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2016年02月11日

コミュニティビジネスがひらく、新たな「農」の可能性~”地産地消”が気付かせる、「食の価値」

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前回記事はこちら→コミュニティビジネスがひらく、新たな「農」の可能性~様々な広がりを見せる、「企業ファーム」

 

今回も引き続き「企業ファーム」の事例を通じて、「農」の持つ多面的な価値についてお伝えしていきます。

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■地元山梨の企業との連携

 山梨県内でお菓子の製造販売をしている企業が、毎年、旧増富村を訪れている。清月という山梨県を中心として和菓子や洋菓子の製造販売を行う企業である。ちなみに、この企業は、国際的な食のコンクール「モンドセレクション」の金賞を、イタリアンロールで三年連続受賞していることで有名である。

 

清月では旧増富村の遊休農地の開墾を、10年前、社員教育の一環として始め、それ以来、開墾した農地で青大豆の種まきから収穫までを行っている。社員教育から始めた農業であったが、収穫した青大豆を商品化したいという思いから青大豆を使った豆大福の商品開発を行った。この豆大福は、清月のヒット商品となり、今や定番商品となった。また、増富地域の特産である花豆の栽培を行い、これを使用した花豆ロールケーキや花豆大福などの商品化にも成功した。社員教育の一環として始めた活動が、現在では原材料の調達にもつながり、商品開発、販売まで行うほどに発展した。現在では、月に最低一度は旧増富村足を運び、草取りなどの作業も自ら行っている。

 

また、2012年4月、「えがおつなげて」の本部がある北杜市の白洲町に本社を構える金精軒製菓と「えがおつなげて」の間で、連携協定が結ばれた。「信玄餅」で知られる金精軒は、安全な和菓子作りを第一に、地産地消にこだわりを持つお菓子製造を行っている企業である。同じ地を拠点とする両者で連携して、「金精軒の畑」を始めることになったのである。「金精軒の畑」では、北杜市の地大豆として昔から親しまれてきた青大豆を、地元の農場で、金精軒の社員のみなさんと一緒に栽培している。そして、そこでとれた青大豆で新しい商品開発を進め、地産地消の和菓子作りを行っている。

 

種をまき、雑草を取り、収穫する。そんな当たり前のことを自ら担うことで、私たちは「食を得る」ことの価値に、改めて気づかされます。

 

 ところで、協定の調印式のときに、金精軒の小野光一社長は、こんなことをつぶやいていた。「最近は、あまりに安易に食べ物が手に入るようになっている」と。小野社長は「食べ物に対するありがたみを感じる機会が少なくなっている。第一次産業としての農業の苦労を知ることが大切だ。そうすれば、農産物に対する愛着も増すだろう」と言う。同感である。今回、金精軒の畑で栽培する青大豆に限らず、農産物は種をまき、雑草を取り、収穫するという作業を経て、はじめて手にすることができる。あたりまえのことだが、私たち現代人は、そのことを忘れがちになっていると感じる。お金を出して買えば、いつでも食べられる。そんな意識が横行しているのではないか。その象徴が、ダイズの自給率にも表れているのではないか。今や、日本のダイズの自給率は5%にまで低下してしまった。95%は輸入である。「輸入すれば安く手に入るし、それで問題ない」。そんな意識に支配されてしまっているのかもしれない。

 

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投稿者 noublog : 2016年02月11日 List   

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