自殺する種子「ターミネーター・テクノロジー」とモンサント社の種苗支配 |
メイン
2011年12月20日
農が育む教育シリーズ5.廃校活用は、人と地域の充足=活力再生~フリースクール土川学園
こんにちは、お久しぶりの長谷です。
農が育む教育シリーズも5回目を迎えました。
今、全国的に、少子化、過疎化によって、学校の統廃合が進み、廃校が急速に増加しています。
そんな状況を受けて、廃校となった施設を活用し、様々な取り組みが行われています。
そこで、今回は、そんな取り組みの中から、「農が育む教育」の観点から、注目すべき事例の1つを紹介して、今後の可能性を探って行きます。
まず、事例紹介に入る前に、廃校活用とは、どういう課題なのかということを、社会背景から考えてみます。
続きを読む前に、ポチッとよろしくお願いします。
■廃校活用とは?
廃校という現象は、市場拡大による豊かさ実現が原因となって起きた事象であり、一方で、
市場の行き詰まりを受けて、新たな可能性に向かう1つの具体課題が、廃校を活用した教育の再生、地域の再生ということになります。
したがって、廃校活用と言うと、箱(廃校舎etc.)に目が行きがちですが、むしろ、重要なのは、そこを拠点として、人や地域の活力をいかに再生して行くかということです。
実際、とりわけ田舎の小学校は、学校教育の場としてだけでなく、地域コミュニティーの拠点施設としての役割を長く担って来ました。その点からも、廃校活用とは、地域の活力再生の拠点となる場作りを意味します。
それでは、数ある廃校活用事例の中で、まだ、始まったばかりではありますが、注目に値する事例がありましたので紹介します。
■廃校活用事例:フリースクール土川学園
(写真は、全て、フリースクール土川学園、森の保育園のHPからお借りしました。)
http://www.school-tsuchikawa.org/info/repo.html
(1)フリースクール土川学園の概要
鹿児島県いちき串木野市の旧土川小学校跡を活用して東京で森の保育園を運営する㈱育児サポートカスタネットが運営。一般児童・生徒を対象に2010年8月から開校。フリースクールは2011年6月プリオープンし、9月から正式にスタートしたばかり。土川集落は、東シナ海に面した小さな集落で、高齢化が進むいわゆる「限界集落」。廃校となり、子供の声が聞こえなくなった場所に、フリースクールが開かれました。
対象は、東京で不登校に悩んできた小中学生 在校約30名。全寮制で、在校期間は、決まっておらず、ここでの活動後、元の学校への復帰を目指します。
学園では、 現代の子育ての課題として、大きく分けて以下の5つを挙げています。
1.環境問題(水、空気、食品の化学物質による汚染)
2.栄養不足(欧米化、野菜の質の低下と食卓に野菜の減少、袋菓子の与えすぎ)
3.生活のリズムの崩れにともない運動不足
(テレビゲームの与えすぎ、不夜城による不眠症状夜食など)
4.愛情不足(核家族、地域交流の崩壊、手料理の減少、コンビ二化)
5.学力不足(学校の本質は学力を身につけることです。社会性、自己表現力にかかわる学力が足りない。解らない授業に通うことは辛い。)
そして、教育内容の特色として
1. 学力の向上
電子機器からの電磁波により、脳の前頭前野の機能が停滞すると言われており、実際、最近の若者で意欲・集中力の低下、コミュニケーション力の低下がみられているように感じます。この機能を発達させるためには単純計算がとても効果的と注目されています。
また、何のために勉強するのか、目的意識を持って学習することの大切さを学ぶプログラムとなっております。実際に学習をすることにより、今まで遅れていた学習を取り戻し、学力が向上しています。
2. 生活リズム、食生活を整える
規律の整った生活をすることにより、精神を鍛えていきます。大自然の中人間が本来生きるべく生活を体感します。
食事も飽食時代に生きていると知らず知らずのうちに当たり前の食生活が、生活習慣病や精神状態を侵していることがあります。心理学的、栄養学的に考慮し、バランスのとれたお食事を提供、味覚を回復させ、体内の状態を正常に戻していきます。食育も励行しております。
3. ワークショップで自分を見つめなおす
生まれてからいつの間にか「自分」という壁を作り、
本来の力を発揮できない、そういう状態の方々を見ることが多いです。
自分に自信を持ち、限界突破し、自己表現力を高めていくプログラムが用意されています。
4. 生きる力を養う
