2018年9月6日
2018年09月06日
これが新しい農業のカタチだ!新農業システム「CSA」とは?
農業を営んでいる方や、農業に関心がある方は一度は「CSA」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
CSAとは「Community Supported Agriculture」の略で、直訳すると「コミュニティ支援農場」となります。同じ地域に住む農家と消費者が、共に農業の恵みとリスクを分かち合うことを目指して生まれた新しい形の産直システムです。
元々CSAは、日本生まれの農業でした。ところが当初日本では、
①会員の金額負担が大きい
②農作業義務を課せられた
③地域の拡大が難しい
④イメージが暗い
等が原因で、根付いていきませんでした。
ところが、アメリカで普及しだし、その後インターネットの活用で、全国規模で情報を広げながら消費者を募ったり、栽培情報を画像でリアルかつタイムリーに伝えたりしました。
その結果、上記の問題が少しずつ改善され、農業が変わっていくという期待感が高まり、今では、CSAを活用したいろいろな農家が紹介されています。
今回は、日本のみならず世界で広まっている CSA=「コミュニティ支援農場」について紹介します。
転載開始
■農業の新しいカタチ、CSAってなに?
CSAはコミュニティ支援農場という新しい農業の形で、「農家が作って農家が売る」というものではなく、種の購入など、農業に係る生産コストを消費者側が受け持ち、生産者となる農家は生産した野菜などを消費者に分配するという仕組みのこと。
「地域で採れた野菜や穀物は地域で消費する」という地産地消や、地域コミュニティを活性化するという意味でもこのCSAは大きな役割を持っています。
また、CSAには「農業者主導型」「資金提供者(消費者)主導型」「農業者共同型」「農業者消費者共同型」と4つのタイプがあり、それぞれに特徴があります。特に、資金提供者があまり農場に関与しない農業者主導型が増えてきているようです。
■CSAを導入するメリットは?
CSAを導入するメリットは大きく分けて、「生産者側」と「消費者側」の2つです。
生産者側のメリットは、多様な種類の作物を作れることや、消費者の反応がすぐに返ってくることで、生産や販売に関して改善できることが挙げられます。
消費者のメリットは、生産された新鮮な野菜が直接農家から届けられることや、CSAを通じて生産者を知り、安心して野菜などの作物を食べられることがあります。
さらには両者のコミュニティが強まることによって、地域の活性化が図られると共に、様々な相乗効果が生まれます。
農業だけではなく、様々な場面で見かけるようになった「地域コミュニティ」を軸とした取り組み。
農業においても、助け合いの精神の元。日本で生まれる野菜や作物を大切にしていくためにも、このような取り組みが必要になっていくのではないでしょうか。
地域社会で生産者と消費者のそれぞれにメリットがあるCSAは、今後みなさんの生活の中でよく見かけるようになる、そんな日も近いかもしれません。
■それでは、CSAを活用した具体的な農園のひとつを紹介したいと思います。
ここで紹介する農園は、東日本大震災の次の年、震災がきっかけで2012年に開園しました。現在は、農薬化学肥料は使用せず旬の野菜を露地栽培しているしているこだわりの農園です。
では、代表の挨拶から
~タネから食卓へ~
ごあいさつ
私たち夫婦が農業を始めたのは、3.11東日本大震災からちょうど一年後、2012年の春でした。
就農以前、夫は建具職人、妻は大学事務職員でした。 震災をきっかけに生活スタイルや食べものについての意識が変わり、 2012年2月、茨城大学農学部で開催された有機農業のシンポジウムに夫婦そろって出席しました。 各専門家の先生方による講演は大変興味深く、「困難な状況だからこそ敢えて農業に挑戦したい、 農業を生業にしたい!」と方向が決まり、研究学園 都市つくばにて、同年4月より夫婦で全くのゼロから新規就農しました。
そして就農三年目に、長女が誕生。子育てと野菜育ての、忙しくも楽しい生活が始まりました。 子育てを通して、健康的に楽しく生きるためには良質な食べものが重要だと、 より強く考えるようになりました。つくば飯野農園では“質の良いホンモノの野菜”を、ひとつひとつ丁寧に、 “健康に育てる”ことをポリシーとし、 笑顔にあふれた健全ですこやかな地域社会の形成を目指し、日々努力しています。
2013年、生活クラブ生協の“GMOフリーゾーン”(遺伝子組み換え作物が栽培されていない地域)に登録をしました。私たちは遺伝子組み換えに断固として反対をしています。
2015年からは、アメリカ発祥の農業経営システム、CSA-Community Supported Agriculture-(地域協働型の農業、地域支援型農業)という仕組みを日本でいち早く導入しました。CSAを導入することで家族経営の小規模農家は経営安定につながり、地域会員は新鮮でおいしい野菜を地域のお気に入りの農家(マイファーマー)から手に入れることができます。地域と支え合いながら持続可能な農業経営をすることで、地域活性化や農を通したまちづくりにも発展します。
また、2016年からは、国際スローフード協会つくば支部の会員となり、「おいしい・きれい(環境にやさしい)・正しい(公正な)」というスローフードの理念のもと、伝統的な食文化を守るため、美しく豊かな自然環境や生物多様性を守るため、たべものを作る人々の生活と食べるひとの生活・大切な子どもたちの未来を守るため、毅然とした態度で活動をしています。「ホンモノのおいしさ」や「本当の幸せ」は、お金では買えません。何よりも大切なのは、ひとの心、人と人とのつながりです。自分を大切に、家族を大切に、地域を大切にして、健康で楽しく幸せに生きていきましょう!
つくば飯野農園 飯野信行・恵理
以上転載終了
■まとめ
こうやってみますと、CSA農業は、生産者と消費者が共同で農作物を育て、収穫の恵を共に分かちあうというこれまでの生産者、消費者という形を変えています。
同時に、農家収入の安定化によって農業人口の現象に歯止めをかけ、逆に農業の魅力を最大限に引きだしながら、若者の農業人口が増加していくという可能性も秘めています。
現在、健康で安心安全な食の確保という事も世の中ではあたりまえのように叫ばれ、今や、完全無農薬栽培を行っているCSA農業は、まさに時代の申し子といっても過言ではないでしょう。
この間、アクアポニックス、農業高校の活躍、CAS農業と紹介してきましたが、様々な工夫で農業も人も変わって行く。農業の可能性を再認識しています。では、次回もお楽しみに・・・
投稿者 noublog : 2018年09月06日 Tweet