| メイン |

2023年03月23日

【進化していく農法について考える】シリーズ2~農家は「誰のため、何のため、自然のための質」を求められる時代、何を追求するのか~

前回の記事は歴史と農法の変化についてまとめました。

今回は、戦後から現代にかけての農家が何を追求し、これから何を追求していく必要があるのかを見ていきたいと思います。

◆食力不足による量を求める時代、量から質を求める時代

※画像はこちらからお借りしました。

日本は戦後直後に深刻な食料不足にあり、農業政策の中心は「量を確保すること」でした。
全国民の食料確保を目的に、農薬や化学肥料の使用、機械化など農業の近代化を急激に進めていきます。

※画像はこちらからお借りしました。

日本における農業政策は増産を目的に、農法の近代化だけでなく新潟県の八郎潟の開拓など農地拡大も合わせて行っていきます。

しかし、増産政策と同時にアメリカの余剰小麦の輸入が急激に進み、それにより不足していた食料不足は解消されたことで日本では食料が余る時代に移っていきました。

※画像はこちらからお借りしました。

そのため、国は減反政策を行って、米の生産量の制限を行います。
そして、生産される量が制限されることで、他の農家との差別化を図るために、各地域で様々な品種が生まれ、「質を生み出す」ための動きに発展していきます。

育てる品種に応じて農法は変化し、近年では有機栽培や無農薬栽培など健康面での質を求める動きが強まっていました。

 

◆米の消費量は50年で半分に

※画像はこちらからお借りしました。

減反政策は1971年に制定され、2018年の廃止されるまで継続され、50年も運用されてきました。
そして、減反政策が廃止され、生産量の制限はなくなります。

一方で人口が減少し必要な食料の総量が減っていくなかで、これまで以上に質が問われる時代に突入していきます。

米を例に見ていくと、1960年に「115kg/人」だった米の消費量は「50kg/人」と半分以下にまで減少しています。
それに対して、米の生産量は1970年に1148kgだったのが、798kgと3割程度減少している状況です。

これまでのように品種ブランド、地方ブランドを超えて、他との差別化のために新たな付加価値が求められるようになります。

 

◆「誰のための質」かつくる目的を問われる時代

※画像はこちらからお借りしました。

質も無農薬や有機栽培など「健康」が注目されてきましたが、現代では「何のため、誰のため」か「対象と目的」が問われる時代です。

「大衆的な質」ではなく、「対象を具体化した質」が求められる時代。

米であれば、カレーを美味しく食べられる米(兵庫県の高橋清紋氏の『カレー米(品種名:プリンセスサリー)』)、安価で美味しく食べられる米など目的に特化した米など、提供する人、食べ方などより対象をイメージした農作物が求められています。

また、単においしいだけでなく、おいしく食べられるレシピの提供など、食べることの質を高める動きもあります。

誰がどのように食べるのか、どのように食べるのかを具体的にイメージしながら、どのようにつくるのか(=農法)を考えていくことが農家には求められています。

 

◆自然との共生する農業

※画像はこちらからお借りしました。

これまでは人への質が重視されていた農法ですが、世界的にも「自然に対しての質」が求められています。
自然農法や不耕栽培など、現代においては「自然と共生する農業」かが問われる時代に作ってきています。

日本では環境共生型の農業の先駆者がアイガモ農法で有名な古野氏や、無肥料自然栽培を実践する川平氏など、日本でも自然の力を生かした農法が実践されています。

川平氏は有機栽培をやめたきっかけを「有機栽培ではあるけれど、中途半端な西洋科学を取り込み、生産者であるはずが、いつのまにか学者のようになってしまっていたんです。そもそも自分たちは何を目指しているのかと真剣に考え込むようになりました。」と話しています。

無肥料自然栽培を通じて宮古島の生態系を再生させ、本来の自然の循環を生かした農業を実践していっています。

 

◆農法は人々の意識、自然環境の状態によって大きく変化する

戦後は効率、生産性が求められましたが、時代とともに「量の確保→味の質→人の体へのやさしさ→対象発の品質→自然との共生」へと時代が変化していっています。

農業は人々の生活と密接であり、社会状況に応じて求められることも日々変化していきます。
同時に自然とも密接に関わっているため、より広い対象を受け入れ、なにを追求していく生業です。

今回見てきたように、時代ごとの人々の意識、自然環境の状態によって農法も大きく変化してきました。

それゆえに農家自身も人々の意識、社会状況の変化をつかむとともに、時代の変化を読む必要があります。
(価格や規格を決められていて売る農協依存型の農業では淘汰される時代ともいえる。)

次回以降は具体的に、具体的な農法の中身を見ながら、現代における農法の可能性を考えていきたいと思います。

 

【参考URL】
2018年 農薬法改正
日本で有機栽培農家がなかなか増えない5つの理由
農業を通じて宮古の復活を目指す
減反政策とは? 廃止から4年、米農家の現状と今後の展望を考える
ブランド米とは? なぜ人気? ブームの背景と、競争に打ち勝つ“これから”の戦略
米をめぐる関係資料(農林水産省)
古野農場とは

投稿者 tiba-t : 2023年03月23日 List   

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.new-agriculture.com/blog/2023/03/7026.html/trackback

コメントしてください