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2019年02月21日
精密農業とドローン技術
今回は、精密農業と最近のドローン技術の向上からこれからの農業の将来像について取り上げてみたいと思います。
ドローンというと現在、農薬散布については、最も普及が進んでいる分野だと思います。
ところが、このドローンに搭載されるカメラやカメラがとらえる農作物の映像による解析技術の向上によって、これからの農業活動スタイルが劇的に変わっていく時代がすぐそこまで来ているようです。
そして、農薬散布の次に続く技術が、現在開発が進められている「精密農業」分野につながっていきます。では、まず、「精密農業」とは何なのか解説していきましょう!【リンク】
転載開始
■精密農業って?
「精密農業」とは何か、分かりやすく言えば「農業の視える化」です。
専用のカメラを搭載したドローンが農場の上空を飛行し、農場全体のデータを収集することで、現在の農作物の生育状況を調査することができるようになります。
調査したデータは、専用のソフトウェアを使用することで、すぐに解析が可能。現在の作物の健康状態を知ることができ、農作物の病気や害虫、肥料不足の箇所などを特定することが可能になります。
例えば、圃場や生育状況に合わせた可変施肥が可能になるため、倒伏を解消し、作物の品質、収量を向上することが可能になりますし、余分な肥料を使わないため肥料コストを削減することも可能になります。
その他、農作物の窒素量などを確認することによって、味の美味しさを調整できると言われているため、これまで製法が難しいとされていた「ブランド米」のようなものも、データを活用することでより多くの人が導入しやすくなる、などのメリットもあります。
このように、以前まではそれぞれの農家さんだけが持っていた「経験や勘」と言ったものを、誰にでも分かるようにデータ化し、農業経営の効率化と農作物の収穫増に繋げることができるのが「精密農業」の特徴なのです。
■精密農業の仕組み
精密農業の仕組みとしては『マルチスペクトラムカメラ』を搭載したドローンでデータ収集を行い、植物の生育や健康状態を調査します。
『マルチスペクトラムカメラ』とは、赤と緑と人間の目には見えない「近赤外線」や「レッドエッジ」と呼ばれる4帯域の波長の光の反射を計測するカメラのことです。
ここで得たデータを解析用のツールなどを使い、最終的に「NDVI(正規化植生指数)」と言われる、光合成活動の活性度を見る指標を使って、マッピングを行っていきます。
精密農業では、この「NDVI測定」を行い、生育状況の分析を行っていくことが、一般的な方法となっています。
■精密農業導入に必要なもの
精密農業を始めるためには、大きく分けて3つのものを用意する必要があります。それが「データ収集用カメラ」「ドローン」「データ解析用ツール」の3つです。
データ収集用カメラをドローンに取り付け、農場内を飛行させ、データを収集。集めたデータをツールに入れて解析する、というのが基本的な流れとなっています。
〇データ収集用カメラ
精密農業を始めるにあたって必要となるデータ収集用カメラですが、精密農業では一般的に「マルチスペクトラムカメラ」が使用されています。
〇精密農業用ドローン
精密農業としては、上記の「マルチスペクトラムカメラ」をドローンに取り付けることができれば、基本的にどのドローンでも調査を行うことが可能です。
〇データ解析用ツール
ドローンによる空から収集した圃場全体のデータは、精密農業専用のツールを使い、解析を行っていきます。現在では、インターネット上から利用できるクラウド解析サービスを使うのが一般的です。
~中略~
以上が、ドローンにおける精密農業への取り組みです。今後は、さらにその先の話として、これらの精密農業のデータ解析結果を元に問題のある特定の農作物情報をクラウドに送り、ICT農機や農薬散布用ドローンなどと連携することで、「農業の自動化」を実現する日がやってくるかもしれません。
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では、引き続きドローンを使った農業の事例を紹介します。【リンク】
■精密農業×農業用ドローンの例
◆ファームアイ株式会社
ファームアイ株式会社は、2017年10月に、ヤンマー株式会社とコニカミノルタ株式会社との合弁で設立された農業コンサルティング事業を展開する会社。農業リモートセンシングのサービス事業会社として、ドローンによる圃場のセンシング・画像解析サービス、農作物の生育状況の診断と処方改善提案を行なっている。農作物の生育状況をドローンによって撮影・分析し、作業の効率化、省力化を目指す。ヤンマー株式会社の持つ農業機械・営農支援の経験と、コニカミノルタ株式会社のセンシング・画像処理技術という強みを活かしたサービスを展開。
