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農と全人教育1~エディブル・スクールヤード

Posted By noublog On 2020年1月1日 @ 7:00 AM In 「農」再生の実現基盤ってなに? | No Comments

新年、明けましておめでとうございます。

本年も、さまざまな切り口から、「農」の可能性を追求していきます。

 

…「農」が持つ多様な可能性が顕在化してきている一方、例えば担い手不足の問題はますます厳しくなっている。

一産業の再生という枠や、生産者・消費者という立場の違いを越え、より広い視座から直視していくことが、農の再生につながる。

農を通じての学びが、次代の農をつくる。その意味で教育の現場にも、かかる期待は大きい。

 

以下、『食べられる校庭?!「エディブル・スクールヤード」って何?』 [1]より引用

こんにちは、ライターの渥美です。たくさんの人に「土」に触れ、「食」や「農」に関心を持ってもらいたい!と考えている大地を守る会。近年、都市農園は様々な形で増えつつありますが、そんな中でも注目している動きが「エディブル・スクールヤード」です。今回は日本でそのムーブメントを推し進める一般社団法人エディブル・スクールヤード・ジャパンの堀口博子さんのインタビューをお届けします。「食べられる校庭」……ってことは、学校でバンバン野菜を収穫!ってことなのでしょうか?!果たして!

 

-エディブル・スクールヤードって、どんなものですか?
食物をともに育て、ともに調理し、ともに食べるという体験を通して、生命(いのち)のつながりを学び、人間としての成長を促す教育を「エディブル・エデュケーション」と言います。これを学校で実践するために作られた組織が「エディブル・スクール・ヤード(ESY)」です。創設者は、アメリカ初のオーガニック・レストラン「シェ・パニーズ」を作ったアリス・ウォータースで、背景には90年代の学校の荒廃がありました。人種差別、いじめ、児童犯罪、肥満や糖尿病などの問題の根っこには、食事環境の悪化があるのではと考えたアリスは、家庭だけではなく社会全体が取り組むべきとして、「食」の教育を学校で取り入れることを訴えたんです。
アリスの地元であるカリフォルニア州バークレー市では、今では公立のすべての小中学校に菜園があり、食を学ぶ授業は必修科目になっています。健康で、フェアに育てられた、美味しい食は、すべての人が享受すべき生きる基本だとアリスは考えています。

-どのように実践されているのですか?
授業は「教室」として位置付けられたガーデンとキッチンで、それぞれに専門のトレーニングを受けたガーデンティーチャー、キッチンティーチャーが行います。ガーデンでは野菜や果樹、ハーブ、穀類など様々な種類の食物を育て、収穫し、それをキッチンで料理し、みんなで食卓を囲む。そこに科学や歴史、数学、外国語などの科目と統合させ、食を通じた体験をアカデミックな経験としてつないでいく授業です。

-授業の具体的な例を教えてください。
ある中学では、入学したばかりの1年生に「フードメモリー」ということで、食べ物にまつわる思い出を作文にしてもらいます。これは「書く」という国語学習ですが、それ以上に、先生が、子どもたちがどんな生活背景を持っているか、どんな問題を抱えているかなどを知ることができ、これは学生指導に大いに役立っていると言われています。ガーデンクラスでは、その日に行う作業を子どもたち自身が主体的に選び、責任を持ってやり遂げるよう導きます。決して「これをやりなさい」という指示はありません。例えば、“今日のガーデン作業”として➀畑の整備 ➁コンポストの切り返し ➂収穫 ➃苗作りなど、子どもたちのその日のムードに合わせて作業に関れるようにしています。静かにしていたい日もあれば、体を動ごしたい日もある、作業が強制されることはありません。そして最後は、必ず「味わう」ことが用意されます。ガーデンの収穫で作るサラダやレモネードなど、食べて、授業は終わります。

-日本での活動を教えてください。
4年前から、東京都多摩市立愛和小学校を日本のモデル校として、その実践に取り組んでいます。昭和40年代のニュータウン開発で作られたこの地区は、現在は超高齢化、超少子化が進み、ひとり親家庭や外国人移住者も多く、経済格差も大きい場所です。活動を始めた最初の頃は、家族で食卓を囲むことが少なく、一人食べは普通で、食を楽しむという経験の少ない児童が多いと感じました。これまでの4年間で感じるのは、まずは子どもたちの変化です。子どもは与えられた食物には、まずい!食べたくない!と反応することも多いけれど、自分たちが栽培に関われば、嫌いなものでも食べるようになるんです。また周囲と関わるのが苦手だったあるお子さんが、鶏の世話をすることでクラスの中心になっていったということもありました。勉強やスポーツでは評価されにくい子どもたちも、ガーデンやキッチンでは生き生きと活躍することができるんですね。
もうひとつは、活動をサポートしてくれる保護者が増えたこと。好き嫌いがなくなった、学校の話をするようになったーそういうお子さんの変化に気づいて、興味をお持ちになるんでしょうね。私たちは、保護者の方とは必ず、お茶やランチをご一緒するんです。テーブルにクロスを敷いて花を飾って、スタッフの手作りケーキを食べて……そうするとみなさんまた来てくださいますよ(笑)。大人もそういう時間、空間に飢えているんだと思うし、自己肯定にもつながるようです。美味しいものを食べると「生きててよかった」「ここが好き」って思いますよね、それは、自分たちが育てたものだからなんです。

-堀口さん自身は、なぜこの活動に関わったのですか?
最初は自分が体調を崩したことがきっかけです。そこから食べ物の大切さを感じ、編集者という仕事を通じて、農業を取材するようになりました。有機栽培で自家採種している農家の方のお話などは、もはや野菜の栽培ではなく、生き方の話、子育ての話としか思えず、「ある意味で、農業、そして食べることは、人を育てることに繋がっているんだ」と強く思うようになったんです。そんな中でESYに出合いました。

-子どもの教育に限らず、大人にとっても大切なことですね。
赤ちゃんからおじいちゃんおばあちゃんまですべての人に必要なことだと思います。生きることは食べることだし、食べることは生きることですから。精神でも肉体でも何らかの問題があれば、まずは食べ物との関係を考えなおしてみる。それは人との関りや、社会との関係を考え直すことにつながります。食べ物がどこから来るのかを考えれば、農業の未来について、生産者について考えるようにもなりますよね。そうしたことを日常として身につけている人が増えてほしいなと思います。

 


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[1] 『食べられる校庭?!「エディブル・スクールヤード」って何?』: http://www.daichi-m.co.jp/csr/15122/

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