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経済危機・震災を機に、日本の農業を再生する~現状分析編~

Posted By staff On 2011年8月12日 @ 10:47 AM In 7-a.食糧危機、新しい農のかたちとは? | 25 Comments

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過去、不安定な社会状況になると、食糧高騰、食糧不足など、食と農は大きな影響を受けてきた。
 
2011年に入って、3.11大震災、8.5米国債の格下げ問題、7月19日の台風6号など、原発、経済分野、自然災害で様々な社会問題が起こっている。これらを受けて、食と農はどのように変わってきているのか?
 
今年度の中間段階を振り返る意味も含め、まずは現在の社会状況を整理し今後の農業の動向について考えてみたい。
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2011年度の大きな社会問題として、3.11大震災→原発・放射線問題、米国債の格下げ問題を始めとする経済危機、地震・台風などの自然災害の3つの切り口から見ていきたい。
 
%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E5%8E%9F%E7%99%BA.jpg■1.原発・放射線による農業への影響
震災から5ヶ月たった今もなお、福島原発敷地内にて、原爆の爆心地並みの放射線量10sVが観測されている(リンク [1])。放射性物質拡散は収束の目処が立たず、セシウム汚染牛肉の流通 [2]牛乳やホウレンソウの汚染 [3]など、毎日のように食品の放射線汚染について報道されている。
 
%E6%B1%9A%E6%9F%93%E7%89%9B%E8%82%89.jpgさらに、汚染牛肉は全国37都道府県へ拡散し慌てて回収に動いていること(リンク [4])、あるいはセシウムを含んだ腐葉土の流通が各地へ広がる(リンク [5])など、政府の流通管理の問題が指摘されている。
 
また、汚染による風評被害を避けるために、米などの産地偽装問題 [6]が発生しており、政府・製造・流通業者に対して不信感がますます高まっている。
 
このように、生物が生きていく上で不可欠な食糧自体が放射能に汚染され人体に被害が出る状況であり、そして、それを知りながら、長期的にこれらと共存せねばならないという状況にある。かつ、解決するための情報が政府・マスコミによって完全に隠蔽・誤魔化されている。
この2つの面から分かるように、食に対する安全、安心基盤が喪失するという大きな危機が現在進行形で進んでいる。

 
 
%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%A3%E5%8D%B1%E6%A9%9F.bmp■2.経済危機による農業への影響
ギリシャ危機発のユーロ安 [7]米国債のランク格下げ [8]が象徴するように、政府介入によって通貨価値を保ち,経済危機を回避しようとすることに対して、依然状況は変わらず「金融破綻は先延ばしされただけだ」と見られており、世界経済破局の予感が漂っている。
 
[9]そして、金融資本の行き詰まりから金融証券⇒現物へと収束、その結果、金、食糧の高騰が加速している。小麦、砂糖、卵、油脂類などの原料の高騰が起こっており、7月に食品メーカーによる食品価格引き上げが行われ始めた(リンク [10])。
 
また、今後不況が長引けば、倒産△・給料▼から、食糧の確保が難しくなっていくことも懸念されている。
 
このような状況から、他国間との協定(アメリカを中心としたTPP、またはアジア圏を中心としたFTA)が重要と言われている。しかし、TPPはアメリカの経済問題発から始まり日本にマイナスにしかならないし、脱アメリカ路線のFTAも経済破局からの輸出規制となれば、他国に依存している限り根本問題は解決されない。
 
重要なのはTPPにしてもFTAにしても市場原理を前提とした貿易問題であるということだ。戦後から60年、貿易によって生まれたものが食糧自給率40%であることを忘れてはならない。
自給率が低く、市場原理の中で食糧が取引されている現在、世界経済破局が現実となり、各国が食糧確保のために輸出規制をかければ、日本の食はたちまち枯渇することになるのだ。

 
 
%E5%8F%B0%E9%A2%A86%E5%8F%B7.jpg■3.自然災害による農業への影響
特に2011年は全国的に異常気象・自然災害が急増している。
M5以上余震が500回 史上最多記録の更新続ける [11]
台風6号 洲本で史上最高雨量を記録 [12]
ごく一部だがその被害状況を見ると、台風6号被害により香川では農産物被害約1億円、8月3日の豪雨における新潟・福島の米の被害は約1万2000ha(約21億円)など深刻な被害を受けた。
 