◆株式会社オプティム
株式会社オプティムは、”楽しく、かっこよく、稼げる農業”を掲げ、AI・IoT・ビッグデータを活用したサービスを展開。目視で行なっていた圃場の確認作業を、ドローンによって確認し、虫食いや葉の変色といった異常をAIの解析によって検出。また、ドローンの集めた画像・映像によって、病害虫などの異常の早期発見、病害虫の特定まで可能なため、迅速に対応することが可能。スマホアプリを利用して農作業の記録を取るため、圃場に関わるデータを一括管理可能。
◆ベジタリア株式会社
ベジタリア株式会社は、”NEXT GREEN REVOLUTION”を掲げ、IoTセンサ事業やクラウドデータ基盤事業、農業生産事業などを展開。気象や栽培管理などのデータの収集・解析や病害虫発生のメカニズムを把握し、防除対策を講じるといったサービスを提供。昨年(2017年)の6月15日から8月7日にかけて、新潟市にてドローンによる水稲の空撮実証実験を行う。ベジタリア株式会社、新潟市、株式会社NTTドコモ、株式会社自律制御システム研究所が協力し、実験を行う。ドローンによる空撮画像を分析し、水稲の生育状況を把握することで、効率的な栽培管理の実現を目指す。撮影されたデータは、ベジタリア社が開発している解析ソフトによって、生育状況などを分析するのに使われる。
(人手による測定値と、ドローンの空撮による測定とを比較し、ドローンの空撮だけでモニタリングできるかどうかを確かめる。結果としては、67%に近い精度だったものの、未だ全てをドローンによる空撮に任せることはできない。)
※ベジタリア株式会社より一部引用 ドローンタイムズの記事より一部引用
◆Precision Hawk社
Precision Hawk社は、人工知能を搭載したドローンに関する研究開発を進めている、カナダ発の企業。ドローンに様々な情報を収集させ、データを解析することで、コスト削減・生産量の増加に貢献。農薬散布が必要な場所のみに散布したり、データの解析を通して新たな農作地を発見するのに活用したり、といったことが可能。人工知能によって、最適な飛行経路の算出を行い、ドローンによって収集したデータを即座にクラウドサーバーへアップすることが可能。また、飛行中のドローン本体のモニタリングも行うので、内部装置のパフォーマンスや、バッテリーの残量などを測定することで、ドローンの安全性も確保。
さて、ここまで精密農業とドローンの活用例についてご紹介いたしました。
精密農業は、アメリカなどで2000年代初頭から導入された農業の管理手法の一つです。農地・農作物の状態を良く観察し、制御することで、農作物の収量及び品質の向上化を図ります。
世界人口の増加により、食料・飼料の需要が増えている中で、収穫量を増加させることは必須です。日本では、食料自給率が100%を下回っており、就農人口も減少しています。従来の農業に、画像解析やリモートセンシングなどを導入し、様々な視点からデータを分析・予測することで、効率化と生産性の向上が見込まれます。人の手によって行われていた作業が、ドローンを活用することで、時間を短縮することができ、ドローンが収集したデータの一括管理と分析まで行うことができます。
このように精密農業によって、農業用ドローンの需要は高まる一方ですが、精密農業に活かすのは簡単ではありません。AIによる画像解析とクラウドサービスによるデータ管理、さらにそれに適したドローンの開発が必要になります。高い技術力が求められる精密農業ですが、技術の進歩に伴い、今後ますます発展していくでしょう。
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以上転載終了
■まとめ
このように、精密農業は、農業用ドローンの技術向上と一体的に発展していく形になっていき、将来の農業のあり方が、劇的に変わっていく可能性を秘めています。
一方で、最近は気象環境が非常に不安定になってきており、このような環境にあって、更に、作物の生育をどのように維持していくか?彼らの潜在的なポテンシャルをどうしたら引き出していけるか?が鍵になっていくことは間違いないでしょう。
先人達の「経験や勘」だけではなく、様々な視点からデータを分析・予測をたて、それを活かしながら、農作物の収獲量及び品質の向上化を図っていく。これからの農業に注目していきたいですね。
投稿者 noublog : 2019年02月21日 TweetList
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