世界に多く存在しています。日本を例にとると、最大の消費地は首都圏、関西圏になります。ほとんどの場合、LED水耕栽培の生産施設は田舎の安い土地に建てられ、1つか2つの品種を栽培し、都会にトラックで輸送される。たしかに投資や運営の観点から考えると、単一の品目のみを栽培する方が効率は良いんです。これだと農薬を使わない野菜を生産することは可能になりますが、ガソリンを使って運ばれることには変わりのない状態。インファームの理念や目的は達成できません。やはり都市で生産し、都市で消費する点は他とは異なると思います」(平石さん)

安全で質の良い野菜を都市で自給し、環境負荷を低減する。これらを目指すインファームのスマート栽培ユニットは、輸送距離の約90%カットを実現しました。

 

◆アジア進出を可能にするまでの道のり

インファームのスマート栽培ユニットを日本に導入するまでには苦労もありました。アジア初展開のため、インパクトもありお客さんにも支持されそうだとは思いつつも、どれだけ売れるのかは予想がつきません。

平石さんは、首都圏にあるほとんどのスーパーとコンタクトをとりましたが、一番に手を挙げることへの抵抗感や条件が合わないなどの理由から、最初の一社に名乗りを上げるところはなかなか現れなかったと言います。

なにより販売する商品は野菜のため、まず食べてみないことには判断できないことも要因のひとつ。「スマート栽培ユニットを試しに持ってこられませんか」とよく聞かれたと言います。しかしその場合、お店にスマート栽培ユニットを設置するだけではなく、栽培する野菜をあらかじめインファームの施設で種から苗まで育てておくという工程もあり、投資が必要になることからお試しができません。 

「このような背景もあって苦労はしましたが、根気よく探し続けた結果、紀ノ国屋が最初の導入者になると言ってくれました」(平石さん)平石さんによると、紀ノ国屋のメンバーは、すでにインファームの栽培ユニットを導入しているロンドンのスーパー「マークスアンドスペンサー」やドイツの「エディカ」、パリにある業務用スーパー「メトロ」など、ヨーロッパまで出張して見学に訪れ、契約に至ったと言います。

 

◆果たして日本に導入した結果は、今後の展開は

2021年1月19日より順次、インファームのスマート栽培ユニットを使用した販売が始まりました。収穫は現在、各店舗で1週間に2回行われており、1回の収穫ごとに約60~80個の野菜をとることができます。 Daily Table KINOKUNIYA 西荻窪駅店では販売がスタートしてから毎回完売しており、お客さんから「これは何?」「いつ買えるの?」と質問されることも多々あるそうです。

野菜は根っこが付いたまま販売しているため、コップに2センチ位の水を入れて浸しておくと平均4、5日は新鮮さを保てます。1回に使いきれない野菜などは、使い勝手が良いですね。

最後に平石さんに今後の展望をうかがいました。「まずは、首都圏の皆さんにインファームについて認知していただき、食べてほしいですね。それから関西圏、札幌、仙台、名古屋、福岡、広島など、都市にどんどん進出したいと考えています。現在はスーパーのみで展開していますが、今後は飲食店業界ともタッグを組み、事業拡大していきたいと考えています。そのために、我々の生産能力も拡大していけるようにします」

以上転載終了

 

◆まとめ

この記事は先月のもので、読んで非常に戸惑いましたが、都会の自宅のベランダで栽培しているハーブ類などをもっと野菜類にバージョンアップし、これをスーパーという消費基地と野菜工場を合体し、量産化したという事になるのでしょうか?

しかしながら、この栽培と販売を一体化して商売になるというところまで実現化したというのは非常に画期的。

野菜の品質確保や採算がとれるのか?という疑問がいくつか出てきますが、発想自体は、極めて斬新で、これまでの「農」の常識を覆す革命的な手法であることは間違いありません。

今後の状況に注視していきたいです。では次回もお楽しみに!

 

 

投稿者 noublog : 2021年04月06日 List   

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.new-agriculture.com/blog/2021/04/4791.html/trackback

コメントしてください