最先端の意識潮流に応える農業体験事業とは? 2.(農業)体験の変遷 |
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2012年10月16日
農から始まる地域の再生~新しい生産集合体をどうつくるか?~⑨農業の業態革命に若者が果たす役割と可能性
シリーズ【農から始まる地域の再生~新しい生産集合体をどうつくるか?~】の第9回目の記事です
当シリーズ、前回の記事では、農業への企業参入の可能性とは何か?を扱いました(http://blog.new-agriculture.com/blog/2012/09/001361.html)。これまでの“「作るだけ」の農業からの脱却”が、企業参入の可能性として浮かび上がりました
また、当ブログの【コラム】「外部からの農業参入~野菜ソムリエの店 のら~」(http://blog.new-agriculture.com/blog/2012/09/001366.html)では、直売所の成功事例を扱いました。これまでの安売りスーパーのように、農家の経営を度外視した安値競争で勝負するのではなく、商品の質にこだわり「消費者の期待にも、農家の収益にも、どちらにも応える経営」が成功のポイントあることを提起しました。
こうした従来の農業経営方法に捉われない、全く新しい事業の展開を、 “農業における「業態革命」”として注目してきました
今回扱っていくのは、“若者の可能性”です。
実は、この業態革命ともいえる成功事業の経営者には、20代、30代の若者が多いのです
どういった運営をしているのか?そうした若者の意識潮流とは?
そのあたりから、若者が業態革命に果たす可能性は?に突っ込んでみたいと思います。
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本記事では、類農園の新しい取り組み、「るいマルシェ」を扱います。
毎週土曜日、大阪市内の数箇所で、野菜、お米、お茶を露店形式で販売するこの取り組み。
始まって一ヶ月近く経ちますが、若手中心の運営で、ほぼ毎回目標売上げを達成しているのです!その成功の秘訣は何か?そこから見えてくる、若者の意識潮流とは?を探っていきます。
1.「るいマルシェ」とは?
類農園は、先月から「るいマルシェ」と称して、露店販売を始めました。
毎週土曜日、大阪市内で行っています。運営の主体は20代の若手メンバー。
この「るいマルシェ」の前身は、大阪にある本社で毎週行っていた、社内販売会だったんです。ところがあるとき、メンバーの1人(25歳)が、「せっかくだから社外の人にも食べてもらい」と言い出したのです。
外に出て売ってみると、けっこう売れた!
しかもお客さんと、会話しながら販売するのって楽しい!
これを期に、毎週マルシェを行うようになったのです。
2.スーパーの1.5~3.0倍の値段で売れる!~お客さんの意識とは?~
このマルシェ、類農園で丹精込めて作っている野菜やお米を売っているのですが、スーパーの値段の1.5倍ほどの値段で売っています。高いものでは3倍のものも!
実はお客さん、ほとんど値段を気にしていないで購入を決めることが多いんです。
こんなに高いのに、どうして売れるのでしょうか?
スーパーとの差、ポイントかなぁ~と思うところを見ていきます。
① お互いを知ることを楽しむ~大量生産、大量消費の流通では知り得ない情報~
「この野菜はどこで作っているの?どんな人が作っているの?スーパーの野菜と何が違うのか?お米はどうやって作っているの?」といったお話は、お客さんが必ず気にするところ。特に、「(今日持ってきているのは)僕たちの作った野菜なんですよ!」というとお客さんの反応はかなり高いです。
これってスーパーなど、現在の流通の中ではなかなか知ることができません。お客さんは、こうした情報、売っている人や物がどんなものなのかを知りたがっています。
逆に、こちらもお客さんがどんな人なのか?何を求めているのか?を知りたい。だから、世間話もします。お孫さんの自慢話なんかでも何でも聞きます。
そうやってお互いのことを知るということを楽しむ。これが一つ目のポイントです。
② お客さんの充足イメージをつくる~調理方法や楽しみ方~
例えば水菜。スーパーでも売っている野菜ですが、「この水菜は、繊維が取っても柔らかい。でもすっごくシャキシャキしているんです。だから是非サラダにして食べてもらいたいんですよ~」などと、この野菜はこうやって食べるのがオススメなんですよ~といった調理方法や食べ方をお話しすると、買ってくれる率がかなり上がります。
それからお茶や豆といったなかなか売れなかった商品。始めは、「このお茶は無農薬でつくっていて、摘み取りの時期にもこだわっていて・・・」といかにこだわって作っているか、モノが良いか、をアピールしていましたが、「ほうじ茶って実は水出しでもおいしいんですよ」とか、「1煎目はぬるめのお湯か、氷水、2煎目で暑いお湯で飲むと、全然違う味が楽しめますよ」とか、豆料理のレシピをつけるなど、して売れるようになりました。
お客さんが買って帰ったあとの、充足イメージを作ることが二つ目のポイントです。
以上のように、対面での会話、その中でお互いを知ること、充足イメージで売るというところが、スーパーとの差だと思います。そしてこの二つに通底するのは「共認充足」。お客さんはこの「共認充足」を求めているのだと思います。
3.お客さんの反応を羅針盤に「モノのアピール」から「共認充足創造」へ方針転換~店主の意識とは?~
しかし、共認充足というポイントを見出すまでには、いろいろと試行錯誤もしました
二章でも触れましたが、例えば、お米やお茶、豆はなかなか売れませんでした
最初はモノの良さや栽培方法をいかにこだわっているかをアピールしていたんです。
「お願いします!一回試してもらいたいんです!」と、押し売りみたいなこともしていました。しかしそれでは売上げにも限界がある・・・。そう感じて、どうしたら買ってもらえるのか?を試行錯誤していた時期もあったのです。
そこで羅針盤にしたのはお客さんの反応でした
こういう話をしたら買ってもらえた!喜んでもらえた!それだけを頼りに、トークやポップ、商品のレイアウトまで、成功ポイントを塗り重ねていきました。
そしてたどり着いたのが「お互いを知ること」と「充足イメージ」=共認充足だったのです
こうした運営方針を取ったのは、運営者が20代の若者であったことが一因であると思います
現在の20代は、物心のついた1990年代からずっと物的飽和の社会に生活してきました。またずっと経済が低迷しており、もやは経済が回復することは望めないと潜在的に捉えているとおもいます。
そうした若者は、「市場からの脱却」が強く、また、より共認充足に収束していっている。
こうした意識が、「物の良さのアピール」→「お客さんの共認充足を得られるアピール」へのシフトを促したのではないでしょうか?
4.まとめ
本記事では、「るいマルシェ」を例に、お客さんの意識と売り手である若者の意識を探りました。
“消費者(社会全体)が共認充足を求めるようになってきている”などという変化を、的確に捉え、方針を見出していく可能性を持っているのは若者ではないか?そうした能力が、業態革命が求められる農業をはじめとする各業界で必要になってくるのではないか?とそんなふうに思っています。
以上、最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。
次回もおたのしみに~
投稿者 staff : 2012年10月16日 TweetList
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