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2010年11月06日

シリーズ口蹄疫問題の本質に迫る! 第3回 畜産の現状

口蹄役シリーズも3回目を迎えました。
前回は、家畜の歴史について扱いました。そして、家畜、特に、牛については、役用から食用への転換が、大きな分岐点となったようですが、今回は、そのあたりから、畜産経営の現状までを見て行きたいと思います。
それでは、続きを読む前に、いつものぽちっとよろしくお願いします。
  
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画像は、「畜産Zoo鑑」さんからお借りしました。

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では、今回は、日本での牛、肉用牛に絞って見て行きます。
まず、日本での肉牛の歴史ですが、
http://www.medianetjapan.com/2/20/government/jangshogun/Beef10.htm
からの引用です。

日本での和牛の当初の飼育目的は、1960年頃までは役牛として農家では勿論、鉱山や林業でも使われていました。農林業では、農作業に役立つと共に”堆肥を生産”し、また農業副産物を飼料として無駄なく利用される家畜として水田農業の重要な脇役を務めてきました。和牛は、もともと日本で古くから飼われていた牛を”和牛と総称”しています(当時、乳牛のホルスタインは蘭牛と言いました)が、農業に密接に結びついた家畜として”農用牛”とも呼ばれてきました。
明治維新後、肉食の習慣が広まるにつれて、和牛の肉が利用される事になりました。しかし、和牛は体格が小さい上、泌乳量も少ないために、これを改良するべく肉用外国種を導入し、交雑による品種改良が進められ、約40年の地道な努力の結果の末、1944年に黒毛和種・褐色和種・無角和種の3品種が固定したものと認められ、1957年には”日本短角種”も固定種に加えられ、現在”和牛と言われる4種”が確立されました。
1960年代以降は、農業の機械化が急速に進むと共に、役用としての需要が減少する一方で、牛肉需要が伸び、和牛は牛肉生産を主目的にする”肉用種としての改良”に重点を移され、最近になって”日本特有の肉用種”と(諸世界から)評価されるようになりました。
1960年代半ばの高度経済成長期には、牛肉需要の伸びに、肉用素牛の供給が追いつかず、新しい牛肉生産の資源が求められるようになり、その対策として外国種の導入や、酪農副産物として生ずる”乳用雄子牛”を牛肉生産に利用するようになりました。
現在では、日本の国産牛肉のうちの約40%がホルスタイン雄子牛で、残り約60%が肉用種となっています。

日本についてみると、明治以降肉食の文化が流入したとは言え、本格的に、牛肉の需要が増え始めたたのは、高度経済成長期(1960年以降)。同時に、食糧自給率が下降の一途を辿り始めるのもこの時期です。
 つまり、それまでは、牛は、役用中心、即ち、生産仲間であり、飼養頭数もそれ程多くない。そして、その役目を終えたときに、肉としていただくというのが一般的であったのに対して、
 1960年以降、牛は、明らかに商品として肉を生産するものに変化しています。
 したがって、例えば、今回の口蹄疫でも、
 もし、役用中心ならば、時間を置けば、多くの成牛は、回復し、殺処分する必要はないことになります。それが、食用だから、そして、それを効率的に大量に生産しないと経営的に成り立たないから(下記参照)、商品価値のなくなる口蹄疫が発生したら、その地域では、殺処分を行って、拡大を阻止するという極端な措置を施すことになります。

 
そして、短期間に大量生産するために、かつ、日本人が好む所謂「霜降り肉」に仕上げるために、アメリカ式の濃厚飼料で肥育する方式で、生産量を拡大して行きました。
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                          (画像は上記サイトからお借りしました。)
では、次に、肉用牛の現在の経営実態を見てみたいと思います。