[13]これは世界を見ても同様のことが起こっており、ロシアの昨夏猛暑による小麦不足、ブラジル・オーストラリアの大洪水による食糧不足、中国における干ばつなど異常気象が続いている。結果、2011年度の食料価格指数は急激な上昇傾向にある(リンク [14])。今後、食料自給率が低く、輸入に頼らざるを得ない日本にとっては、厳しい状況に直面するだろう(リンク [15])。
 
2、でもふれたように、食糧自給の必要性は高まっているが、自然災害による土壌汚染、あるいは作物そのものが被害を受けることにより生産量が激減する危機に常に直面している。
 
 
■外圧が高まるほど、農業の可能性は開かれていく
以上、原発・放射線問題、経済危機、自然災害の3つの切口から見てきた。
 1.原発・放射線問題:食に対する安全、安心基盤の喪失という現在進行形の危機
 2.経済危機:各国の輸出規制による日本の食糧不足から、本能を直撃する危機
 3.自然災害:土壌汚染、作物被害によって生産量激減による食糧危機

 
しかし考えてみれば、原発・放射線問題、経済危機、自然災害以前から、農への安心・安全の期待も、食料自給の期待も存在し続けていた。
これらが実現してこなかったのは、市場原理に変わる基盤がなかったからだと言える。潜在的に顔の見える農業に期待していても、市場原理下では大量の安価な輸入品が占められ、かつ情報源はマスコミに支配されており、多くの人々は疑問もなく扇動され続けてきた。貿易におけるアメリカ支配も同様であり、これまでは突破口が見出せなかった。
ところが、今回の危機はこれらの壁を突き破る大きなチャンス(大転換期)となる。
 
なぜなら、まず原発・放射線問題から、官僚への不信感が高まり、そして、マスコミによる露骨な情報統制から「自ら事実を収集する」気運が高まっているからだ。第2に、経済破局によりアメリカが没落すれば、これまでのアメリカ支配からの脱却が可能となる。
そして第3に、食糧の輸入がストップすることになれば、国家として食糧自給を第一課題としていかざるを得ない。もっと言えば、国家を依存するよりも自らがなんとかしなければならないという外圧が肉体を直撃することになる。
 
つまり、この2011年の原発、経済、自然災害などを通して、みんなでなんとかするしかない意識が顕在化し、『共同体の再生』、『自然の摂理に根ざした生活』への大転換への可能性が開かれてきたと言える。
そしてその結果、実現の意志、実践する人の増加に比例して、国内自給率も増加していくだろう。
つまり、この危機的状況を180度認識転換して捉えれば、この間の外圧の高まりによって日本の食と農は再生に向かっていく

 
以上のような状況を整理すると、次のようになる。

[16]

このように考えると、日本の農業衰退の原因を遡る必要がある一方で、今後重要なのは、「今後の農業の可能性はどこにあり、それを引き出していくためにはどうすればよいか?」という視点である。
 
以上のような問題意識を持った上で、本ブログでいくつかの可能性と原因について深く掘り下げていきたい。そして、8月18日(木)『食料自給への道』を紹介し、具体的な可能性を提示したい。


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URLs in this post:

[1] リンク: http://news.livedoor.com/article/detail/5765159/

[2] セシウム汚染牛肉の流通: http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110808/biz11080822540045-n1.htm

[3] 牛乳やホウレンソウの汚染: http://www.asahi.com/national/update/0320/TKY201103200141.html

[4] リンク: http://blog.livedoor.jp/housyanou/archives/3923920.html

[5] リンク: http://www.monipo.net/blog/radiation/110731-09/

[6] 産地偽装問題: http://naimora7.blog135.fc2.com/blog-entry-70.html

[7] ユーロ安: http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-22352720110725

[8] 米国債のランク格下げ: http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-22605620110808

[9] Image: http://blog.new-agriculture.com/blog/img2011/%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E5%82%B5.html

[10] リンク: http://ceron.jp/url/www3.nhk.or.jp/news/html/20110701/k10013902601000.html

[11] M5以上余震が500回 史上最多記録の更新続ける: http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110602/dst11060210490006-n1.htm

[12] 台風6号 洲本で史上最高雨量を記録: http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0004289743.shtml

[13] Image: http://blog.new-agriculture.com/blog/img2011/%E9%A3%9F%E6%96%99%E7%89%A9%E4%BE%A1%E6%8C%87%E6%95%B01.html

[14] リンク: http://rockway.blog.shinobi.jp/Entry/496/

[15] リンク: http://www.garbagenews.net/archives/1791043.html

[16] Image: http://blog.new-agriculture.com/blog/img2011/zukai-matome-1.html

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