『微生物・乳酸菌関連の事業化に向けて』-13 ~既存事業2 エネルギー~ |
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2015年12月10日
『微生物・乳酸菌関連の事業化に向けて』-14 ~エネルギー2 電気で生きる微生物~
現在、当ブログでは、微生物の力を利用してエネルギーを生み出す仕組みや研究、開発動向などをお伝えしていますが、 本日は、週刊事実報道41号(11/26発行)に掲載された記事を紹介します。
記事は、直接の「創エネ」ではありませんが、電気を生きる糧の一つとして生きている微生物の存在は気になるところです。
電気で生きる生物発見
◆光合成、化学合成以外で栄養分を作り出す
これまで、二酸化炭素から栄養分を作り出す生物は、光合成か化学合成のどちらかであると考えられていた。
しかし今回、理研・東大共同研究チームの研究によって、海底に生息する生物の一部が、電気を第3のエネルギーとして利用し生きていることが分かった。
生命とエネルギーの神秘に、人類はまた一歩近づいたのかもしれない。
理化学研究所(理研)環境資源化学研究センター生体機能触媒研究チーム、東京大学大学院工学系研究科の共同研究チームが9月、電気エネルギーを直接利用して生きる微生物 を世界で初めて特定したと発表。
補食生物とは別に、一部の生物は生命の維持に必要な栄養分を自ら合成する機能を持つ。
地表の植物は太陽光をエネルギーとして二酸化炭素から光合成でデンプンを合成する。
また、太陽光が届かない環境には、水素や硫黄などの化学物質のエネルギーを合成に利用する化学合成生物が存在している。
◆海底の熱水と岩が接触して発生する電流を利用
共同研究チームは、太陽光が届かない深海熱水環境に電気を非常によく通す岩石が豊富に存在し、その岩石が触媒となって、海底の熱水が岩石と接触することで電流が生じる事を見つけた。
そこから、海底生物の中には光、化学物質以外に、電気をエネルギーとして利用して生きているものも存在するのではないかと仮説を立てた。
研究チームは、鉄イオンをエネルギーとして利用する鉄酸化細菌(A・ferrooxidans)に着目。鉄イオンが含まれず、電気のみがエネルギー源となる環境で細胞を培養し、増殖を確認した。
この細胞が体外の電極から電子を引き抜くことで、二酸化炭素から有機物を合成する能力を持つことを突き止めた。
また、この微生物は、電位差を高めて有機物を合成していることも分かった。
さらに、A.ferrooxidansの細胞では、体外の電極から電子を引きぬくことでNADH(ニコチンアミド-アデニンジヌクレオチド)を作り出し、ルビスコタンパク質を介して二酸化炭素から有機物を合成する能力を持つことを突き止めた。また、わずか0.3V程度の小さな電位差を1V以上にまで高める能力を持ち、微弱な電気エネルギーの利用を可能にしているという。
光と化学物質に加えて電気が生命のエネルギーとなるという新たな発見は、今後の海底や地底の生態圏を探るうえでの知見として重要という。
また、きわめて微小な電力で生きる電気合成微生物の存在は微小電量の活用という点でも新しい可能性があると考えられる。
先日紹介した、発電する微生物と連関させて、微小電量で創エネ微生物を活動させ、その電位差で無限に電気を創りだす!といった、夢の様な仕組みづくりも出来そうに思えました。
・・・みなさんは、どのような感想をお持ちですか?
by,佐藤有志
投稿者 noublog : 2015年12月10日 TweetList
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