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農をめぐる、世界の闘い3~せめぎあう二つのパラダイム

Posted By noublog On 2019年7月4日 @ 9:47 PM In 1.世界/日本の[農]・食糧事情 | No Comments

特定の企業連合体が「独占」しようとする”農”。

対して世界は、”農”は誰しもが贈与で分かち合うものとして、各地で激しい認識闘争を挑んでいます。

ロシアを筆頭に、フランス、ブラジル、足下のアメリカでも。

まずこの事実を、私たち日本人は知る必要がある。

以下、転載(タネと内臓 著:吉田太郎)

■緑の枢軸、露仏独の三国同盟VS死の化学企業の連合軍
今の日本の経済成長戦略がどこか虚しいのは、幸せへの手段でしかないはずの経済成長が自己目的化してしまっていて、経済が成長した結果、どのような社会が実現するのかというビジョンが皆無であるためだろう。それは農業にも言える。
京都にある総合地球環境学研究所で、持続可能な食の消費と生産のあり方を研究する【スティーブン・マックグリービー准教授】 [1]は、農業が発展していく方向性としては、高付加価値化、多様化、自律化という三方向があると指摘する。日本では高付加価値や六次産業化という成長路線が重視されているが、起業にもブランド化にも自ずから限度がある。地域の資源を見直して活用するやり方もあれば、すべてを人任せにはせず、自分たちで金を使わずに管理していく方向性もある。ヨーロッパでは、最後に挙げた自律化、「Regrounding」が、とりわけ、注目されているという。足下を見つめ直し地に根ざす。禅的に言えば「照顧脚下」だ。

ロンドン大学の【ティム・ラング教授】 [2]らは、『フード・ウォーズ-食と健康の危機を乗り越える道』(2009年 コモンズ)で、20世紀の食料生産を特徴づけてきた「生産主義パラダイム」はすでに終わっており、生命科学の手法を駆使したライフサイエンス・パラダイムと環境や生態学を重視したエコロジー・パラダイムとが対立する「フード・ウォーズ(食料戦争)」の時代に突入している状況にあると描いてみせる。
マックグリービー准教授は、この著作の見取り図を例に引きながら、ライフサイエンス・パラダイムは食べ物を人間が生きるためのエネルギーと見なす考えであって、遺伝子組み換え食品(GMO)や医療ビジネス等と親和性が強く、突き詰めれば、食も栄養剤やビタミン錠剤を補給するだけでいいことにゆきつくと説く。その一方で、アグロエコロジーやパーマカルチャーのように、食べ物は多様な環境の中で育てられ、いくらDNA分析しても気候や風土を無視してはありえないという考え方があると述べる。
准教授の見解によれば、とっくに終わった「経済成長」をいまだに重視している今の日本の農政はとんでもない勘違いをしていることになる。食材も種子も医療もセットでお金儲けのための知的財産にしていこうとするパラダイムと、アグロエコロジーや在来種子保全運動に象徴されるようにも食べ物も種子も、ある特定の企業の財産ではなく誰しもが贈与で分かち合っていくべきだとするパラダイム。この二つが対立し、せめぎ合っているのが現在だからだ。

米国に対抗意識を燃やすプーチン率いるロシアは、フランス農相以上に過激で、いち早く遺伝子組み換え食品(GMO)フリーゾーン宣言を行い、2020年までに有機農業による国家自給と栄養価が高い有機農産物の輸出を外貨獲得の主軸に揚げてみせた。小麦の輸出はすでに米国を抜いており、国営系のメディアのスプートニクやロシア・トゥデイを通じて、遺伝子組み換え食品の危険性を英語で世界に発信している。

ロシア独自の遺伝子組み換え食品研究からいち早くその危険性を見抜き、反遺伝子組み換え食品ネットワークを立上げ、このプーチンの戦略を後押ししたのは、ジャーナリスト、【エレナ・シャロイキニ氏】 [3]だった。彼女は、ドイツやフランスとも同盟を結び、露独仏のアグロエコロジー枢軸同盟を結成することで、ユーラシア大陸から遺伝子組み換え食品をたたき出せ、という壮大なビジョンを描いてみせる。
シャロイキニ氏の世界観からすれば、今、世界はプーチン率いる人類救済のための緑の枢軸とモンサントやバイエル率いる「死の化学産業」の二大勢力が戦っていることになる。海外情勢に詳しい印鑰智哉氏によれば、ラテンアメリカではブラジルを筆頭に食やタネをキーワードに遺伝子組み換え食品に代表される大規模輸出工業型農業への反対が強まり、アグロエコロジーを掲げる農民と食の運動がより多くの賛同を集めつつある。
モンサントの占領下に置かれた米国においても、子供たちの5人に1人が糖尿病や肥満等になった反動から年率30%の伸び率で有機農業ブームとなり、有機栽培面積が年10%以上で伸びている。遺伝子組み換え農産物や除草剤ラウンドアップはボイコットされ、母親たちを中心としたレジスタンス運動がますます高まっている。シャロイキニ氏のたとえでいえば枢軸国側ら解放軍が勝利を収めるのはさほど遠い未来ではないのではないだろうか。

際、フランスでは、除草剤ラウンドアップがあまりに危険なために三年後には販売が規制され、モンサントが安全だと宣伝するコマーシャルは虚偽であるとして最高裁判所が有罪判決を下している。同じ除草剤の安全基準値がなんの根拠もなく、2017年12月に、ヒマワリ油では残留基準値がいきなり400倍に規制緩和された日本は、メディアリテラシーが低い一方、政府に対する国民の信頼はいまだに高く、まだまだ経済的に豊かなゆえに、売り先がなくなりつつある毒物「ラウンドアップ」を在庫処分するための格好の「カモ」にされているようにも思えてくる。


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URLs in this post:

[1] 【スティーブン・マックグリービー准教授】: https://researchmap.jp/srmcgreevy/

[2] 【ティム・ラング教授】: https://blog.goo.ne.jp/cityfarm/e/b2b734a0606b50043b4a7a72ff707a68

[3] 【エレナ・シャロイキニ氏】: http://semilla.seesaa.net/article/458533051.html

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