『微生物・乳酸菌関連の事業化に向けて』-19 ~微生物の起源-3 ソマチッド2~ |
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2016年01月19日
コミュニティビジネスがひらく、新たな「農」の可能性~企業が抱える課題に照準を合わせ、「農」の価値を再構築する
前回記事はこちら⇒コミュニティビジネスがひらく、新たな「農」の可能性~「農」を通じて芽生えた、都市と農村の新たなつながり
「耕作放棄地」の存在をむしろ【資源】としてプラスに捉え、都市部の若者たちを「活性化の主役」として巻き込む。
こうして、かつて限界集落と呼ばれた農村に新たな活力をもたらし始めた「えがおつなげて」の活動。
そんな彼らが、次に課題として掲げたテーマとは何か。引き続き、ご紹介していきます。
■安定的、継続的な活動のために
しかし、このように耕作放棄地を開墾し、農地として復活させるだけでは抜本的な課題解決にはならない。ネックとなるのはよみがえった農地の安定的な維持管理と収穫物の販売である。そこまで完結しなければ耕作放棄地を開墾し農作物を作ったとしても継続的な農地の維持はできず、再び耕作放棄地に戻っていく可能性もある。それは耕作放棄地が生まれた根源的な課題、その農地に期待されるべき「存在価値」が認められないという課題が解決されていないからだ。
『農業再生に挑むコミュニティビジネス』(ミネルヴァ書房)より引用
芽生え始めた【都市と農村の新たなつながり】を、一過性のものとして終わらせないために。彼らが次に着目したのは「企業」との連携でした。
そんな問題点を解決する仕組みとして「企業ファーム」が生まれた。「企業ファーム」とは耕作放棄地で展開される一連の農作業を、企業にとって意味のある「新たな価値」として再認識してもらうことで、その企業と我々とが包括的な連携関係を構築しようというものである。この両者の取組みによって、企業にとっては職場でのストレス対策など企業の抱える課題の解決が、地域にとっては耕作放棄地の解消と活用の維持が可能となる。双方にメリットのある関係を築き上げることで、安定的で継続的な耕作放棄地の解消につながるのである。
「耕作放棄地の開墾作業」から「よみがえった農地で展開される農作業」、さらには「収穫作物の活用」まで一貫して価値づけを行い、連携企業の課題解決に活用してもらう。こうした構造的に安定した収益が望める継続性のある活動、それが「企業ファーム」事業だ。その基本構造は、NPOが借りた耕作放棄地(農地)で行われる開墾作業・農作業・収穫される農作物、その全てを企業として活用してもらい、連携企業が現地に来られない期間の農場の維持管理はNPOが行うというものである。
耕作放棄地の「開墾」からその上で展開される「作業」と「収穫物」を、あますことなく企業に活用(課題の解決/顧客サービス/原料調達など)してもらえるように行うNPOの活動(日常管理/農作業指導/アドバイスなど)に対して、企業は「対価」を支払いNPOは「収益」を上げる。この安定的な収益構造により、農場において安定的かつ継続した雇用を維持することが可能となり、それにより復活した農地の継続的な維持管理ができることになる。そして何よりも重要なことは、「企業ファーム」事業により継続的な交流活動を通じて疲弊した農村地域が活性化し、また一方で企業において課題が解決されるというWIN-WINの関係が構築されることだ。
企業が抱える様々な課題に照準を合わせ、「農」の価値を”再構築する”ことで形づくられていった「企業ファーム」事業。
次回は、これら具体的な事例の一つである「空と土プロジェクト」をご紹介していきます。
投稿者 noublog : 2016年01月19日 TweetList
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