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【コラム】古代のお米 ~赤米の価値とは~

赤米ってご存知ですか?文字通り、赤い色のお米です。
古くから親しまれた赤米ですが、次第に「白米」によって絶滅寸前まで淘汰されました。
しかし現代、赤米が注目されてきています。赤米の持つ力に気づき始めてきたのです。実際に、栄養学者は「白米」よりもビタミン やミネラル が豊富に含まれていると分析しています。
今回は、この赤米について紹介します。
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~以下引用~
◆赤米は米ではない
赤米には「検査基準」がない。出荷しても、「規格外」だ。つまり「米」扱いされない。なぜなら、検査基準は「お上の米」のために定められているからだ。いまでも赤米はそういう意味で、出荷してはいけない禁断の稲にされている。
◆赤米の価値
山間地や島々の、地の痩せた田や、湿田や冷たい水がかかる田、あるいは水さえもままならなぬ天水田など、不良環境下の水田では、赤米の方が「白い米」より、よくでき、よくとれたことも、根強くつくり続けられた理由の一つだったと思う。ぼくのうちの田んぼは、水をためても一日で干上がってしまうような俗に言う「ザル田」で、「白い米」の品種は一反に玄米で六俵(三六〇キロ)もとれないのだが、赤米は六俵はとれる。その成長の力強さ、たくましさ は現在の稲が失ってしまったものだ。まして将来、農薬・化学肥料が制限される時代になれば、なおその生命力 の旺盛さは輝きを増すにちがいない。
◆赤米の風景
思えば未だに、田んぼの風景も、農村の景観も国の財産としては認知されてはいないのだ。赤米が美しいといったところで、評価する政策はないのだ。でも「お上」が評価しなくても、国民が評価すればいい。そうして「お上」の美意識、発想までも変えていくといった運動があればなおいい。
◆赤米の名残
「赤飯」として、赤米の精神を残してくれた。よく、赤米を食べた人が、「味が、アズキご飯にそっくり」と言うが、あべこべだ。赤米によく似た味と色を持った「小豆」が代用に選ばれたのではないだろうか。
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◆赤米は未来の稲
地域、地域に多用な穀物が栽培され、稲でも多用な種類が栽培され、多用な食べ方がいきていた時代を決して忘れてはならない。国家のためではなく、消費者のためだけでなく、自分や地域のために田畑を耕し、そこにあった作物をつくる。そのことが文化を豊かにし、環境を守ることにもなるだろう。そのために稲作を楽しむ百姓の思想こそが、消費者や国を救うことになりはしないかと、予感する。
~引用おわり~
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日本の原風景であった赤米の田んぼは、秋の風物詩であったに違いありません。夕焼けに真っ赤に染まる田んぼに、赤とんぼが飛び舞っている姿は、是非見てみたい風景ですね。
引用元
著書 :田んぼの忘れもの
著作者:宇根 豊
出版社:葦書房
出版年:1996年7月 

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