2019年4月9日
2019年04月09日
その耕し方、実は間違い!? 野菜がのびのび育つ3層構造の畑の土づくりとは
これまで「新しい『農』のかたち」を探ってきましたが、今日は、少し中休み。そこで、作物の成長に欠かせない土に焦点を当ててみたいと思います。
さて、春の季節がやってきました。日本列島も桜の花が今、見どころ。ところが年齢が高い桜の根元をよく見ますと、根が地盤から持ち上がっています。
この現象は根上がりといい、街路樹の足元などにも歩道がデコボコになっていることがよくあります。実はこの現象。植物の成長と関連があり、野菜や植物が育つ土の状態と密接に関係があります。
そこで、今回は 作物や植物が育つよい土とは何かについて追求していきたいと思います。良い土には、窒素、リン酸、カリウムが、非常に重要になりますが、ただ栄養素が豊富に含まれていれば、良い土であるというわけではないようです。
今回は、この土に焦点を当てます。
マイナビ農業【リンク】よりの投稿です。
転載開始
家庭菜園を作るときには、土をとにかく細かく耕すことが土づくりのコツだと思っていませんか。実はそれ、土が持っている本来の力を損ねてしまっているかも知れません。耕しすぎが野菜の成長を阻害してしまうことも…。「野菜がのびのびと育つ土づくり」の秘密は耕し方にあります。大きさの異なる土の塊を役割に応じて上手に組み合わせることがポイントなのですが、いったいどのようなものなのでしょうか。土の仕組みから、さらに肥料いらずの落ち葉床の作り方まで、やさしく紹介します。
■野菜がのびのび育つ3層構造の土
家庭菜園で、よくある誤解
野菜を育てる前に、どうして土を耕すのでしょうか。土には、固まった部分(固相)と、空気の部分(気相)、水の部分(液相)が混じり合っています。この三相のバランスが良いと、水はけが良く、植物は根を伸ばしやすくなります。また、酸素を必要とする土壌微生物が活動しやすくなるため、堆肥などの有機物の分解が進んで、植物へ養分が供給されるようになります。
一方で固く締まった状態、つまり固相が多いと根が伸び悩みます。そこで固い土をほぐし、土の中に空気をたっぷり含ませるために、野菜を育てる前には土を耕します。しかし、だからと言ってただひたすらに土を耕しては上手くいきません。細かく耕しすぎると、雨が土に染み込みやすくなり、かえって土が固く締まってしまうからです。「耕さなければいけない!」と思って、丹念に耕しすぎてしまうのは、よくある誤解です。
■耕しすぎないことが3層構造の土のコツ
耕し方のポイントは “3層構造” 。植物が根を張る部分(=作土層)を、土の塊の大きさごとに3つの層に分けた立体的な「団粒構造」にすることです。こうすることで、三相のバランスが整えられて、水と空気の通りが良くなります。すると、植物はのびのびと根を伸ばすことができるのです。
耕しの “加減” を変える
では、どのように耕せば野菜づくりに向いた3層構造の土になるのでしょうか。まず3層は、土の塊の大きさによって “ゴロゴロ層” “コロコロ層” “ナメラカ層” に分かれます。 15~18㎝の作土層のうち、下から5~8cmを大きな塊の “ゴロゴロ層” として、その上の5cmをやや粗い塊の “コロコロ層” 、一番表面は小さな土の塊がほどよく残る “ナメラカ層” にします。
手順は、初めに一番深い部分になるゴロゴロ層を作ります。鍬などを使って、土を粗めに掘り起こします。次に、コロコロ層を作ります。ゴロゴロ層の上に、堆肥をまいて混ぜながら耕します。これにより、土壌微生物が堆肥を分解し、野菜に養分を与えます。最後は表層のナメラカ層です。レーキなどを利用して、5cmくらいを小さな土の塊が残る程度に崩して、ならします。ナメラカ層は、サラサラになり過ぎないように注意しましょう。
■冬と春、2度に分けて耕す
家庭菜園で有機栽培に取り組む方もいることでしょう。有機栽培の場合、野菜を植える2~4週間前までに土を耕し、堆肥をすき込んで、畝の準備を済ませておくことが一般的ですが、ここにも耕すコツが。
土づくりに必須な微生物は、冬と春とで繁殖する種類が異なります。冬は「発酵型微生物」の活動により、地力を高める腐植が増えます。春には「分解型微生物」が活動し、有機物や腐植の分解が進み、養分がたくさん作り出されます。冬と春に1回ずつ耕すことで、それぞれの微生物の活動をより活性化させることができ、野菜がのびのび育つ肥沃な畑となるのです。
~番外編~ 肥料いらずの落ち葉床で、地力ある畑に
肥沃な畑を一から作る方法として、「落ち葉床」を紹介します。「落ち葉床」とは有機物を畝の下に埋める伝承農法の一つです。畝をつくる場所に深さ約40㎝の溝を掘り、落ち葉やススキの枯れ草などを埋めることで、これらがゆっくりと分解され、一度つくると4~5年は無肥料で野菜を育てられるとも言われます。また、複数の種類の落ち葉を埋めることで多様性のある土となり、ミネラルが豊富で野菜の育ちが良くなります。ただし、根菜類にとっては栄養過多となり、生育不良を招く恐れがあるため、作ってから少し経った落ち葉床を使うのをお勧めします。
落ち葉床を作る際には、作土層のさらに下にある、固く締まった耕盤層と下層土を壊します。耕盤層以下の層はショベルを挿して起こしていくのがコツ。掘り起こし、落ち葉を埋めた後、ゴロゴロの塊のままで戻すため、ショベルなら塊を崩さずにすみます。
■さらに土づくりを極める
こうした土づくりを、鍬で行うには相当の手間がかかります。そこで、より手軽に作りたい方には耕うん機がお勧めです。バイクやクルマメーカーとして有名なHondaは、家庭菜園に最適な耕うん機も開発しています。Honda耕うん機のWebサイトでは、本格的な土づくりを支援する「畑の土を極める」が連載中。耕うん機を使った作業の手順や、野菜を上手に育てるためのポイントを、イラストを使いながら分かりやすく解説しています。家庭菜園の経験の有無や年数を問わず、幅広い層でためになる情報を紹介し、野菜づくりを楽しむ方を応援しています。今年の野菜作りは耕うん機を使って、土づくりからこだわってみませんか。
以上転載終了
■まとめ
このように、作物や植物が健全に育つには、土に適度な空隙があり、酸素と水の通りが良いことが、大切な条件になります。
冒頭、桜の根上がりのお話をしましたが、根の成長によって土が徐々に固くなり、根が下に成長できなくなるために、酸素を求めて、根が地表近くに上がってくる現象なのです。
樹木や野菜を健全に育てることは、土の環境をどのように整備していくかに直結しています。
美味しいい野菜づくりは、土の耕し方にかかっているといっても過言ではないでしょう。
さて、新しい農業では、水耕栽培や砂耕栽培などがクローズアップされています。次回以降はこの土ではない植栽基盤と作物・植物の関係→あたらい農業のかたちについて、原理的なところも交えて、追求していきたいと思います。次回もお楽しみに。
投稿者 noublog : 2019年04月09日 Tweet