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「腸が作る健康の秘訣」第6回:健康になるためには、なにを食べらいい?

腸が作る健康の秘訣。今回は、健康になる食事を紹介します。

今まで追求してきたように、健康の秘訣は腸内環境を最適化することです。人間の細胞の数は約60兆個と言われていますが、腸内には、1000種類もの細菌が100~1000兆個も生息していますので、腸内細菌の方が圧倒的に多いのです。
その大量の腸内細菌は、人間が食べる食事をエサにしていますので、腸内細菌が必要としているものを食べることが健康の秘訣となります。では、具体的にどのような物を食べたら良いのでしょうか?

 

「バランスが良い食事」とは?

「バランス良く色んなものを食べるのが良い」とよく言われますが、どう「バランス」をとれば良いのでしょうか?
普通、動物はたいていいつも同じ物を食べています。例えば、コアラはユーカリの葉ばかり食べていますし、ライオンは肉ばかり食べて野菜を摂ることはありませんが、それで健康を害することはありません。
なぜ、人類はバランスが良い食事が必要なのでしょうか?

他の動物は、食物連鎖内での種としての生存闘争によって、それぞれの種が決まった食べ物を食べることで棲み分けているのに対して、体格的にも機能的にも劣る極限時代(人類が誕生して以降、弓矢等の武器を手に入れるまで)の人類は、縄張りを確保できず、生き延びることができたこと自体が奇跡的なほどでした。

当時の人類は、他の動物が食べない骨を割って骨髄をすすったり、草の根っこを食べたり、生き延びるために食べれるものは何でも食べていました。その状況に適応するために、人類は腸内に多様な腸内細菌を取り込んで、いろんなものを消化できるようになりました。

「バランス良く食べる」とは、多様な腸内細菌たちに合わせて、彼らのエサを与えてあげるために必要なのです。

 

植物繊維を多く摂る

その中でも特に重要なのは、いわゆる「善玉菌」と呼ばれている発酵を司る菌のエサである植物繊維です。
食物繊維には、水に溶けない不溶性植物繊維と、水に溶ける水溶性繊維に大きく分けられ、それぞれ重要な働きがあります。

不溶性繊維は消化されないまま大腸に届き、腸のぜん動運動を促すことで腸の働きを活性化させます。
セルロース・ヘミセルロース・キチン・キトサンなどが不溶性食物繊維と呼ばれるもので、主に穀類、野菜、豆類、木の実などに含まれます。

【不溶性食物繊維を含む食品】
・穀類(オートミール、押し麦、ライ麦など)
・野菜類(ごぼう、さつまいも、切り干し大根、干しシイタケ、インゲン豆など)
・豆類(大豆、納豆、おからなど)
・果実類(プルーン、アボカド、落花生、アーモンド、クルミなど)
など

一方、水溶性植物繊維は、ほかの栄養素と異なり小腸で吸収されず、大腸まで届くことから「善玉菌」のエサとなります。それだけでなく、小腸での栄養素の消化・吸収を抑え、血糖値の急上昇を抑えるほか、体内のコレステロールを吸着し、血中のコレステロール値を下げる役割も担っています。

【水溶性食物繊維を含む食品】
・穀類(オートミール、ライ麦など)
・野菜類(切り干し大根、ごぼう、干しシイタケ、インゲン豆など)
・海藻類(昆布、わかめ、もずく、寒天など)
・果実類(プルーン、いちじく、アボカド)
など

 

魚や肉も適量を食べる

「悪玉菌」と呼ばれていますが、例えば悪玉菌の代表である大腸菌はビタミンB群やビタミンKを作り出し感染症から体を守ったり、自然免疫を高めるのに生命維持にとって必要不可欠な菌です。腸内細菌の約1割が悪玉菌ですので、腸内細菌の多様性を維持するために、悪玉菌にもエサを与えてあげる必要があります。

悪玉菌は、肉類に含まれるタンパク質やアミノ酸を主なエサにしていますので、魚や肉類も食べてあげてください。
但し、食べすぎは禁物です。肉類を分解するときに硫化水素やアンモニア、アミンなどの毒素が発生し、血液を汚染したり、大腸がんなどの病気の原因となります。

肉食動物が病気にならないのは、肉食に適した腸内細菌になっていることに加え、彼らは狩に成功しない限り食事にありつけず、狩は成功するよりも圧倒的に失敗することが多い(そうでなければ、草食動物は絶滅してしまいます)ので、食べ過ぎるとこはあり得ないのです。

いつでも好きなものを好きなだけ食べることができるのは、人類のしかも現代の先進国に限られており、人類史の99.9%は外の生物と同様飢えとの戦いでした。生物は常に飢えているのが常態なので飢えに対応した本能はありますが、食べ過ぎに適応するための仕組みはないので、食べ過ぎが万病の元になるのです。

 

発酵食品で腸内環境を整える

腸内細菌のバランスを整えるのに有効なのは、さまざまな乳酸菌を摂取する方法です。乳酸菌は、いわゆる善玉菌のエサになるのと同時に、腸内を酸性にし善玉菌が増えやすい環境を作ってくれます。
乳酸菌は、以下のように発酵食品に多く含まれています。

【乳酸菌を含む食品】
・ヨーグルト
・乳酸菌飲料
・納豆
・漬物
・味噌
など

発酵食品は、各地の気候風土や作物に合わせて受け継がれてきたもので、古くから世界各地で伝承されてきました。
例えばヨーグルトのはじまりは、紀元前5000~6000年頃とされており、東地中海地域で家畜として飼われていた牛や羊の乳を保存していた時に、偶然乳酸菌が混入し自然発酵してヨーグルトの原形である発酵乳が誕生したのではないかといわれています。
日本でも縄文・弥生時代には、発酵を利用した干物やなれずしが作られていたようで、さらに遺唐使が奈良・平安時代に中国に渡り、みそ、酢、酒、醤ひしお、漬物を日本にもたらしたとされています。

発酵食品は、健康食としてだけでなく、腐敗を防いで保存に適した状態にし、さらに豊かなうまみをも生み出しているスーパーフードです。しかも、発酵食品は以外に簡単に作ることができ、手作りなら無添加で、食材も有機商品を選べますので、気軽にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

 

【参考サイト】

ハウスダイレクト:腸内環境を整える3つの菌とは?腸に良い食べ物やすぐできる生活習慣改善法をチェック!
https://www.house-direct.jp/column/intestinal-environment01/ [1]

知って得する豆知識:肉中心の食生活が悪玉菌の原因に…腸内環境と大腸がんの関係は?
https://www.nisshin-pharma.com/column/cat01/050/ [2]

すばる屋:発酵食とは
https://subaruya.com/hajimete/ [3]

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