- 新しい「農」のかたち - http://blog.new-agriculture.com/blog -

24節気は暮らしの知恵袋2~二十四節気や節句は、日本でどのように発展してきたか?

前回は二十四節気の成り立ち [1]についてご紹介しました。

もともと中国で始まり、春秋戦国時代の富国強兵のために作られたというお話しでしたね。

しかし、日本に入ってきてから、季節の移ろいを楽しんだり、自然と調和した生き方を重んじる形で発展してきました。

今回の記事では、日本人は二十四節気や節句をどう捉え、生活に取り入れていたのかに迫ってみたいと思います!

 

■そもそも“節句”って何?

前回の記事でも、『節句は中国から伝わりましたが、日本独自の解釈をしながら改良され、江戸時代に、そのなかでも特に重要な5つの節句を式日(祝日)としました』と紹介しました。

もう少し詳しく見てみると、節句が日本に入ってきたのは、奈良時代。中国の唐から宮中に伝わったと言われています。以下の五節句はみなさんも聞いたことがあるかと思います。

*********

1月7日 人日の節句

3月3日 上巳の節句(桃の節句)

5月5日 端午の節句

7月7日 七夕の節句

9月9日 重陽の節句

*********

 

五節句の「節」は唐時代の中国の暦法で定められた季節の変わり目のこと。

陰陽五行説では、暦の中で奇数が重なると、陰になると捉えられ、それを避けるための避邪(ひじゃ)の行事=季節の旬の植物から生命力をもらい邪気をはらうという目的から始まりました。

この中国の暦法と、日本の農耕を行う人々の風習が合わさり、定められた日に宮中で邪気をはらう宴会が催されるようになり「節句」といわれるようになったそうです。

 

■日本での節句の捉え方・楽しみ方

中国から伝わってきた節句。日本ではどのように捉えられてきたのでしょうか?

今は3月3日にはひな祭り、5月5日は子どもの日など、楽しむ行事になっていますが、本来はどのような意味だったのか、いくつかピックアップして見ていきましょう。

・3月3日 上巳の節句(桃の節句)

[2]

起源は300年頃の古代中国で起こった「上巳節」にさかのぼります。
昔から季節や物事の節目には災いをもたらす邪気が入りやすいと考えられていたため、川の水に心身の穢れ(けがれ)を流して厄を祓う行事や、杯を水に流して宴を催す「曲水の宴」などが行われていました。つまり、季節の節目の邪気祓い行事として、老若男女を問わず皆の幸福を願う行事だった。その上巳節を遣唐使が日本に伝えたといわれています。

日本でも古くから「禊(みそぎ)」や「祓い」の思想、「形代(かたしろ)」という身代わり信仰があったため、それが上巳節と結びつき、上巳の節句として日本独自の文化として定着していきました。

 

平安時代頃から、宮中で紙の人形を使ったままごと遊びが盛んになり「雛遊び」といわれるようになりました。この遊びが上巳の節句と結びつき、人の厄を受ける男女一対の紙製立雛が誕生。これがいわゆる雛人形の原型です。やがて人形作りの技術が発展し、雛人形は流すものから飾るものへと変化していきました。

 

・5月5日 端午の節句

[3]

古来中国では、強い香気で厄を祓うとされる「菖蒲」や「よもぎ」を軒に吊るし、菖蒲湯に入る事で無病息災を願ったそうです。

日本では、宮中から鎌倉の武家社会へと拡がり、菖蒲=尚武(武道等を尊ぶ事)の節句へと変遷していきました。

やがて江戸時代には、五月五日を式日と決め、大名や旗本が式服で江戸城へお祝いを奉じるようになりました。また、武家に男の子が生まれると、玄関前に馬印や幟を立てて祝うようになったため、その習慣が庶民へ広まります。しかし武家とは違い、幟旗を立てる事を許されていなかったために「鯉のぼり」ができ、今の習慣へとつながったと考えられています。

[4]

「鯉」は「鯉の滝登り」等の故事で知られる様に、鯉から龍へと出世する魚として考えられ、立身出世を願ったものだと言われています。

 

 

**********

 

冒頭にも書いたように、中国では生産力を上げるため、富国強兵のために使われていた二十四節気。
日本に入ってきてからは、季節を表現する、感じるものに変わってきたように感じます。

古来から自然と一体になって生きてきた日本人は、暦や節句を生活にうまく取り入れ、楽しむ知恵を生み出してきたのでしょう。

では、現代はどのように二十四節気を暮らしに取り入れて行けば良いのか。次回からは、それぞれの季節の特徴や今すぐ始められる楽しみ方をご紹介したいと思います。

 

<参考>

日本の節句
https://www.kyugetsu.com/concept/dolls-histry-and-tradition/sekku [5]

桃の節句の起源・由来
https://allabout.co.jp/gm/gc/220699/ [6]

端午の節句の由来
https://www.seigetsudo-honten.co.jp/park/noshiinfo/tangonosekku [7]

「節句」とは?意味や由来、日本の五節句における特徴を解説
https://www.furacoco.co.jp/column/2021/3777 [8]

[9] [10] [11]