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2011年04月14日

東日本大震災を考える

こんにちわちわわです。
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東日本大震災により、沿岸部の農業、漁業、加工等の1次産業及び関連産業は壊滅的ダメージを受けました。
農地は海水や瓦礫、重油に浸かり、液状化や保水機能の損失、潅水設備の損壊が多数発生している上、避難生活を強いられている被災者は未だに14万人以上もいます。
さらに、福島第1原発の放射線漏洩事故の被害も予断を許さない状況です。
こうした中、全国の1/2の収穫量を誇る、東北・関東地方の農業をいかに復興してゆくか、この危機を事実に基づいて冷静に分析し、知恵を結集する必要があります。
このブログでは数回に渡って状況を把握し、どうする?をみんなで追求し、発信してゆこうと考えています。
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■被害状況
農林水産省において、津波により流失や冠水等の被害を受けた農地面積について集計した結果、太平洋岸の6県(青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県)の合計で約2万4千ha(うち2万haが水田)となるものと推定しています。
これは、被災地域の人工衛星写真や現地調査などの情報が更新されたことに伴い新たに集計したもので、県別や市町村別の面積集計を含む推定値です。
http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/sekkei/pdf/110329-02.pdf
さらに、3月30日現在、被災11県の、農業集落排水施設における被災箇所数は698箇所あり、被害金額は約285億円にのぼります。
http://www.maff.go.jp/j/press/nousin/seibi/pdf/110331-01.pdf
今回被災した地域はいずれも農業、漁業を主として営む地域であり、行方不明者を含めた死亡者2万8千人のうち少なくとも半数は一次産業従事者なのではないでしょうか。これは全国25万人の認定農業者数の5%に相当します。毎年の新規就農者が1500人ほどですので、とてつもない労働者が一気に失われたことになります。
食糧という視点で見ると、やはり米に注目する必要があります。
被害を水田に限ると2万ha、水利等の損壊や就農者の死亡等で耕作不能な農地を勘案すると推定で3万~4万haが今年度作付けできない可能性があります。
全国の水稲農地面積は250万ha、H21年度の米の収穫量840万トンから計算すると、生産量は1ha当たり約3.5トンとなり、15万トンの収量が減少することになります。
■今年度の作付け超過分からすると米不足には陥らない。
農林水産省が発表した2011年産主食用水稲の作付け見込みによると、17県で生産調整(減反)の目標が達成できず、全体の達成率は約7割にとどまっています。
過剰作付け面積の多かった県は、1位が福島県の1万2536ha、2位が千葉県の1万170ha、3位が茨城県の5785ha。4位が新潟県の3906ha。減反超過分と未達成分を差し引きすると計2万9364haが減反目標を上回って過剰作付けされることになっており、この数字はほぼ東日本巨大地震で冠水した耕作地に匹敵する面積となります。
従って、被災地以外で計画通り作付けが行われても、今年度は少なくとも米の供給不足はおこらない計算になり、農水省も備蓄米100万トンの放出の準備があると発表していますので、過剰反応して買占めなどさえ起らなければ、通常価格で米の入手は可能なはずです。
福島第一原発の放射能漏洩事故による被害は予断を許さない状況にありますが、少なくとも主食の米は震災前の在庫で今年度は乗り切ることは可能であり、作付け超過分を考慮すると来年度以降も供給可能な状況といっていいでしょう。
問題は今後どうするをみんなで真剣に知恵を出し合うことだと思います。
■耕作放棄地を被災農民の受け皿に!
被災した農地は、塩分や重油の除去や、瓦礫や汚泥を撤去し、新たな土を再生させるのに5年以上かかるのではないかと危惧されています。こうした農地の復活のために必要な労働力の確保と、土地を離れた人達の労働先の確保が第一に必要となってきます。
そもそも農業は、担い手不足による耕作放棄地の増大が問題として横たわっていました。
耕作放棄地の面積は38.6万ha。うち効率の悪い中山間地を除いた平地農業地域と都市的地域は17.8万ha。うち、理由が高齢化や担い手不足によるものが約40%を占めます。
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%E8%80%95%E4%BD%9C%E6%94%BE%E6%A3%84%E7%90%86%E7%94%B1%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88%E7%B5%90%E6%9E%9C.jpg約8万haの農地はすぐにでも活用可能な状態にあり、農地を失った農民の受け皿としても活用できる規模が既に存在している事になります。
http://www.maff.go.jp/j/nousin/tikei/houkiti/pdf/tebiki01.pdf
■農協の方針転換が一つの可能性
農協は、震災に先立って今後の行動方針の提言を発表しました。
農協は長く、小規模な兼業農家を金融や肥料販売などの主な顧客とし、それを政治力の源泉にしてきた経緯があり、提言案を「大転換」と位置づけています。
提言案によると、現在コメ農家など1経営体あたりの耕作面積は平均2.2haで、集落のなかに細かく分散していますが、これを集落ごとに20~30haの規模に集約。一つにまとめた農地を、専業農家や農業生産法人など「担い手」の1経営体が効率的に経営する姿を描いています。農地の集積が難しい中山間地域は、10~20haをめどとし、5年後の実現を掲げています。
 兼業農家や定年になって帰農した人たちには、用排水路や農道の維持など、担い手の経営体を支える側に回ってもらい、耕作者のいない農地については、担い手に集積するまでの間、農協が管理して耕作放棄地の「発生ゼロ」をめざすというものです。
 1経営体あたり20haの集積が実現したとすると、現在140万戸の米農家らは10万~15万ほどの経営体に再編される計算です。
■今こそ農協が力を発揮する時
仮に被災者を耕作放棄地に受け入れるとしても、現在の虫食い状態では、うまくいかないのは目に見えています。
しかも、今回は地域を丸ごと受け入れる可能性さえあり、そのためには農地の再編は避けては通れない課題といえます。
この農地再編と農地と耕作者をマッチングしてゆく作業は、これまで膨大な情報量を蓄積してきた農協をおいて担える組織は存在しません。
これは農協の提言とも合致した内容でもあり、まずは農協の転換こそが、この危機を突破する第一歩となるはずです。

投稿者 tiwawa : 2011年04月14日 List   

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