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『食糧問題』シリーズ6:FAO(国連食糧農業機関)のプロパガンダによって隠蔽される国連の世界支配

前々回の記事では、国連が食料危機を煽りつつ、世界中に先進諸国の穀物や種苗・資材を売りまくり、世界各国の食料自給基盤を破壊していることがわかってきました。

 

今回、さらに調べてみると、国連は、食糧危機以外にも、様々な統計データの収集・情報発信を行い、各国のマスコミなどの情報機関を扇動していることがわかりました。国連の関連機関の中でも、特に国連食糧農業機関(FAO)は、重要な煽動機関となっており、我々が日々接している情報のソースの多くは、FAOによって取りまとめられているのです。

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その情報をまとめてみます。

 

①飢餓問題(ハンガーマップ)と食料需給状況(食料危機)

本シリーズでもこれまで見てきたように、飢餓問題と食糧危機問題は、FAO・WFPが中心となって国連全体で情報発信している。以下の警告・推奨内容のベースとなっており、国連のプロパガンダの核心部分と言えます。

 

②世界的な地力の低下

国連食糧農業機関が2015年に発表したレポートによれば、「人類が農耕を始めて以来、私たちは既に少なくとも世界の耕作地の三分の一を劣化させ、世界の作物生産能力は毎年約0.5%低下している」「新たな取り組みが採用されない限り、2050年の世界の一人当たり耕作可能地は、1960年の水準の4分の1になる」と試算。「肥沃な土壌」が失われつつある現状に警鐘を鳴らしています。

(FAOは国際土壌年(IYS2015)をスタートhttps://www.fao.org/japan/news/detail/en/c/284499/ [2]

 

③地球温暖化、異常気象、気候変動

地球温暖化を中心とする異常気象・気候変動が世界中で報告されているが、これが食料保障に多大な影響を与えおり、特に後進国ではその影響が寛大である。逆に、温室効果ガス排出量の10%以上が、農業に直接的に関与しているとも試算。

(気候変動の概要 https://www.fao.org/3/ax412o/ax412o.pdf [3]

 

④食料ロス・食料廃棄

世界全体で、生産された少量の約1/3(約13億トン)が廃棄されていると試算。低所得国における食料ロスの主要因は、収穫技術・気候条件・貯蔵施設・インフラなどにあるとして、これらへの投資が必要としている。

(世界の食料ロスと食料廃棄 https://www.fao.org/3/i2697o/i2697o.pdf [4]

 

⑤食料自給率

農水省の食料自給率も、FAOのFood Balance Sheetsをもとに作成されている。

 

⑥家族的農業の推奨

世界の食糧需給の8割は、規模の小さな家族農業に支えられていると試算。食糧飢餓、食糧安全保障の観点から、家族農業を国際的に支援すべきとし、必要な資材や、技術支援などが必要としています。

(2019‐2028年 国連家族農業の10年   https://www.fao.org/japan/portal-sites/10-un-decade/2019-2028-10/en/ [5]

 

⑦森林減少と生物多様性減少

1990年以降、世界で4億2000万ヘクタールの森林が失われたと試算。農業の拡大は、森林破壊と森林劣化の主要因とし、農業関連企業へ、森林破壊をやめるよう警告している。

(世界の森林の状態 2020 https://www.fao.org/state-of-forests/2020/en/)

 

⑧遺伝子組換え作物の推奨

遺伝子組み換え作物は、世界の飢餓の根絶に一助を為すとして、発展途上国での栽培・研究を推奨している。

(FAOレポート 発展途上国では充実したバイテクのプログラムを展開 https://cbijapan.com/news/1013/ [6]

 

 

以上が、FAOが中心となり世界中に発信されているプロパガンダです(これ以外にも細かいものはたくさんあります)。

まとめてみると、ひとつひとつの内容は「良い事言っている」のですが、矛盾や自作自演のオンパレードであることもよくわかります。

 

家族農業(小規模な自給的農業)を推奨し、”これを支援すべし”と、その栽培技術を近代技術に置き換え、伝統農法を破壊しようとしています。食料ロスも、農業生産工程や保存技術の問題であるとして、遺伝子組換え作物などのあらたな技術導入を支援。

しかし、こうした伝統技術の破壊こそが、飢餓の原因であることは、前々回の記事で述べた通りです。

 

しかし、断片的には非常に聞こえの良い主張・警告内容であるため、これをメディアがとりあげ、全世界に波及させています。

FAOは、国連(=金貸し勢力)の都合よく情報操作するための重要機関であると言えます。

 

 

そしてもう一つ気になるのは、このFAOの事務局長のポストを、中国が抑えているという事です。

実は、中国は、習近平が主席になって以降、FAOだけではなく、国連関連機関のポストを占領しつつあります。

さらに昨年2020年から今年に入っても、世界の食料を買い占めており、世界の穀物在庫の半数以上が中国にあるという事態が起こっています。(食糧飢餓に警笛を鳴らしているFAOの事務局長が、自国で食糧を買い占め、飢餓を生み出しているという事態。)

中国はいま何を考えているのか。これはまた、次回記事で追求したいと思います。

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