文明が発達し、何もかもお金があれば、解決する世の中。大工、裁縫、家事、洗濯など一昔の人ができていたこと、それは、生きる力を養うものでありました。
生きる力とは、自信につながり生きていく上での活力になるのです。土川ではそんな力を教えてくれる師が沢山いらっしゃいます。
スクールの1日はこんな感じです。
http://www.school-tsuchikawa.org/curriculum/
年間行事は
http://www.school-tsuchikawa.org/curriculum/year.html
(2)子供の充足=親の充足を目指す育児サポート会社が運営
こんなスクールを運営している母体は、どんなところなんでしょうか?学校ですから、当然、経営として成り立たせる必要がありますし、理念と実績も必要です。
このフリースクールは、東京に拠点を置く、㈱育児サポートカスタネット という企業が運営しています。
http://www.castanets.jp/msg/company.html
「森の保育園」:東京都認証保育所 の運営をはじめ
「森の保育園クラブ」:一時預かり、出張保育、家事サポート
「森の放課後」:学童クラブ
「くるみのおうち」:認可外保育(育児休明け支援)
「森の大学」:保護者と地域の交流
などの活動を通して、
一家庭の価値観で子育てをするのではなく、多くの人が子供にかかわり、親も子も職員も経営者も地域の人も協力して、みんなが、充足し、元気になることで、こどもも健全に育てようという取り組みをしています。
保護者などからの評価も高いようです。
http://www.castanets.jp/voice/index.html
そんな組織を母体として、代表の長野さんが、自らが不登校児を抱えて苦労した経験を踏まえ、小中学校生の不登校生を対象としたフリースクールの設立を思い立ち、自然豊かで、地域の人々の協力も得ながら場所として、知人の紹介でめぐり逢ったのが、土川でした。
(3)地域を巻き込み地域を活性化する取り組み
フリースクール土川学園が、順調に滑り出した背景には、地域の人々との協働があります。
小学校が廃校となり、子供たちの賑やかな声が消えてしまった土川集落としては、そこに子供たちの声が戻ってくることは、悲願でした。
そこに、持ち込まれたフリースクール設立の話。不登校の子供たちを元気にするという地域の人々にとってもやりがいのある課題、地域の人たちが受け継いで来た伝統、生業を子供たちに教えることを通じて役に立てるという実感があります。
そして、子供たちにとっては、都会の生活では得られなかった周りや地域の人たちとの心の触れ合いが、何よりの活力源になっていることが、このスクールの素晴らしい点の1つです。
http://www.school-tsuchikawa.org/free-school/voice.html
設立時は、長野さんが、その熱い想いを市長に語り、共感を得て、まずは、短期のサマースクールから実施して、地域の信頼を獲得し、市から旧土川小施設を3年間無償貸与契約してもらえるなど、全面的なバックアップを得ました。
また、スタッフの多くは、土川集落の方々。そして、様々の活動に、地元鹿児島の学生ボランティアにも活躍してもらっています。
そして、地域協議会を設立し、地域の方々とフリースクールの運営方針を話し合いながら進め、最近では、地元行政からも、地元の不登校児の対策として、既存の学校と連携できないか探る声も上がっており、 文字通り、地域を巻き込んだ取り組みになっています。
また、スクールを教育関係の講演やイベント等で使うなど、単なる学校以上の場としても活用しています。
この取り組みが、評価され、長野さんは、全国から講演の依頼が舞い込んでいます。
保護者の声です。
http://www.school-tsuchikawa.org/free-school/voice.html
(4)全てを貫く軸は、充足
以上、見てきたように、土川学園は、子供の充足=親の充足=社員の充足=地域の充足を体現し、人と地域の再生を一歩ずつ実現しつつある素晴らしい取り組みです。
そして、この充足をさらに積み重ね、加えて、教育の中身、地域との連携がブラッシュアップされて行けば、廃校を活用した教育再生の先端的事例になって行くのではないでしょうか。
投稿者 naganobu : 2011年12月20日 TweetList
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.new-agriculture.com/blog/2011/12/1294.html/trackback