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【コラム】★農における業態革命( 宅配の成功事例 )

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皆さん、こんにちは 😀
8月に行われたなんで屋劇場 [2]では、農業の「業態革命」の必要性を学びました。
このお話は、是非皆さんにもお伝えしたいと想い、当ブログでも随時ご紹介しております。
■農における業態革命~ プロローグ 5つの成功事例から学ぶ ~ [3]
★農における業態革命~ VOI.1 供給発への認識転換⇒技術開発、農家の組織化、販路の開拓の3点セットが基本構造 ~ [4]
★農における業態革命~ VOL.2 農業の業態革命のきっかけ。自給志向が高まってきたのはなんで? ~ [5]
(続きをお楽しみに )
そこで、今回は、
8/12なんでや劇場7 農と塾における業態革命~全てにおいて共認充足需要が最大公約数となっている [6]で取り上げられていた
>宅配の成功事例もしっかり押さえていく必要がある。宅配は、都市で消費者を組織化するのに対して、直売所は、その中間的な位置にあるという視点が必要。(引用終了)
「宅配の成功事例」を調査してみました 😀
続きを読む前にこちらをお願いします。


色んな本やネット等の情報を読み漁りましたが、その中で宅配で成功している企業を以下の4つに絞りご紹介いたします。
【1】らでぃっしゅぼーや㈱ (東京) 1988年創業
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売上220億円(営業利益2.9億円、純損失9500万円)、従業員239名、新卒給与19.55万、パート154名、会員約9.6万世帯、約7000アイテム、契約農家2600件。
1.環境NPO「日本リサイクル運動市民の会」を母体に誕生。2000年にキューサイの子会社化、2006年キューサイより独立し、JASDAC上々、2009年和郷園と提携し、「らでぃっしゅファーム和郷㈱」を立上げ農産物生産も始める。東日本大震災以降会員数2%減、国より厳しい独自のベクレル基準を設け放射能対策を実行するが売上はここ数年ほぼ横ばい。(2012年赤字は固定資産会計基準変更の特別損失。)2012年8月買収額69億円でNTTドコモの完全子会社化。ドコモ顧客500万人とローソンとの提携で売上拡大に臨む。
2.独自の安全基準で環境に優しい商品(有機、無農薬、低農薬など)供給で会員拡大。農産物に限らず日用品までも含めた豊富な品揃え、週1回野菜セット(2000~3000円)を戸別宅配(原則野菜は選べないがセットは21種類用意)、生産者情報、レシピ、保存方法情報をセットで送付。宅配のドライバーも商品説明ができる。包装資材なども安全性をCK。商品の内90%が自主規格商品で、生産から運搬まで全ての過程に関わり、安全性をアピールすることでブランド化を実現。らでぃっしゅぼーやというブランドそのものが核商品。売上内訳は野菜セット35%、米、加工、日用品(化粧品等)63%。
3.契約農家からは市場価格と関係なく全量買取する。生産者2600件とは技術指導を中心とした勉強会を開催し積極的にコミュニケーションをはかることで商品の質を上げている。
⇒全量買取で農家を組織化、技術指導で農産物の質をあげ安心安全ブランド化→消費者組織化を実現。
【2】オイシックス㈱ (東京) 2000年創業
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売上126億円、営業利益5.8億円、純利益3.3億、従業員151名、年収330~600万、会員約3.4万世帯、都度購入40万人、契約農家約1000件。
1.ベンチャー企業ブームの時代に、野菜をネットで販売する時代が来ると読み、20代のメンバー(大学生含む)で立ち上げ。野菜の知識、農家との繋がりゼロからのスタート。農家を一軒づつあたり、有機野菜20品目からスタート。安定的な仕入れ先を確保するため、日商岩井(現在は双日)と資本提携。現在は、1000品目まで拡大。
2.各農家が配送センターに商品を納品する方式をやめ、自社トラックが農家を回って回収する物流システムにして経費削減。また、野菜の鮮度を保つため、在庫は極力持たない。注文が入ってから、農家に発注書をFAX。置いても1日程度。故に廃棄率も0.5%(業界水準の半分以下)
