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『農村学校をつくろう!』シリーズ-10~自然の中で、人間本来の潜在能力(野性)を呼び起こす「小野田塾」

前の投稿 [1]では、江戸時代の子どもたちの子育て・学びのあり方を追求しました。重要な点は、「遊び」のなかで成長すること、大人と一体の「生産課題」の中ですくすく学ぶこと、男と女の「性」を育てることが、一人前の大人になる上で重要だと押さえました。

 

今回の投稿では、さらに根源に遡り、自然は、人間(動物)本来の潜在能力(野性)を呼び起こす基盤であることを考えていこうと思います。

その事例として、第二次世界大戦時に、30年に亘ってフィリピンの山林の中で、まさに人間の野性(本能)を頼りに生き抜いてきた小野田寛郎氏から学び取りたいと思います。

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写真は、こちら [3]からお借りしました。

■人間本来の潜在能力を呼び起こすと、どうなるか?
30年間、山林の中で生き抜いてきた小野田寛郎さんの経験をもとに、現代の私たちでは体感したこともない、潜在能力を感じられるエピソードを見てみたいと思います。

 

 

 

 

■潜在能力は、子どもの頃の遊びから培われる
小野田さんは、自身の経験を通じて、人間本来が持つ危機察知力や知恵・判断力は、子どもの時に体験する様々な動作や遊びの中から身についていくものだと強烈に感じられていました。
一方で、現代の子どもたちは、どこでも地べたに座りこける体力的な弱さ、そして、すぐにキレる・我慢できない精神的な弱さがある。この現代の子どもたちの弱さは、生物としても非常に深刻な状況にあると強い危機感を持たれていました。

 

小野田さんは、自身の経験を活かして、約30年前に「小野田自然塾」を立ち上げられました。

ここでは、子どもたち自身の力で、自然の凹凸や斜面地を歩くことで、しっかり体力を培うこと。木や道具をつかって、自分たちの力で道具をつくること。そして、農作物を育てて、自然の恵みを有難くいただくこと。このような集団活動を通じて、人間本来の力を引き出し、そして、生き抜く力を獲得していってほしいという願いを込めて、今もなお、も記念財団によって活動を継続されています。

野外活動の中でも、特に「水」の重要性を伝えてこられています。人が生きる上で、最も根源的なものであり、山から湧き出る、飲むことができる清水のありがたさを体感しています。また、樹に聴診器を当てて、水の流れを体感する機会も大切にされています。

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画像はこちら [7]からお借りしました。

 

自然は、人間本来の潜在能力(野性)を呼び起こす基盤であるという視点は、子どもたちの成長の上で不可欠な視点です。子どもたちが、心身ともに健全に成長していくためてには、都会だけでは不十分。

少なくとも、週末の土日、あるいは、長期休暇で長期滞在などの機会をつくり、大自然の中で、大人は手助けすることなく、子どもたちがたくましく育っていく場をつくること。それが、現代の親の一番の役割だということを小野田さんからの学びべきところだと思います。

 

参考投稿
B&G「自然体験を通じて、親子の絆を深めてもらいたい」 [7]
NPO法人東京中央ネット「今月の顔2004年8月」 [8]
松本大学「戦争を戦い抜いた最後の軍人、小野田寛郎氏講演会開催貴重な実体験の講演に約800人が聴き入る」 [9]

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