こんにちはちわわです。
これまでこのシリーズでは、地球規模の自然循環の仕組み、それに適した農法と人間ができる役割について扱ってきました。さらに、前回の記事では、自然循環の農法を誤った科学技術と貿易の自由化が阻害している事を指摘しました。
それらを受けて、シリーズの最終回では、共認時代に求められる新しい農法について言及していきたいと思います。
【私権時代から共認時代へ】
私権時代とは、個人の利益追求の自由を認める社会です。
人を出し抜いたり、騙したりしてでもお金を得ることが最大の活力源であり、そこでは「自分第一」が最大の価値軸でした。
それに対して共認時代とは、みんながいいと決めた事をみんなが実践してゆく社会であり、みんなが当事者となり、今まで役人に押し付けてきた社会統合の役割をみんなで担ってゆくことが求められます。
そこでは、みんなの期待に応えて評価を得ることが最大の活力源となり、そのためには、「自分第一」から「みんな第一」への価値軸の転換が不可欠となります。

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【必要とみんなが認めるものはみんなで支えあってゆく】
槌田氏は、国民全員が半農半X(生活の半分を農業、残り半分を他の職業)を営み、自給自足することで、一人一人が自然循環のエンジンとなり、また、過剰生産の原因である専業農家は廃止すべきだ、という結論で締めくくっています。
実現できるのであれば、これは良い提案であることに違いはありませんが、現実にはかなり距離があるといわざるを得ません。
何故なら、自給自足を個人に委ねる方法論では、私権が衰弱してゆく時代には活力源にならないからです。
来るべき共認時代には、個人ではなく、集団が主役となり、評価をめぐる集団間の競争が活力源となります。
個々人が活力を持って、安心して生き生きと活動できる集団づくりが必要となるのです。

そして、みんなが必要と認めるものは、みんなが支えあっていくのも共認時代では当然の事となり、まさに、みんなの食を提供する農業は、真っ先にその対象となるはずです。
現に食や農に対する関心が、近年急速に高まっていることが、その期待の高さを表しています。
【共認時代の農法とは】
化学肥料や農薬を多投する近代農法から、なかなか脱却できないのは、失敗したら採算が合わなくなり、生活の基盤が失われる不安感があるからです。専業農家がこうした農法で単一作物を大規模で生産するのは、全て採算を上げる=市場で生きていく事が前提となっているためで、実は、少量多品種を時期をずらしながら生産する方が、リスクを回避し、安定した生産基盤を築くのに適しているのです。
環境や治水、教育など、農の持つ多面的機能をみんなが評価し、金銭面でも、みんなが支えあっていく社会の仕組みが出来上がれば、不採算という不安から脱却出来、これまでこのシリーズで展開した自然循環にのっとった農法に転換してゆくことも可能になるのではないでしょうか。
社会のニーズが自然循環に適応した持続可能なものを求めるのであれば、それに応えてゆくのが農家の役割であり、それに応えることで、評価が得られ活力が上昇してゆくのです。
【共認時代にふさわしい科学技術と貿易】
これまでの科学技術は、効率性と採算性に傾斜しすぎていました。
これから求められる科学技術は、生態系の力を最大限引き出し、最小限のエネルギーを自然循環を加速させる部分に投入する循環型技術となっていくはずです。
農地や山林そのものが、その最先端の装置として機能してゆかなければなりません。
もちろん、技術の高度化のためには専門特化することも不可欠です。特に自然を対象とする高度な技術を要する農法は専業農家でなければ担いようがなく、素人が生半可にできるものではありません。
このような技術を作り上げてゆくのも、個々人の力のみに頼っていたのでは、なかなか成果も上がってゆかないでしょう。やはり、個々に分断された個人経営の農家から、集団で営む形態にすることで、専門性の分化も進行し、技術も高度化してゆくのです。
こうした共認時代では、自由貿易は、さほど大きな障害にはならないでしょう。
何故なら、農をみんなで支えてゆくという共認が形成されていれば、単に安いという理由だけで外国産を購入することにならないからです。
国産の需要が高まれば、輸入は必然的に減少し、高関税で無理矢理輸入阻止する必要もなくなり、適切な関税率で国産価格とのバランスをとってゆくことも可能になるでしょう。
【農業を包摂した地域共同体の再生が次代の活力源】
共認時代への移行の最大の壁となっているのが、私権意識です。
残念ながら、今までの農家は個人経営であるがゆえに私権意識が他の産業と比較しても高く、これにより、土地の集約化や、効果的な活用が阻害されてきました。
「自分からみんなへ」の意識転換は、みんなのための産業である農業分野においてこそ、真っ先に着手されるべき課題であり、自分の土地にこだわる事なく、やる気=活力ある人がみんなのために有効に使ってゆく仕組みが必要となります。
さらに、加工、流通、販売や外食産業との連携はもちろん、自然循環を体感する教育や、山林や河川といった資源の管理など、農業にはさまざまな協力体制が必要です。
地域の人々が、みんなのために何が必要かを自ら考え実践してゆく組織づくり、すなわち、みんなが当事者として社会統合に参画することで社会全体の活力が上昇してゆくのです。

このようにして、農業を包摂した地域共同体を再生してゆくことが、技術としての農法をに留まらない「共認時代に求められる新しい農法」なのです。