2022年4月14日
2022年04月14日
コラム:直売所でしか売られない野菜紹介シリーズ①『葉玉ねぎ』
突然ですが、みなさんはいつもどんな野菜を食べていますか?
実は野菜の中には「規格化できない」「日持ちしない」などの理由で、一般のスーパーには並ばない野菜がたくさんあります。
日本では1923年に中央卸売市場法が制定され、更に高度経済成長を経た1971年に新法の卸売市場法が制定されたことで広域的な流通システムが構築されていきました。その過程で規格化・見栄えを重視する傾向が強まり、農薬の増加などが促進されていきました。現在はそのあり方を見直す制度改革や行政の動きも増えつつありますが、市場にのせるための野菜の選別、規格化は続いています。
これらの規格化は、規格外野菜の大量廃棄にもつながっており現代の食における課題の1つになっています。
そこで!本シリーズでは、普通のスーパーには並ばない、でも本当に美味しい野菜たちを紹介し、規格外野菜の魅力に迫っていこうと思います(^^)
第一弾は「葉玉ねぎ」についてです☆
■玉ねぎのいろんな呼び名
玉ねぎは、4月~7月に収穫されますが、成長の早さ(収穫時期)によって同じ玉ねぎでも呼び名が変わります。
4月に収穫→わせ(早生)
5月~7月収穫→なかて(中生)
6月~7月収穫→おくて(晩生)
わせは所謂「新玉ねぎ」と呼ばれる品種。瑞々しく甘みが強いのが特徴です。
おくてはよくスーパーなどで見かける一般的な品種です。保存に効くようにしっかり乾燥させてから出荷されます。(乾燥しているから皮が茶色くパリパリしているんですね)
味ならわせ、保存ならおくて、と一般的に言われていますが、なぜわせ(新玉ねぎ)の方が甘みが強いのでしょうか。
実は、玉ねぎにはもともと果物並みの糖分が含まれています。しかしその一方で「硫化アリル」という辛み成分も含まれています。この硫化アリル、わさびやニンニクにも入っている成分で、辛みの元なのですが、体に良い効果もたくさんあると言われています。
硫化アリルは人の体に入ると、アリシンという物質に変化します。このアリシンには強力な殺菌作用があり、サルモネラ菌や病原性のカビ、チフス菌、コレラ菌、寄生虫の駆除などに効果を発揮するそうです。
新玉ねぎも普通の玉ねぎも栄養分は同じですが、普通の玉ねぎは乾燥させて出荷させるため、水分が少なくなり、この辛み成分が表に出やすくなると言われています。
一方新玉ねぎは硫化アリルもたくさん含みつつ、甘み成分が本来のまま発揮されるから、瑞々しく美味しいということですね。
■葉玉ねぎの特徴
葉玉ねぎは新玉ねぎになる前、まだ玉ねぎの葉が青々して実が膨らみ切前に収穫する玉ねぎのことを言います。新玉ねぎよりも日持ちはしません(だからスーパーには並びません)が、新玉ねぎよりも甘みが強いのが特徴です。
玉ねぎの葉っぱを初めて見た私が「この葉っぱも食べられるんですか?」と直売所の店員さんに質問したところ、「この葉っぱが美味しいんです!」と叱られました(笑)
オススメされたので、さっそく購入し、料理してみました!(^^)!
↑親子丼/シーフード炒め/コンソメスープ ←全部葉玉ねぎ入り↑
頂くと、、確かにすごく柔らかい!そして甘い!店員さんに教えてもらった通り調味料少な目で調理しましたが、葉玉ねぎの甘さが効いていて優しい味がしました。
葉っぱの部分も、歯ごたえがあるのかな?と思いきや、全然歯残りせず、溶けるような滑らかさ。とっても美味しかったです(^^)
市場には出ないものでも、農家さんは美味しい野菜を本当にたくさん知っていらっしゃいます。
昔は、カタチが違っても、日持ちしなくても、その季節に取れる一番美味しい野菜をこうやって頂いていたんだな、と思います。
今後も直売所でしか売られない、新鮮で美味しい野菜をちょこちょこ紹介していこうと思います♪お楽しみに♪
<参考>
https://www.sfinter.com/topics/post-513/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/chiikikeizai/27/0/27_62/_pdf/-char/ja
https://miyazakifarm.net/blog/355/
投稿者 ideta : 2022年04月14日 Tweet
2022年04月14日
シリーズ『種』5:獲得形質の遺伝①~DNAだけでは遺伝や生物の進化は説明しきれない
前回、前々回の記事で、農産物の品種改良の仕組みを歴史を追いながら見てきました。
1900年のメンデルの法則の再発見以来、人類はDNAによる遺伝の仕組みに注目して、交雑を繰り返したり、もしくは直接的にDNA(とそれによってつくられる遺伝子情報・ゲノム情報)を改変することによって、様々な野菜を生み出してきたのでした。
しかし、ここまで調べてみて、遺伝の仕組みについてひとつ疑問に思うことがあります。
それは、本シリーズ最初の記事で紹介した、関野さんという生産者さんのことです。
関野さんは、種取りを続けることによって、無肥料無農薬の環境でもきちんと育つ種になっていく(親が後天的に獲得した環境耐性は子に引き継がれる)ということをおっしゃられていましたが、メンデルの法則では、関野さんの説のメカニズムは説明できないのです。
今回の記事では、DNAだけでは説明がつかない、遺伝の仕組みにについて深堀してみます。
投稿者 o-yasu : 2022年04月14日 Tweet