肉用牛を扱う経営には肉専用種(以後、和牛)の子牛生産を主な目的とする繁殖経営・肥育素牛を購入して肥育することを主な目的とする肥育経営。子牛生産も行いながら肥育も行う一貫経営がありますが、養豚と違って、肉用牛の一貫経営は肉用牛経営においてわずか2%にしか過ぎません。
その理由として例をあげれば、まず雌牛を子牛から繁殖用に用いるのに約15ヶ月。その牛が妊娠して出産するまで約10ヶ月。その子牛を肉用にするまで約3年半。都合1頭の子牛を肉にするのに5年半は掛かると言う計算になります。
——————————-中略—————————————-
まず和牛の経営の形態においては、和牛の飼育だけを行う専業経営と、稲作・園芸作物・林業・養豚etc.を組み合わせた上で和牛を飼育する複合経営と言う種類があります。
専業経営は飼育頭数が大きい場合だけに成り立ち、繁殖経営で50頭以上、肥育経営になると200頭以上のものが多いようです。ただ、繁殖経営は粗飼料(牧草等)の生産基盤の関係や機械化が遅れている事もあって専業は少なく、肥育経営は機械化が進んでいるので専業になりやすいのが特徴です。
繁殖経営は、耕地に恵まれない山間部や地力の収奪の激しい畑作地帯に多く分布しており、九州・東北・山陰・兵庫などが主な子牛生産地帯となっています。繁殖経営の要点は、毎年確実に市場価値の高い優良子牛をできるだけ低コストで生産することです。そのためには、繁殖・改良・飼育・粗飼料生産・衛生などの基本的な生産技術をしっかりと身に付ける事が大事です。
肥育経営は、繁殖経営のような粗飼料基盤の確保と言う土地の制約が無く、しかも生産技術が繁殖経営に比較して平準化しやすく、機械化も進んでいることもあり”多頭化経営を行いやすい”利点があります。そのため糞尿の処理の対策を誤ると公害問題を起こしやすいし、急激な投資による大きな負債を抱え込みやすいという欠点もあります。したがって、繁殖経営以上に素牛の導入・販売・飼育管理・飼料の調整・衛生対策などの生産技術にきめ細かな選択と組み立てが経営成立の条件となり、また優れた経営能力も求められます。
ちなみに、現在の日本における肉用牛経営の割合は、繁殖経営が66%・肥育経営が32%・一貫経営が2%で、肥育経営のうち”乳牛の雄牛”の肥育をしている経営体が10%ありますので、和牛の肥育経営は22%と言う事になります。

肉用牛生産は、繁殖農家と肥育農家に分かれ、
 繁殖経営は、牧草やワラを飼料の中心とした山間地の零細経営、兼業or複合経営で、良質の子牛を育てる飼育技術力が中心課題で、
 肥育経営は、大規模(多頭、機械化)の工業生産的企業経営で、経営管理が中心課題

と、大きく括れるようです。
そして、今回の、宮崎そして、お隣の鹿児島は、特に、繁殖経営が多く、子取り用めす牛飼養頭数の全国シェアが35%という、子牛の生産地でもあります。
http://miyazaki-kotei.bokin-net.com/?tag=%E7%B9%81%E6%AE%96%E8%BE%B2%E5%AE%B6
からの引用です。

畜産は大きく繁殖農家と肥育農家とわかれる。鹿児島県と宮崎県は子取り用めす牛飼養頭数が全国一位と二位である。そして全国シェアの35%。全国の1/3以上の牛は鹿児島・宮崎で繁殖され、子牛が全国に販売されていく(ソース)。日本経済の中心が東京なら、日本畜産の中心は鹿児島・宮崎である。

こうしてみると、今回発生した宮崎は、零細繁殖経営も多く、また、広い地域に多く、分散しているため、感染も広がりやすく、防疫体制も取り難いと予想されます。
また、一方で、肥育経営は、規模のメリットを狙うために発生する過密飼育の問題がありそうです。
以上、肉用牛の経営について見てきましたが。
需要側の変化、即ち、役用→肉用への転換→肉の需要拡大が、牛の生産、飼育経営を明確に分業化、工業生産化し、そして、そのことによって、口蹄疫に代表される種々の問題につながっていると予測されます。
次回は、より具体的な、飼育実態を把握して、口蹄疫発生、拡大の温床となっている現状を見て行きます。

投稿者 naganobu : 2010年11月06日 List   

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