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2017年05月09日

『微生物・乳酸菌関連の事業化に向けて』-37 ~微生物の起源-19  コラム:人体5億年の記憶~

胎児

今日は、小コラムをお届けします。
解剖学者・三木成夫の世界を書いた『人体5億年の記憶』の著者・布施英利氏のインタビュー(週間東洋経済5/13)記事から、抜粋して紹介したいと思います。
・・・独自の視点で人間という生命体を紐解く視線が面白く、実現論リンク)と相通じる面もありまた、広く当ブログのテーマとも繋げて一考するべき視座とも感じました。

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■ヒトの体内を植物性と動物性とに区分して見るのですね===

元は古代ギリシャのアリストテレス。
植物性器官とは栄養やエネルギーを体内に取り組み、吸収→循環→排出という流れで生きる力の働きをする部分、つまり内蔵をさす。
一方、動物性器官は知覚→伝達→運動という一連の機能を担い、餌を知覚する目や耳、それを捉えるための指令を出す脳と、指令をキャッチして働く骨や筋肉をさす。

■全体を通して三木先生は植物性器官こそ生の営みの根源である、と強調されています===

魚以前からの生命の歴史を考えて見ると、基本は植物的なもの
ナマコのような無脊椎動物、一本の内蔵の管が生物の体の始まりで、そこに手足や目玉などが後からくっついて出来たのが人の体。
ヒトの体の原点は植物的な部分にあるといえるが、現代文明、現代社会が人体の中で圧倒的優位に置いているのは脳。
ヒトの体の真ん中には口、胃、腸、肛門と一本の管がデンとあって、それが吸収し消化し排泄するという生命の営みの中心。そこを意識しなくなっている事に違和感。

中心軸
■ヒトの体と魚時代の痕跡との関係性が新鮮でした===

上陸して空気呼吸を始めるとエラは不要となり退化して、くびれ、つまり首が出来た。筋肉は上に移動して哺乳のため口周辺の筋肉が充実し、顔の表情筋、のどの筋肉、 耳に進化した。
顔面に集まっていた味覚細胞は乾燥を防ぐため口の中の舌へ逃げ込んだヒレは伸びて手足となり、呼吸器という新しい器官が付け足された。
人の耳には液体があって、空気の振動が耳の中で液体に伝わり、液体の波に変換されて脳に伝わる。これも海の名残ですね。
太古の海で単細胞の生物は海水中の栄養を全身から吸収していたが、陸に上がっても液体の便利な特性を捨てられず、体の中に血液などの形で液体が残った。
これも生命の進化の記憶。

■胎児の世界でも、生命の進化が繰り返される===

ヒトの胎児は「受胎から30日を過ぎてわずか一週間で、一億年を費やした脊椎動物の上陸史を夢のごとくに再現する」
受胎32日目の顔には魚の面影があり、エラ孔の列があって、手はヒレの形をしている。
34日目になると両生類のカエルの顔に、36日目に爬虫類の面影になる。心臓には隔壁ができ、つまり空気呼吸の準備が整った「上陸」の再現。
体が水中仕様から陸上仕様になるという生命進化上の劇的変化に必死で対応し耐える苦闘が、ちょうどその時期、つわりとなって母体に表れる。
そして38日目にようやく哺乳類の顔になる。
母胎の中にマイクを入れて音を拾うと、血管を流れる地の音がまさに波の音に近い。ザーッと寄せてヒューッと引いていく。

■ヒトの呼吸にも、太古の海辺のリズムが刻まれているとか===

太古の昔、海の中野生き物が上陸し、海の浅瀬に転がって長い暮らしを送っていた時、呼吸は寄せては低並みのリズムと共にあったに違いない。
海辺では数十秒ごとの塩の満ち引きに加え、月の引力によって一日2回の干潮・満潮があった。
それが一年で約700回、一億年なら700億回起きていたわけで、一本の管にも当然何らかのリズムが記憶され、対応力を備えないと生きていけない。さらに太陽と地球の関係で昼と夜が繰り返される。
そして太陽に対する地軸の傾きで春夏秋冬の四季がある。
つまり海辺には干潮が昼夜が四季が作り出すリズムというか繰り返しがあって、一本の管にその変転のリズムが刻ませないはずがない。その一本の管が現代の私たちの体の真ん中に残っている。

■こころとは体にある===
こころとは、脳で考える意識とは別。感情とも別。
喜怒哀楽は脳にスイッチがあり、ある種の無意識も脳の働きだけど、でも人間が持つ心には、それではすくいきれない。
もっとそこはかとない何かがある。
緊張すると胃がキリキリしたり、お腹の具合が悪いと落ち着かなかったり。つまり内臓が繋がっている。
   ~全ての内臓が宇宙と繋がっている~

投稿者 noublog : 2017年05月09日 List   

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