3.ネットベンチャー時代のノウハウを生かし、優良顧客の購入状況を分析。別の購入者にオススメ商品を提供するシステムを開発。それにより客単価上昇。客単価は5150円。(再購入率43%、定期販売への転換率30%)
⇒流通、発注方法などをシステム化し経費を削減、ネットベンチャーのノウハウを生かし会員の組織化。
【3】株式会社 阪急キッチンエール関西 2002年創業(2011年に分割)
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売上 70億円、営業利益 2,500万円、従業員 45名(パート900名以上)、給与 契約社員 初任給 15万8千円(営業) ~ 32万円(バイヤー)、会員数 約3,8万人(毎日平均5千件オーダー有り)、組織数 調査中(自社の泉南ファームや産直コンサル会社と提携し、和歌山方面から収集。類農園からも水菜を納品している。)
1.魚や野菜などの生鮮食品から、高級スイーツなど“デパ地下“食品含め約3千点の豊富な品揃えを実現。食材の品質においては高品質を提供。市場から自宅へ直送する”独自の物流システム(関東方面は、食品卸大手の国分に仕分け業務などを委託)により刺身も“生”のまま配達している。
2.配送を任している地元の運送会社にも、客への接し方の指導も行い、『御用聞き』として、何か一声おかけして帰るという指導を徹底している。その他、70歳以上の方には、ダイヤルサービスとして週1回御用聞きの連絡も入れるサービスも提供。出歩けない高齢者や妊婦へのサービスを強化し、会員数を増やしている。注文は、1点から受付けており、夜12時までにインターネットや電話で注文すれば、翌日の夕方までに食品が届くという便利さを売りにしている。配達は、週に6日行っており、客単価2万円。
3.農家を組織化している自社の泉南ファームでは、社長自らが生産農家を招き、親和を図り、相談にも乗っている。
⇒豊富なデパ地下素材と新鮮な魚介類や野菜を自宅迄迅速に届けるサービスを売りに顧客獲得。
【4】日本生活協同組合連合会 1945年設立
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売上 3973億円、営業利益 28億円、従業員 約1千名、給与 大卒 20万円/院卒 21万円、会員数 約2,621万人、組織数 608組合
1.1844年イギリスで生協が誕生。日本でも戦後の激しいインフレで苦しむ庶民の声を聞き入れ、賀川豊彦( キリスト教伝道者/貴族院議員 友愛会に加入し、労働運動等にも参加 )を中心として生協の前進である日協同盟を設立。自己資本の調達も組合員による少額出資(1人1票の原則、出資制限、配当制限、脱退の自由)によって支えられている。
2. 2008年のCOOP冷凍餃子中毒事故後、会員数は半減したが、信頼回復の為に「安全性の確保」、「品質の確かさ」を徹底し、品質保障管理体制と食品安全管理体制を強化した事で会員数の増加を実現している。
3.「組合員の普段の生活に役立つ」商品をめざして開発に取組み約4,000点を販売。毎週届けてくれる仕組みが喜ばれ、且つ組合員が協同購入する仕組みによって良い品を「低価格」で提供し続けている。客単価 1.2万円。 
⇒年間40万件以上の組合員の声が寄せられ、商品開発や改善等を行う事でコアな顧客獲得。
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以上、取り上げた4つの成功事例から「直販の1つである宅配に不可欠な要素」をまとめてみました。
8/12なんでや劇場1 農と塾における業態革命~農の経営は、販路の開拓、農家の組織化、技術開発の3点セットの構造が基本 [11] でも挙げられていましたが、
【まとめ】
1.
[12]
→販路の開拓、言い換えれば消費者の組織化。
2.
[13]
→農家をどう組織化するかにかかっている。
3.
[14]
→消費者や農家をうまく組織するためにも、結局は差別化商品、技術開発が不可欠になってくる。
今回の調査で分かったのは、直販(直売、宅配等)事業を進めていくには、販路の開拓(=消費者の組織化)、農家の組織化、技術開発の3点セットの構造が基本にあり、成功へ導く為には、どれかに特化するのではなく、全てが業態革命には必要なんですね
いかがでしたでしょうか?
是非皆さんも農における『業態革命』を目指し、取組んでいただければと思います。
最後まで読んでいただき、有難うございました

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